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皆大好き冒険者ギルド


 イーストウッドまでの道中は、大体異世界から来た聖騎士君の話で終わってしまった。

 やはり謙虚な気持ちが大切ということであろう。



 イーストウッドはこの辺り一帯の領主の住む町である。

 そのため、そこそこに大きく商売も盛んで装備品が整えやすいからか、冒険者ギルドもこの町にある。

 チフユはここの冒険者ギルドに所属しており、日夜仕事に励んでいるのだ。


「ここが冒険者ギルド」


 チフユの案内で来た冒険者ギルドはそこそこに大きな建物だった。

 見た目に気を使っている人から、無精ひげを生やした山賊風の男まで出入している人は様々である。

 王都ではチハルもチアキも有名人らしいが、所詮辺境の町である。

 二人に気づくの様な人はおらず、騒がれるようなこともなかった。



「2人ともギルドカードは持っているのか?」


 チハルとチアキに尋ねる。

 ちなみにギルドカードとは例のアレである。

 強かったり、国に貢献したり、秘宝を発掘したりするとランクの上がる奴だ。

 前にチフユに聞いた感じだと、Aランクから始まりEランクで終わるらしい。

 一応Cランクまで行ければ一流の冒険者であるとのことだ。 

 チフユはCランクだった。


「一応持ってるよ」

「うちもあるね」


 二人はそう言ってギルドカードを取り出す。

 チハルのギルドカードはAランク、チアキのギルドカードはBランクだった。


「わたしのは勇者特権とかで最初からAランクだったんだ」


 まぁ最終的には人類最強になるのだから当然の処置かもしれない。


「うちは国への貢献度で勝手にランクが上がっていったんだよっ」


 空間転移とか実証すればそうもなるだろう。

 やはり二人は飛び抜けて優秀な存在だった。

 兄として、もっと頑張らないといけないな。

 そんな風に思っていると俺の手をチフユが握っていた。


「あの二人は別格なだけ。兄さんは兄さんで努力してるから」


 俺と同じ凡職業なだけあって、チフユには俺の悔しさがわかったのだろう。

 その心遣いが身に染みるのである。



 そんな訳で冒険者ギルドに突撃だ!!

 悩んでいても解決しないことは、悩むだけ無駄だ!!

 そう思い、冒険者ギルドに飛び込んだ。

 そんな変な行動を取れば、当然注目を集めるわけだ。

 そして、変な冒険者に絡まれるわけだ。

 ドナドナされて奴隷商に売られるんだろうな。

 とか思ったが、白い目で見られただけで終わった。

 新しく来た冒険者希望の若者に絡む中年冒険者はこのギルドにはいないらしい。

 前評判通りである。

 チフユ達も俺に白い目を向けながら、依頼が貼ってある掲示板に向かっていた。

 無視されるのが一番つらいと実感する瞬間である。



「それでチフユさんはどの依頼を受けるのかなっ」


 掲示板の前に行くとチフユ達が依頼を選んでいた。

 そこそこの時間なので、まだそれなりに依頼が残っている。


「身の程にあったものが大事」


 チフユはそう言ってオーク5体討伐の依頼書を手に取った。

 オークは大人の男性よりちょっと大きいくらいのサイズの魔物である。

 Dランクの冒険者であればパーティを組んでれば倒せるレベル。

 Cランクであれば一人でも討伐可能と言われる。


「オークの肉って美味しいよね」


 チハルはオークの討伐云々より食い気の方が強いらしい。

 実際オークは豚型の魔物なだけあって結構おいしい。

 肉の塊を鍋に入れて醤油等の調味料と一緒に煮込むのがおススメの食べ方だ。

 チアキはオーク討伐に不満そうであったが、チフユが受注する依頼なので口を出す気はないらしい。


「それじゃ、依頼を受けてくる」


 チフユはそう言ってカウンターに向かうのであった。



 依頼の受注に当たっては特段何もなかった。

 別に新人冒険者として登録する訳ではないので、ギルドの受付嬢が驚くような展開がある訳でもない。


『こんなステータスなんて見たことがない。あなた何者なの?』


 とかちょっと言われてみたかった。

 どうせやった所で、麺職人である自分が大したステータスになる訳ではないんだけどな。

 まぁどうせ終わった後に、


『こんなに沢山のオークを倒してくるなんて!! あなた何者なの!!』


 とかいう台詞は聞くことが出来るだろう。

 俺が戦闘で役に立つ事はないだろうが、Aランクの勇者様とBランクの賢者様がいるのである。

 10体討伐してもお釣りがくるであろう。

 物語でよくある依頼した魔物より強い魔物が出てくる展開にも対応できる、超お手軽パーティである。


「兄様、頭の中で良くない事を考えてそうだけど、うちは手伝わないよっ」


 俺の計画はチアキの何気ない一言で無となった。

 まぁお手軽にどうこうするのは良くないしな。

 そうは言ってもチハルはシャドーボクシングをしており、結構やる気みたいだったが……。

 オークって殴って倒せる様なレベルではないだろ……。


 そんなことを思いつつ冒険者ギルドを出て、オークの住む森に向かった。


予想以上に色んな人達に見て貰えているみたいで嬉しいです。

ブクマ等も有難うございます。

今後も更新頑張るので応援よろしくお願いします。

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