麺ファイト開幕!! 村が舞台だ!!
あれから3日経った。
俺はチハル達の協力を受け、色々と試行錯誤を繰り返し、至高の麺料理に辿り着くことに成功したのだ。
これなら、あの変態に勝てる!!
ワーー!! ワーーーー!!
麺ファイトに向け、村はお祭り騒ぎになっていた。
辺境の村で大した娯楽はないので、こう言う盛り上がれそうなイベントがあると村全体で躍起になるのだ。
来賓席にはこの辺りの領主とかイーストウッドの冒険者ギルドの長とかそれなりに偉い人たちが揃っている。
あの人達、こんなイベントに来る余裕よくあったな……、暇なのか?
それにしても、物凄い盛り上がりだ。
俺はこんな中で戦うのか……。
その会場の熱狂具合に思わず身震いする。
「あっ、お兄ちゃん!!」
そんな俺に気付いたのか、チハルが声を掛けてくる。
いや、気付く気付かないじゃなくて、こいつはスキルで俺のいる場所が分かるのだった。
恐ろしい女だ……。
「今日の勝負大丈夫なの?」
「ああ、任せておけ」
「本当に? チアキと何かやっていたみたいだけど……」
チハルの言う通り、俺は応援でやって来たチアキと必勝法について相談していた。
「大丈夫だ!! この麺ファイトには必勝法がある!!」
なので、俺はチハルに自信を持ってそう言う事が出来るのだ。
流石は賢者様である。
賢い者と言う二つ名は伊達ではない!!
「お兄ちゃんがそこまで自信を持つってことは大丈夫だね!!」
そんな俺の言葉にチハルは安心した様だ。
俺に対する無駄に大きな信頼感……。
この期待は裏切れないな!!
そして俺は選手入場口に向かう。
「皆さん、こんにちは。チナツ・グレイシアです。本日はチフユ・シルエスタが新たな魔王としてどう人間と向き合う事になるのかを決める重要な一戦です。解説は、元麺ファイト王都代表でもあるジャック牧師に来ていただいております。牧師、本日はよろしくお願いします」
「こんにちは、よろしくお願いします」
会場に行くと何故かチナツが実況をしていた。
解説にはジャック牧師もいる。
と言うか元麺ファイト王都代表って何?
そんなに麺ファイトって歴史のある戦いだったの?
というか何で上司のそう言った経歴をチナツは聞いてないの?
様々な疑問が頭の中を駆け巡るが、チナツの始まったばかりなのに疲れた様な、不機嫌そうな顔を見ていると何も言えなくなってくる。
「牧師、本日の試合なんですがどう言った所に注目されていますか?」
「そ~ですねぇ~。今回は久しぶりの人間と魔族による麺ファイトとのことですが、どちらもまだ手の内を明かしていないのが現状です。人間側の代表は、チナツさんの義理のお兄さんという事で先日お会いしましたが、麺職人として素晴らしいオーラを体から出していましたからね。彼が麺職人になってから5年という事ですが、このまま行けば王国でも有数の麺職人になることが出来るのではないでしょうか」
「それは期待できそうですね」
「魔族側もカップ焼きそばですか? あの即席麺の第一人者という事で、非常に恐ろしい敵になるのではないかと思います」
「なるほど、有難うございます。さて、そうこうしている内に選手達が会場に登場してきました。先に登場したのは魔族側の代表一平ちゃんだ~!!」
「凄いですね、彼。今、影から出てきましたよ。」
「手元にある経歴書によると、彼はプロイセン忍術の使い手とのことです」
「忍者ですか~。その内、影分身とか壁抜けとか色々と見せてくれそうですね」
「影分身は、この間勇者と戦っている時にやっていましたね」
「それは凄いですね」
「おっと、そうこうしている内に反対のゲートから人間代表が登場だ~!!」
「流石、この村出身だけあって歓声が物凄いです。」
「人間界の今後は彼の手に掛かっていると言っても過言ではないですからね」
チナツを無理をしているのがバレバレな実況にいたたまれなくなり会場に入場したが、観客席が満員であった。
チナツに視線を向けると、恨みがましそうで妬ましそうな視線を飛ばしてきた。
そして、変態が俺を見る!!
「よく来たな、少年!!」
「当り前だ。チフユの未来が掛かっている以上、俺はどんな手を使ってでもお前に勝つ!!」
変態に俺はそう宣言する。
「良い覚悟だ!! 良いファイトを期待する!!」
「ああ!!」
俺達は実況席の前に行き、試合前の固い握手を交わす。
「それでは、牧師。麺ファイトを知らない人たちのためにルールの説明をお願いします」
「わかりました。麺ファイトとは一人またはチームで既定の時間内に麺料理を作りあい、審査員の得票数が最も多い方が勝者となります。今日の試合では、審査員が3名いらっしゃってますね。」
チナツ達がタイミングがいいと思ったのか麺ファイトのルールについて説明する。
まぁよくある料理漫画の戦い的な奴だ。
「なるほど、わかりました。それでは、今お話の合った審査員についてご紹介していきましょう。一人目は、皆さんご存知我らが人間族の勇者、チハル・グレイシアです!!」
「お兄ちゃーーーーん!! 頑張ってねーーーー!!」
チナツの紹介に合わせ、チハルは俺の方に手を振ってくる。
「可愛らしい応援ですね。心の温まる風景です」
「牧師。ロリコンですか?」
「いえ、有難うございます!!」
牧師は相変わらずの変態の様だった。
目の前にいるのも変態なので、牧師の事は今後は中年変態と呼ぼう。
「二人目は、何時の間にかチフユの家に転がり込んでいた紅い狐、うどんです!!」
「二匹目じゃないですかね?」
「そうとも言いますね。しかし、狐は人間と同じ食べ物を食べることが出来るのでしょうか?」
「その辺りも今回の戦いの見所の一つになるかと思いますよ。」
二人目の審査員はうどんである。
うどんもチハルと同じように、紹介のタイミングで甲高い声で鳴いていた。
一部の獣好きから「かわいいーー」とか言う声が聞こえてくる。
チハルよりも観客への愛想が良かった。
「三人目は稀代の魔術研究家、大賢者として各方面で名前を馳せているチアキ・リーフィアさんです!!」
「よろしくお願いするよっ」
チアキは観客に手を振りながら挨拶をし、俺の方を見るとガッツポーズをした。
さて、ここまで紹介すれば分かるだろう。
この麺ファイトの必勝法。
――それは、審査員を味方につけることだ!!
そして、麺ファイトが開幕する。
「それでは皆さんご一緒に!!」
「「「麺ファイト!! レディ~……、ゴーーーーーー!!!!!!」」」
全ては俺の思うが侭だ!!
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