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義兄から妹を寝取る方法


「チナツ、あんな事ばっかりやってるから敵作るんだよ」


 あのドワイトとかいう良く分からない冒険者がいなくなってからチハルにそう言われた。


「なら、あんたはあんな奴と一緒に冒険したい訳?」

「そんな訳ないじゃん。お兄ちゃん以外と冒険するなんて反吐が出るね」


 ほら、やっぱりあんただって拒否してるじゃない。

 それにあいつ以外駄目って、あんたそんなんでまともに冒険できるの?

 あたしの中でそんな疑問も浮かんだ。

 ただ、そんな事よりも言いたいことが一つだけある。


「そもそも、何であんた向けの客対応をあたしがしないといけないのよ」


 あたしは不満気な空気を出しつつチハルに文句を言う。


「むしろ、チナツはよくあんなゴミよりも価値のない物の相手しようと思ったよね」


 あたしの不機嫌そうな空気を気にせず、あっけらかんとそう言った。


「一応話し掛けて来たんだから、相手しないと失礼じゃないの」


 確かにチハルの言う事も分からなくはない。

 しかし、ああ言う奴は適切な対応をしないと後々まで尾を引くのである。

 だからここで手を出させて牢屋にぶち込もうと思って煽ったのに、あいつの仲間に止められてしまった。

 あんなのの仲間にもマシなのがいた様ね。

 あの仲間は見た感じ【魅了】とかの状態異常にも掛かってなさそうだったし、単純にあの男に惚れているのだろう。

 男の趣味が悪い奴だ。


「チナツ、精神感応系の魔法なんて、チアキ以外は普通使わないよ。チアキに毒されてるんじゃない?」


 人の頭の中を読んだかの様にチハルが一言言ってくる。

 確かにチハルの言う通りだ。

 使えば死罪になる様な魔法を、気兼ねなく使う奴の方が頭がおかしい。

 なんかあたし一人じゃこの二人の対応は厳しい気がしてくる。


 チフユ助けて……、なんか頭痛くなってきた……。  


「まっ、あんな無価値な奴は、わたしには関係ないからどうでも良いけどね」

「いや思いっきりあんた絡みの事だからね!!」


 そもそも、あたしだってここに来る気なかったのに、何でこんな変なことに巻き込まれないといけないのよ。

 チアキの奴が「チハルを一人で放置して良いのっ?」とか当たり前の事を言わなければ、来ないで済んだのに。

 ていうか、そう思うならあんたが来なさいよ!!

 チハル一人で来させて問題でも起こされたら、にぃにに顔向けが出来ないじゃない!!


 でも、このままだと本当に嫌な予感しかしないんだけど……。



 その後、勇者パーティの審査はつつがなく終了した。

 チハルも大人しくパーティ候補者を言葉の暴力で薙ぎ払っていたし、特段大きな問題が起きなかったのは僥倖だろう。

 しかし、審査結果を見て嫌な予感って当たるのもだなぁと思ってしまったのだ。

 そこにはあのドワイトの名前が載っていたからである。


 審査で選ばれたのは3人の男だった。

 あたしの記憶によると、

 一人は異世界からの転生者

 ――典型的な引籠り体型をしていてあたしの事を嘗め回す様な目で見て来た

 一人は隣国の英雄

 ――聞いた話によると内縁の妻まで合わせると80人近く女がいるらしい

 一人はギルド一の冒険者

 ――例のドワイトである。


 この人選を見ると悪意しか感じない。

 完全にチハルを害する為だけに選ばれたパーティである。

 この国の王はチハルに何か怨みでもあるのだろうか。

 そういえば、前にこの国の王子を闇討ちしたとか言ってたからそのせいなのかもしれない。

 それにしたって、ここまでやるものなの?


 どちらにしても、このパーティで冒険をさせる訳にはいかない。

 道中でチハルが如何こうされる可能性もあるし、何よりも魔王(チフユ)の所に連れてったら、チフユがどうなるか分からない。

 下手すると殺された方がマシな目に合される可能性だってある。

 そんな事になったら、にぃにがどう思うだろう。

 確かににぃにを寝取る為にチフユは邪魔な存在だ。

 でも、こんな形で寝取るのは良くない。

 

 あたしは何よりもにぃにには幸せになって欲しいのだ。

 にぃにが絶望する顔なんて見たくない。


 その為にも、まずはあたしをこの問題に引き摺り込んだ諸悪の根源を味方につけよう。

 どちらにしてもこの三人が、チハルとパーティを組む前に出来る限りの準備をしないとね。



「だからって、皆して困ったらうちの所に来るの止めて欲しいんだけどなっ」


 チアキの所に行くと颯爽と文句を言われた。

 諸悪の根源のくせに生意気である。

 後で鞭打ちの刑に処そう。


「あいつの頼みだったら、他の用件を後回しにしてでもやる癖に何言ってるのよ」

「兄様とチナツを同じ高みで考えるのは、兄様に失礼な事だよ。兄様は雲上人なんだから、兄様に言われたことは絶対だし、兄様の発言を全てにおいて優先するのは当然なんだよっ」


 チアキのこのあいつへの思いは何なんだろう……。

 ちょっと理解が及ばないんだけど。


「そうは言っても、今回の件をそのまま放置してたら、その兄様に怨まれる事になると思うけど?」

「それは確かにそうかもしれないね。兄様に頼まれる前に動くのも、都合の良い女として必須の技能だしうちも動くよ」


 あいつをダシにしてやったら、チアキは簡単に折れた。

 もっとごねると思ったんだけど……。


「言っておくけど、兄様が得をするから動くだけだよっ。チナツが普通に頼み事するんなら、ちゃんと対価を持ってきて欲しいなっ」

「はぁ、それでどうするつもりよ?」


 チアキの戯言を聞き流し考えを聞く。

 何だかんだで、こいつがあたし達の中で一番悪知恵が働くのだ。


「うちはNTRのプロだよっ。相手の考えなんてズバッとお見通しだよ」

「あんた前回思いっ切り失敗してたじゃない……」


 チアキは自信満々であったが、イーストウッドの件を思い出すと不安しかなかった。


「アレはチナツが邪魔したせいだよ。チナツが居なければ完璧な計略で、兄様の隣からチフユさんがいなくなっていた筈だったのに」

「絶対にそれはない」

「チナツは頭が固いねっ」

「あんたみたいに信念がないよりマシよ」


「まぁ取り敢えずうちに任せてよっ。チナツよりはコネとお金があるから、色々とやれることはあるからねっ」


 チアキと数十分言い合いをした後、話が進まないからかそんな事を言われた。


「分かったわ。あんたは信頼できないけど、あいつが絡んだ時だけは信用しても良いと思ってるからね。頼んだわよ」

「チナツは相変わらず素直じゃないねっ。まぁちゃんと期待には応えるよ。蛇の道は蛇ってよく言うでしょっ」


 チアキは、あいつ曰くラフレシアを背中に浮かべた様な良い笑みをしていた。

 本当にこう言う姦計を張り巡らすのが好きな奴だ。

 こう言うのを見てると、チフユよりもチアキの方が魔王に相応しいんじゃないかと思っちゃうのよね。


 まぁチアキの事だし大事な所でポカするだろうから、あたしはあたしで色々と準備をしておこう。

 そう思い、あたしは街中へ繰り出していった。


なんかチナツが完全に罠に嵌められる空気が出てますね。


次回はドワイト他2名の悪巧みとチアキの姦計の戦いです。

チアキが何処でチナツを裏切るのか、チナツはチアキの裏切りまで読み取れるのか、チハルはそもそもこの寝取られ頭脳戦にちゃんと関心を持っているのか。


引き続きよろしくお願いします。

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