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聖剣は汚い、お兄ちゃんのプレゼントは貴い


「それでどうしたんだ?」


 即席麺を完成させたお兄ちゃんが声を掛けてくれる。

 お兄ちゃん、好き。


「ちょっと魔王を討伐するために新技が必要になったなと思って相談しに来たんだ」


 本当はお兄ちゃんに飛びついてお兄ちゃん成分の補充に来たんだけど、本当の事を言ってお兄ちゃんに引かれるのは嫌なので取り敢えずの嘘をつく。


「魔王討伐って、お前なぁ……」

「そうは言っても、まだ過激派とか来てない訳だし戦力拡大は必要だよ!!」


 お兄ちゃん、安心して。

 皆殺せるくらい強くなるから……。

 誰もわたし達の邪魔が出来なくなるくらい強くなるから……。


「それはそうかもしれないがな……。んで、新技の方向性みたいなのは何か考えているのか?」

「何も思いつかないから来たんだよ!!」

「それは自慢気に言う事ではないだろう……」


 そしてお兄ちゃんは顎に手を当てて、わたしの為に時間を使ってくれるのである。

 お兄ちゃん素敵。

 ちゃんとわたしもお兄ちゃんの所有物として頑張るからね。


「俺も戦闘職って訳ではないからな。チナツ達に聞いたら駄目なのか?」

「チナツ達の武器は剣じゃないからね。あんまり参考にならないんだよ」


 お兄ちゃんのいう事は絶対ではあるが、チナツ達には出来る限り頭を下げたくない。

 奴らに貸しを作る訳にはいかないのである。


「成程な。なぁ、変態なんか良い案ないか?」


 お兄ちゃんはそこで部屋の壁に寄りかかっていた、覆面マスクの変態に声を掛けた。

 まだ、いたんだ。


「フム! そこの勇者はこの間戦った時も思ったが、何故聖剣を普通に使わないのだ!?」

「それは俺も思った。」

「聖剣をしっかりと剣として使えば、それなりの技になるのではないのか?」


 変態のいう事も一理ある。

 剣は本来投げるものではない。

 投擲用の剣もあるが、少なくとも聖剣が投擲用の剣ではないことは事実である。


「それは出来ないよ!!」

「何でさ?」

「だって聖剣は汚い道具なんだよ! こんなお兄ちゃん以外の男が長年使い続けて、汗と涙のしみ込んだ武器なんて出来る限り、触りたくないんだよ!!」


 そうこんなものは、わたしにとっては聖剣ではない。

 ただの使い古された中古品だ。

 出来るなら捨てたい位である。


「聖剣投擲してるのってそんな理由なの?」

「当り前だよ!!」


 それ以外に理由があるのだろうか?


「じゃあ逆に俺がそこそこの剣をプレゼントしたら普通に使うのか?」


 それはちょっと考えものである。

 お兄ちゃんからのプレゼントなのだから、お兄ちゃんボックスに仕舞っておかなければいけない気もするし、使ってないのを知られてお兄ちゃんを悲しませる訳にはいかない。


「うーん。多分、使うね」

「多分って何だよ?」

「そこには色々な葛藤があるんだよ!! 察して欲しい部分だよ」

「はぁ、分かったよ。ならイーストウッドに行って、何か剣買って来ようぜ」

「いいの!?」

「使えない聖剣を何時まで持っているよりは、使える剣を持っていた方が良いだろ」


 流石、お兄ちゃん!!

 新しい剣を装備するなんて言うのは全く思いつかなかったよ!!

 それに新しい剣をプレゼントしてくれるなんて!!

 これはもう結婚してくれって言っている様なものだよね。


 イヤッフーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!


「少年、安請け合いしているようだが、業物の剣は高いぞ?」

「えっ!? いくら位なの?」


 後ろの方で何か言っていたけど、良く聞こえなかった。


++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++


 翌日、お兄ちゃんから剣をプレゼントして貰った。

 チアキがなんかニヤニヤしていたけど、お兄ちゃんから貰えた剣は素晴らしかった。

 これこそ聖剣だよ!!

 もうこんな古びた中古品なんて必要ないね。


 取り敢えず、この剣を使って新しい技を開発しよう。

 そしてお兄ちゃんに新技を見せて褒めて貰うんだ。


 新技が完成したら、魔王を誅して、聖女を害して、賢者を弑するんだ。

 そしたら、わたしの天下だよ!!

 お兄ちゃん褒めてくれるよね……。

 ねぇ……、お兄ちゃん…………。


新しい剣はお兄ちゃんがチアキに借金をして買っております。

4人の仲ではチアキが一番金持ちです。


後、いつもブクマ・評価等有難うございます。

引き続き頑張っていきますので、応援よろしくお願いします。

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