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成功報酬の話 秋・冬


 チナツから逃走を図った後、今度はチアキに捕まった。

 これはもう既定路線としか言いようがないだろう。


「さぁ、兄様。次はうちのターンだよっ」


 チアキは今までにない位、良い表情をしていた。

 それはもう満開の花畑かと言わんばかりに、背中に薔薇を背負っているかのごとき空気だ。

 いや、その空気はお前には似合わないだろう……。

 背負うにしても、ラフレシアとかウツボカズラの方が似合ってると思うのだが。


「兄様、変なこと考えてるねっ。因みにうちの好きな花は黄色いユリだよっ」

「何でだよ?」

「花言葉がいいよねっ」


 なお、この世界の花言葉は異世界人に花マニアがいたおかげで、しっかりと一部の人達の間に伝わっているぞ。


「うち的にはチハルがクローバーで、チナツがカルミア、チフユがシクラメンだね」

「なんかお前に言われると悪意しか感じないんだが」

「そんなことはないよっ。それで、報酬の話なんだけどうちは兄様の子供が欲しいなっ」

「それはチハルと被ってるんだが……。お前も同じことを言うのか……」

「それは違うよっ。チハルが欲しがってるのは兄様とチハルの子供でしょ? うちが欲しいのは母親は誰でも良いから兄様の子供が欲しいってことだよっ」


 チアキの無邪気な顔が凄い狂気じみてるんだが、この娘何言ってるんだ?


「どういう事だよ?」

「流石に、自分の子供を実験動物には出来ないでしょ? だから、兄様の子供を貰ってちょっと色々と弄ってみたいなって」

「自分の子供を人体実験やりますって言ってる人に喜んで渡す奴は、余程お金に困ってるか、頭のおかしい奴のどっちかしかいないと思うんだが」

「兄様、うちを信用してよっ。ちゃんと貰った子供は幸せになるよ」


 幸せにするじゃなくて幸せになるってどういう事だよ?

 と言うか妹勢の中で一番、チアキがこういう倫理的な方向性では信用できないのだが……。


「因みにどんな実験をするつもりなんだ?」


 怖いもの見たさで聞いてみる。


「まず兄様の不老化の研究でしょ、それから兄様が怪我した時とかのスペアボディとしても有用かもしれないし。と言うか、そう考えると子供じゃなくても良いんだねっ」

「どういう事だよ?」

「いや、逆に子供だと母親の遺伝子とか言う不純物が入ってるからよくないなと思ってねっ」


 子供にとって、母親の遺伝子は不純物ではなく必要不可欠なものでは?


「報酬内容変えるよっ。兄様の髪の毛とか涎を一日一回ちょうだい」

「それをどうするんだ?」

「兄様のクローンを作成して、兄様の長寿化を狙っていくよっ」

「クローンとか何言ってるんだ?」

「大丈夫だよっ。うちのクローンはもう完成しているから、兄様のクローンもそんなに労せず作ることが出来るよっ」


 えっ、チアキのクローンとかもうあるの?

 こいつのこの行動力なんなの。

 自分を見るのが不愉快な事とか言って殺し合いをしたロリっ娘もいる位なのに、自分のクローンに取って代わられる恐怖とかないの?


「うちの研究室にいるよっ。このエルフ耳を作る時も、クローン体で治験してから実施してるんだっ。5体位駄目になっちゃったけど、人類進化のためには必要な犠牲だから仕方がないよねっ」


 チアキは自分の耳を触って、ピコピコ動かしながらそう主張する。

 犠牲になったクローン体はどうしたんだよ……。


「いや、駄目だろう……」

「これは実験のし甲斐があるねっ。取り敢えず髪の毛で良いよっ」


 そう言ってチアキは人の髪の毛を一本取って行った。

 俺のクローンよ、強く生きてくれ……。

 俺の手ではチアキは止められない。

 と言うか、クローンに対する法律の整備を早急にやってくれ。



「兄さん、大丈夫?」


 最後に声を掛けて来たのはチフユである。

 こいつは絶対に気違いじみた事を言わないので安心できる。

 俺の心の安らぎはここに合ったんだな……。


「遠い目をしてるけど、正気に戻って」

「ああ、悪かった。それでどうした?」

「今回は私の事で凄い迷惑かけたから、ちゃんとお礼と謝罪をしたかった。」


 チフユは目を伏せながら、申し訳なさそうな空気を出す。

 こいつは、要らない所で律儀だよな……。


「何言ってるんだよ。家族が困ってたら助けるのが当り前だろ。この程度の事で謝らなくていいぞ」

「でも、お礼位は言わせて欲しい。兄さん、有難う」


 そう言ったチフユの顔は真っ赤ではあったが、良い顔をしていた。

 さっき会ったチハルやチアキとは全く違う意味での良い顔である。

 いつもこんな顔してればいいのにな。


「それで、あの三人から何を求められたの?」

「チハルからは俺との子供、チナツからは新婚生活時における同室での同居、チアキからは俺の遺伝子を求められた」


 俺が溜息をつきながら説明すると、チフユの頭の上にははてなマークが10個くらい浮かんでいた。

 逆に浮かばない方がおかしいだろう。


「チハルとチナツの求めているものは何となくわかるけど、チアキのが全く意味がわからない」

「何でも俺のクローンを大量生産して、色々な実験をしたいらしい」

「普通、自分の好きな人を実験したいとは思わないと思う……」


 確かに、普通は自分の好きな人が苦しんでいる所を見たいとは思わないだろう。

 ただチアキはクローンと素材元は遺伝子が一緒なだけで、別人だとか言いそうだしな。

 その辺の倫理観はある癖に、クローンの人権は認めず玩具にするのはどうなんだ?

 命は玩具じゃないとは、よく言ったものである。


「あいつは悪い意味で普通じゃないからな」

「いつか、本当に処刑されるんじゃない」

「それは俺も前から思ってる」


 何時か連座で俺まで処刑されそうだ。

 その時は、チハルも道連れにしよう。

 あいつ一人残すと何をするか分からない。

 やっぱり何処かで止める必要があるのかもしれない。

 しかし止めるとなると常に一緒にいないといけない訳で、それはもう傍から見れば夫婦と呼べるのではないだろうか。

 チアキの狙いはそこにあるのか?


「そこで兄さんに提案がある」

「何だよ?」


 チフユの覚悟を決めた声に、こちらも身が引き締まる。


「あの三人はもう止められない。だから、私と正式に結婚しよう」

「えっ」


なおチアキの言っていた花言葉は、

チハル(クローバー)が、「私を思って」「復讐」

チナツ(カルミア)が、「野心」「裏切り」

チアキ(黄色のユリ)が、「偽り」「陽気」

チフユ(シクラメン)が、「気後れ」「嫉妬」

になっています。


後久々にランキング乗りました。

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