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魔王大決戦(仮)

二時間半位前に前話を投稿しているので見ていない方はそちらからどうぞ。


「それじゃあ、作戦を開始するわよ」


 チナツのその言葉に合わせて、チハルが聖剣を投擲する。

 聖剣は漆黒の軌跡を描きながら魔王に向かって音速を超えた速度で飛んでいく。


 でも、アレって確実に近くにいるチフユにも被害出るよねっ。

 流石チハルはブレないねっ。

 うちがそう思っているとチナツが左手で高速で印を結びながら、チフユに防御魔法を展開させる。


 魔法は大体、口頭詠唱で発動させるものだけど、一定の行動を元に発動させる動作詠唱と言われるテクニックがある。

 チナツが今回使ったのはこの動作詠唱だ。

 口頭よりも、より早く強力な魔法を展開することが出来る。

 チナツも見てない間に結構な努力をしてきたみたいだねっ。


 そんなことを考えていると聖剣が魔王に着弾した。

 爆風で魔王の付近が見えなくなるけど、中から強大な魔力を二つ感じる。

 まぁこういう爆風が上がる系の攻撃って大体ダメージ入ってないものだし、しょうがないよねっ。


 チハルとチナツはこの隙を使って魔王に肉薄していた。

 チハルはこの間兄様に買ってもらった片刃の剣を、チナツは昔兄様に買ってもらった鞭を持っている。


 うん?

 聖女って前に突っ込む職業じゃないと思うんだけどっ?


 爆風の中からは剣戟が聞こえてくる。

 あの視界の悪い状況下でよく敵を判断して戦えるものだよ。


 うちも後衛で見守ってないで、大人バージョンのチフユを回収しに動く。

 チフユ(大人)がどれ程の実力があるか分からないけど、少なくとも魔王の力を使える前のチフユだとあの二人の戦いにはついていけないだろうしねっ。

 後、チハルが偶然を装って攻撃する可能性もあるし……。

 兄様から『チフユを頼む』って言われてるの忘れてないかなっ?


 チハル達が魔王に襲い掛かっている間に、うちは無事チフユを回収する。

 その際戦闘の状況を確認したけど、あの二人相手にスキル使わないで互角に戦ってるとか流石魔王だねっ。


「貴女達、何でここに!?」


 回収したチフユが突然現れたうち達に質問をしてくる。

 あの魔王に屈服させられた状況は、普通見られたくないだろうし仕方ないよねっ。


「兄様からの依頼だよっ。夢の中の魔王を倒して、チフユさんを助けてくれって」

「あの人が……?」


 何、こいつ。

 結婚して子供が生まれたからって兄様の呼び方が変わってるんだけど……。


「でも、どうして貴女達が私を助けてくれるの?」

「兄様の依頼だからって言うのもあるけど、チフユさんが思っている程、チナツ達に嫌われてないって事だよっ」


 まぁ、チハルは前者だけで10割行きそうだけど……。

 でもやる気がなかったら、あそこまで本気で戦ってないだろうしねっ。

 珍しく、勇者みたいに雷魔法まで使ってるし。

 多少はチフユの事が好きなんじゃないかな。

 米粒位のサイズ感で……。

 うちとしても、チフユは魔王の転生体とか唯一無二の存在なんだから、こんな所で失うのは惜しいんだよねっ。


「まぁ、なんだかんだ言って、血は繋がってないかもしれないけど、皆チフユさんの事を長姉として認めてるって事じゃないかなっ」

「私は……、貴女達にそこまで好かれるようなことはやってない……」

「それはチフユさんにとってでしょ? うち達は兄様のオマケみたいな所あったかもしれないけど、面倒を見て貰って感謝しているんだよっ。だから、こうして命を賭けても良いと思ってる訳だしねっ」


 まぁ、うちは兄様の依頼じゃないと動かなかったけどねっ。

 それでも命を賭けても良いと思ってるのは嘘じゃないよ。


「それにしても魔王は強いね。あの二人を相手にして全然ダメージ入ってないよっ」


 チフユと会話をしつつも、魔王戦をしっかりと観戦する。


 魔王はチナツの緊縛術を上手いこと回避しながら、チハルの剣を受け止めカウンターを入れている。

 チハルは前もって掛けていたオートリジェネでダメージを回復させつつ、更に深く前線に切り込んでいる。

 その剣速は神速の速度と言っても過言ではない。

 しかし、そんな攻撃も魔王は軽くいなし、援護しようとしていたチナツに魔力弾を飛ばしてくるのだ。

 一進一退の攻防とも見て取れるが、うちの見立てではチハル達が押されている。

 魔王にはダメージを与えられてないのに、チハル達はダメージを負っているからだ。

 一応オートリジェネで即座に回復はしているものの完全にジリ貧である。

 あれはオートリジェネが切れたら負けるね。


 夢の中に出た魔王を消す方法を、チナツは夢の中で魔王を討伐することと言っていたけど、実は方法はもう一つあるんだよ。

 それはチフユ自身があの魔王を要らないと思えばいいんだっ。

 ぶっちゃけここは夢の中だから、チフユが思った事が全てなんだよ。

 つまり今回の件の原因は、魔王の力が手に入って、うち達を見返すことが出来るとか言う前から持っていた要らない嫉妬心に駆られて、力に溺れる理由が欲しかったというチフユの我儘なんだっ。

 洗脳されていたり、夢魔の魔法にかかっていたりするのであれば、その限りではないんだけどねっ。

 少なくとも、チフユからそういう魔力は感じなかった。

 つまり今回の件はチフユの願望とも言えるんだっ。

 チフユも自分の気持ちが良く分かってなくて、うち達が兄様を横から奪い取ろうとしている事に対する嫉妬とか勘違いしてそうだけど……。

 本当にそれ位憎悪しているんだったら、夢の中でうち達の存在はない筈なんだよね。

 その勘違いがあの森の裏の惨殺死体だったって事だろうけど、あれもよく見てみるとうち達の顔は何処にもなかったんだよね。

 見た目だけ似ているだけで、中身はうち達じゃないっていうね。

 だから、チフユは心の底からうち達を憎んでいる訳じゃないんだっ。


 本当に傍迷惑だよっ!


 魔王が裸なのも兄様が自分を選んでくれた自信が持てないから、自分が寝取られれば兄様に捨てて貰えて、気兼ねせずに兄様も自分よりも優秀なうち達を選んでくれるとかいう超上から目線な発想だろうしねっ。

 そんな下賜される様な事をされなくても、自分でちゃんと奪い取るって言うんだよっ。

 まぁ、このネタを確定させたのはこの間のうちの件かもしれないけど……。


 だから、こうして最初の疑心暗鬼を生んだうち達への嫉妬心を弱めれば、あの全裸を物理的に倒す以外にも討伐することが出来るんだよっ。

 チナツは人の心情の機微に疎いから、こう言った搦手での討伐を知らなかったのかもしれないけど……。

 こんなんでツンデレの復権とか考えてるんだからお笑い種だよねっ。


 つまり、うちがチフユと喋っていてチハル達の応援に行かなかったのはサボっていた訳ではなくちゃんとした理由があったんだよっ。

 まぁ多少の嘘は混ぜたけど、うちの本心を態々曝け出したんだから、チフユもいい加減考えを改めて欲しいものだね。


と言う訳で前々回言っていた通り先代魔王戦です。

今回はチアキ視点という事で兄様達が思っている程、姉妹仲が悪くないっていう話でした。


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