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冒険者って何者なんだ?


 翌日の早朝、チフユ達と隣町であるイーストウッドに向かう。


「そう言えば、冒険者ギルドとか行ったことないな」


 職業的な問題もあって冒険者になろうとか思わなかったからな。


「あそこは、まともな人間のいる場所じゃないよ」


 チハルが遠い目をしながら会話に乗ってきた。


「実際、冒険者になるためにギルドに入った奴を中堅冒険者が煽ったり、パーティからの追放とあんの?」


 物語上だと結構有名な話だ。


「私がギルドに登録した時は煽りはなかった。勧誘とかナンパとかは五月蠅うるさかったけど」

「まぁ冒険者も命がけの職業だからねっ。弱い人をパーティに入れていると、先に進むのの足手まといになるし追放モノは仕方ないと思うよっ」


 チアキの意見は最もであるが、なんか冷たい感じがする。

 それだけ厳しい世界と言われれば、それまでだが……。


「そんなもんかなのか?」


 思わず、他の意見を聞きたくなった。


「パーティの方向性にもよると思う。私みたいに採集系のクエストとか身の程を弁えた討伐クエストしか受けないんだったら、強い人より気の合う人と組んだ方が楽だと思うし」


 チフユの意見も最もだ。


「つまりは、冒険の意図に合わせてパーティを組むってことが大切ってことだよっ。日銭を稼ぎたいのか、ダンジョンに潜って一獲千金を狙いたいのか、それとも可愛い女の子を囲ってハーレムを築きたいのか」


 チアキが意見をまとめるが最後に不審な目的があった。


「最後のハーレムを求めるってなんだ?」

「意外といるんだよ」


 そこでチハルが口を挟む。


「魔物との戦いを体験するとかで、王都の冒険者ギルドに行った時、ハーレム目的で声掛けられたの」

「王都は人が多いから、その分変な人も多いんだよっ」

「なんか異世界から来たとか言っててね、その人のパーティも女の人ばっかりだったんだよ」


 それはそれで凄いな。


「どんなパーティだったんだ?」

「聖騎士の男がリーダーで、剣聖と大魔導士と魔法剣士の美人さんで組んでたパーティだったよ」

「あっ、そのパーティは知ってるよっ。王都でも結構有名なパーティだったね」


 チアキの補足が入る。

 チフユに知ってる?と目線で聞いてみたが、知らん振りされた。

 ちょっと悲しい。


「それで、その聖騎士がクソ野郎でね。股間でコミュニケーションを取ろうとする人だったんだよ……」


 チハルの目からハイライトが消えた。


「そんなんに絡まれて大丈夫だったのか?」


 兄離れして欲しいとは思うが、そんな変な男に妹を取られたくはない。

 妹にはちゃんと幸せになって欲しいしな。


「うん、誰も見ていないダンジョンで玉を潰してきたから……」


 チハルは右手で何かを思いきり握り潰す様な動きをさせながら言った。


「なんでも、パーティにロリ枠がいないから欲しかったんだって」


 チハルを誘った理由が予想以上にゴミだった。

 これは完全に自業自得である。



「ちなみに、その時組んでた剣聖さんとかはどうなったんだ?」

「剣聖は幼馴染の支援術師が引き取ったみたい。なんでも剣聖と支援術師は元々同じパーティで活動してた恋人だったみたいでね」


 つまりは恋人をその聖騎士に寝取られたってことか。


「それで、剣聖が支援術師に今までの事を土下座して謝って元の鞘に収まったって感じみたい」


 なんかそれもそれで後味悪いな。

 まぁ元通りに仲直りして、二人がそれを受け入れているのであれば良いのだろう。

 俺はチフユにそんなことをされたら立ち直れないがな。


「そうは言うけど、実はその支援術師君は寝取られ好きだったみたいで、自分から剣聖をその聖騎士の元に送り出していたらしいよっ」


 そんなことを思っていたら、チアキから業の深い意見を貰った。

 聖騎士と類友だったようだ。


「大魔導士は?」


 他の二人はまともであって欲しいと思い、次を指名する。


「大魔導士は魔法剣士と今でもパーティ組んでるよ」


 なんかまともな感じがしていたが、不審に思いチアキを見る。

 チアキはニヤけながら裏話をしてくれた。


「元々二人は、女の子は女の子と恋愛すべきって考えをしていたからね。二人の間に聖騎士が入って互いに恋人が寝取られたけど、間男がいなくなって元に戻ったって感じだねっ」


 今の話だけを聞くと冒険者にまともな奴はいないんじゃないかと思ってくる。


「その人達が特殊なだけで、基本的には善良で真面な人の方が多い」


 そんなんだから、チフユのフォローが妙に心に沁みたのだった。

  


リーダーの聖騎士さんはチハルの手によって闇に葬り去られました。

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