にぃにとあたし
レビューいただきました。
書いていただいて有難うございます。
あたしとにぃにの出会いは10年以上も前の事だ。
当時のあたしは、実の両親が冒険者をしていた関係で色々な街を転々としていた。
同い年位の友達が出来ない事が少し不満だったが、優しい両親がいてくれたし、色々な所で様々な経験をすることは面白かったので、あの当時の生活は概ね好きだったんだと思う。
大体の街は一度行くと再度訪れることは殆どなかったけど、辺境にある名もない村だけは頻繁に訪れていた。
なんでもあたしの両親の親友夫婦がその村に住んでいるとのことで、挨拶兼生存報告ということで顔を出しに行っていたらしい。
その親友夫婦には、あたしよりちょっと年上の男の子と一つ年下の妹がいて、その隣の家には二人の幼馴染の女の子が住んでいた。
あたしは同い年位の友達に憧れていたので、その子達と仲良くなりたいと思い、積極的に話をしに行った。
幼馴染の女の子は恥ずかしがり屋なのかあたしの前にはあまり出てこなかった。
男の子の妹はなんでか分からないけど、あたしを睨んできて、話し掛けようとすると走って逃げてしまった。
でも、そんな中で男の子だけは年下であったあたしの話を「色々な経験をしてすごいなぁ」って言って聞いてくれた。
あたしは嬉しくなって、両親がその村にいる間、その男の子とずっと一緒にいて旅をしている間の話をいっぱいしてあげた。
両親がまた旅に出るといった時は、あたしはその子と離れるのが嫌で泣き喚いて両親を困らせたことは、あたしの中で黒歴史として覚えている。
でも、そんなあたしに男の子は「また村に来たら、色んな話を聞かせてくれ」って約束してくれたのだ。
次にその村を訪れたのは半年後だった。
村につくとあたしは走って、その男の子に会いに行った。
男の子はあたしを見ると「久しぶりじゃん」ってあたしに笑いかけてくれた。
ちゃんとあたしの事を覚えていてくれたことが嬉しかった。
だから、両親がその村にいる間、その子とずっと一緒にいて色々な話をしてあげたのだった。
今思えば年下の女の子が自慢気に話をしてくるなんて、ウザいだけだったと思う。
それでも、その男の子はあたしの話を面白いと言って喜んで聞いてくれた。
それからもその村に訪れる度に、その子の所に行って色々な話をした。
あたしの旅先でいった街の話。
好きな食べ物、嫌いな食べ物。
将来やりたいこと。
男の子の妹や幼馴染の話。
その話をしている時、男の子が隣の家の幼馴染が好きだってことを聞いて、あたしの胸がムズムズしたのは覚えている。
取り敢えず、あたしはその男の子と会って話をすることが楽しかったし好きだったのだ。
だから、その村から出発する度に両親にいつまた村に戻れるのか毎回聞いていた。
その男の子はあたしの初めての友達だったのだ。
そんなある日の事だ。
あたしの両親が魔物に殺されたのは。
丁度、辺境の村に向かっている所だったので、あたしはその村に辿り着いて助かった。
両親が自分たちを囮にして、あたしを逃がしてくれたのだろう。
村に着いたあたしは、いつも遊んでくれている男の子の両親に、「パパとママを助けて」と助けを求めた。
でも、その村の大人達が両親の所に辿り着いた時には、二人とも死んでいた。
襲ってきた魔物も死んでいたので、自分たちが死んだ後、あたしを襲わない様に、村の人達に迷惑を掛けない様に刺し違える様に戦ったのだろう。
それからの事はよく覚えていない。
あたしの事を男の子の両親が引き取ってくれたのと、与えられた部屋にずっと籠っていたのだけは記憶している。
あたしは両親が殺されてショックだったのだろう。
だから心を閉ざして、これ以上心が傷つかない様にしていた。
でも、やっぱりそんなあたしの態度はおかしかったんだと思う。
その男の子はあたしの事を心配して、何時だって話し掛けてくれた。
あたしが無視しても、酷い言葉を投げ掛けても、めげずに話し掛けてくれたのだ。
そんな時に彼は言ってくれたのだ。
「家族になろう」
あたしは両親が死んで、寂しかったんだと思う。
だから、そんな男の子の言葉が凄く嬉しかった。
そして、そんな彼だったからこそ、あたしはにぃにの事を好きになったし、愛しているのである。
それから、あたしはそんな優しいにぃにに相応しい人間になれる様に努力した。
義母から料理も裁縫も教わったし、魔物に襲われても対応できる様に体術も覚えた。
チフユやチハルに負けない様に、たまに来るチアキにも舐められない様に、自分を磨き続けたのだ。
にぃにがあたし達に向ける目と、チフユに向ける目が違うことも分かっていた。
チフユと婚約者になったって、あたしに報告した時のにぃにの嬉しそうな顔は忘れられない。
チフユが悪い人じゃないのも分かっている。
彼女だって面倒臭そうではあったが、色々と無茶をやっていたあたしの面倒を見てくれた。
だから、あたしは二人の結婚を妨げる気はない。
あたしだって、にぃにには幸せになって欲しい。
でも、これ以上あたしは家族を失う訳にはいかないのだ。
あたしのただ一人の家族。
にぃにを失ったら、あたしはまた一人になってしまう。
だから、あたしはこの離婚届に二人の名前を書いてもらわないといけないのだ。
チフユ安心して。
にぃにはあんたの分まであたしが絶対に幸せにしてみせる。
コメディとは?って感じの重たい話になってしまいましたが、チナツの過去回になります。
チナツがどうしてにぃにに固執しているのか、チフユとの一時的な結婚は認めているのかを感じ取ってもらえれば幸いです。
ちなみに、幼女チナツが村に来た時にチフユが出てこなかったのは、一時的な付き合いしかない人に絡まれるのは面倒臭かったからで、チハルが睨んできたのは、想像通りだと思いますがお兄ちゃんを盗られたくなかったからです。
幼女チアキは王都住まいの為、幼女チナツが村に来ている時は来ていませんでした。
次回は魔王VS聖女戦の続きです。
チフユはチナツに勝てるのか、チナツのスキルの理不尽さがチフユを襲います。
ちゃんとコメディ色を全面に出していきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いします。




