英雄を追い出す方法
チナツにお兄ちゃんの所に帰ると言ってから数日が経ってしまった。
チアキは色々とやると言っていたくせに、動く気配が全く見えない。
三流賢者は相変わらずわたし達を厭らしい目で見ていたし、気持ちの悪いおっさんはわたしと会話をすることを諦めた様である。
何にしても魔王城に魔王なんていないのに、目くらましの為かなんだか知らないが魔王城に行くのは本当に無駄である。
それなら、ちゃんと魔王のいるお兄ちゃんの所に行った方が断然良いのである。
「ねぇ、チナツ」
「何よ? あんたから話しかけるなんて珍しいわね」
「何でわざわざ魔王城なんて行くの?」
一応周りに他の人がいないことを確認して、チナツに今回の旅の目的を尋ねる。
チアキじゃなくてチナツに聞く理由?
そんなのチアキが信用できないからに決まってるじゃん。
あいつは絶対にこういう時、絶対に息を吐く様に嘘をつく。
「一応、チフユが魔王であることはあたし達だけの秘密よ。だから、魔王城に行って適当な日清派の魔族の首を取って魔王の身代わりにすれば、チフユを助けられるかもしれないでしょ? それに、主戦派の魔族がいなくなれば魔族と争う理由も無くなるじゃない」
チナツは色々と考えていた様である。
流石、優等生。
「別に普通にチフユお姉ちゃんの首を取ってくれば良いじゃん」
「それをやったら、あいつに怨まれると思うんだけど、それでも良いの?」
それは否定できない。
お兄ちゃんにとってわたしが一番大切なのは歴然の事実ではあるが、チフユお姉ちゃんが二番目位に入っている事もまた事実なのである。
そんなチフユお姉ちゃんが死んだら、お兄ちゃんが悲しむのは確かだろう。
「だから、チフユお姉ちゃんを誅する確かな理由が必要なんじゃない。その理由に魔王であることは十分使えると思うんだけど」
「はぁ、あんたね……」
溜息をつかれてしまった。
間違ったことは言ってないと思うんだけどな。
理屈で納得して貰えれば、感情は後からついてくるものだよ。
「でも、その作戦を取るにしても、三流賢者とおっさんは邪魔なんじゃないの?」
「まぁそうなんだけどね。それにゴットフリートさんは兎も角、三流賢者はあたし達を狙っているらしいし、適当な所で放逐したいのは事実よ」
「何で、おっさんは兎も角なの?」
「だってあの人話してみると分かるけど、結構真面な人よ。あの人の仲間のリーフさんとアネットさんも普通にゴットフリートさんを尊敬しているみたいだったしね」
「チアキみたいに洗脳している可能性とかはない訳?」
「流石にその手のデバフが掛かってれば、あたしだって気付くわよ」
「つまりあのおっさんは見た目が悪いだけで中身は普通の人って事だね?」
「まぁそうね。というか、あんた変な事考えてないでしょうね?」
チナツに疑念を抱かれてしまったが、そこまで大事にする気は更々ない。
「まぁお兄ちゃんに怒られる様な事はする気ないから大丈夫だよ」
「あんたの基準はチアキと一緒で信用できないのよ!」
チアキと一緒にされるのは心外である。
わたしの方がチアキよりはマシなはずだ。
それにわたしは早くお兄ちゃんの所に帰りたいのである。
だから自分から動く必要があるのだ。
お兄ちゃんも言っていたのだ。
欲しいモノがあるなら、自分から動けって。
だからわたしは動くのだ。
「チアキが動くのは待てない訳?」
「全然動く気配見せないじゃんか。そんなのに任せてたらいつ終わるか分からないよ」
チナツはチアキ待ちだったらしい。
でもチアキは現状一切動く気配を見せていない。
他の人達に適当にちょっかいを掛けつつ、のんびりと自分の研究をしている位だ。
それにチアキの事だからあの三流賢者を唆して、わたしに罠を張ってくる可能性だってあるのだ。
どうせわたしが三流賢者に惚れた体にすれば、お兄ちゃん争奪戦から綺麗に脱退させられるとか考えているのだろう。
つまり、チアキは信用できないのである、
「まぁ、血生臭い展開にはしないから安心してよ」
「ちょっと、チハル!!」
チナツはまだ話したさそうにしていたが、これ以上話していても埒が明かない。
わたしはわたしで自由にやらせて貰うのだ。
そして翌日の早朝、わたしは早速ロリコンホイホイを拉致する事にした。
彼女は回復職としておっさんについて来た様で、それなりに優秀な冒険者であるらしい。
まぁ、わたしからしたら隙だらけなんだけどね。
それに回復職は後衛で味方の援護するのが仕事なので、前衛を張る職業に比べると戦闘力が落ちるのである。
チナツみたいに回復職の癖にアタッカーまでやる奴がおかしいのだ。
だから彼女の寝込みを襲えば、簡単に拉致れるのである。
彼女の部屋にはおっさんとエルフもいたが、長年お兄ちゃんの部屋に忍び込み続けていたわたしの【潜伏】スキルの前には意味をなさない。
お兄ちゃんはこんな時の為に、色々と部屋にトラップを仕掛けておいてくれたのだろう。
お陰様でわたしの【潜伏】スキルをもってすれば、王城の宝物庫や高利貸しの金庫の中でも自由に入ることが出来るのだ。
流石お兄ちゃん。
こういう展開を見通してわたしの【潜伏】スキルを高めてくれた。
お兄ちゃんの先を見る目はわたしの見えない所まで見ているのだ。
取り敢えず、人気のない所までロリコンホイホイを連れてきて頬を叩く。
「うーん、ここは……? って、なんであたし縛られてるんですか!?」
ロリっ娘が目を覚ました様だ。
自分の状況を把握して取り乱している。
よし、それじゃあ楽しい説得タイムの始まりである。
このロリっ娘を上手い事説き伏せて、おっさんと一緒に帝国に帰ってもらおう。
アネットはロリ体形のチハルにロリキャラ呼ばわりされてますが、チハルよりは発育が良いです。
具体的にはJC2とJC3位の差はあります。




