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チフユの選択 魔王城に行くのか行かないのか


 さて話がズレまくっている気がするが、根本的な問題はチフユが魔王城に行くかどうかだ。

 チナツとチハルの意見を聞く限りだと、魔王城に行くのは確かに時期尚早な気はする。


「んで、どうするんだ?」


 改めてチフユに尋ねる。


「行く気ないけど」


 チフユはあっさりと魔王城行きを否定した。


「理由を聞いても良いか?」

「だって一平ちゃんと魔王城に行ったら、兄さんの麺食べられなくなるじゃない」


 チハル程ではないが、かなり個人的な理由である。


「何だと!!」


 チフユの意見にいち早く反応したのは、チナツと言い争いをしていた変態である。


「私のカップ焼きそばよりも、そこの少年の麺の方が美味いと言いたいのか!!」

「当り前。このカップ焼きそば確かに美味しいけど、これだけで三食を過ごすのは無理」


 チフユの言うとおりだ。

 カップ焼きそばは、小腹がすいた時や非常食としては優れていると言えるが、単純に味としてみればそこまでではない。

 まぁ製法が気になるのは否定しないが……。


「ならば少年よ!! 貴様に麺ファイトを申し込む!!」

「何!?」


 麺ファイト……だと……。


「俺がそれを受けることに何かメリットがあるとでも?」

「貴様が私に勝つことが出来れば、明星派は魔王様を魔王城に連れて行くことを諦めよう!!」


 こいつ、そんな重要なことを簡単に諦めると言えるってことは相当自信があるのか……。


「分かった。良いだろう」


 しかし、チフユを掛けた勝負に俺も負けるわけにはいかない!!

 ここで勝負を降りる様な男は、チフユの婚約者を名乗れないのだ。

 少なくとも俺はそう思っている。


「フハハハハハ…………!! その粋や、良し!! 貴様にも準備があるだろう!! 勝負は三日後、ここの村で行う!!」


 三日後か……。

 準備は間に合うのか?


「貴方ごときが兄さんに勝てると思わないで!!」


 俺が及び腰になっているのを感じたのか、チフユが変態に食って掛かる。

 そうだな。

 チフユにここまで応援されているんだ!!

 俺も負けるわけにはいかない。


「フッ、日和ったかと思えば、良い目をしている!! 三日後の勝負を楽しみにしているぞ!!」


 そう言って、一旦変態は引き上げて行った。


「ていうか、麺ファイトって何よ……?」


 チナツのその言葉が耳に残った。



「さて、麺ファイトって何だ?」


 変態がいなくなってから、俺は仲間達に麺ファイトについて尋ねる。


「あんた……、分かってて勝負に乗ったんじゃないの?」

「いや……、なんとなく、あの空気に乗らないといけない気がしてな……。それに、あそこで勝負に降りたら男が廃る!!」


 後悔先に立たずとはよく言ったものだ。


「お兄ちゃんなら大丈夫だよ!!」


 チハルは根拠のない自信で俺を励ます。

 しかし麺ファイトか……。

 魔王軍ならではの決闘だとしたら――――


「うどんとそばなら知ってるんじゃないか?」


 そう思い、うどん達の方を見る。


「コーーーン」


 うどんは俺の言葉に反応して鳴いた。

 うん、何を言っているのか分からん。

 と言うかうどんとそばは、狐と狸の癖に変化して人間にならないのか?


「チフユ、翻訳を頼む」

「分かった」


 仕方がないので、うどん達とコミュニケーションの取れるチフユに麺ファイトについて聞いてもらった。


「つまり麺ファイトって言うのは、麺を使ったフードファイトみたい」


 数分後、うどん達から事情を聴取したチフユは俺達に説明を始める。


「フードファイトと言っても作る方なのか、食べる方なのか、どっちなんだ?」

「今回は作る方みたい。一平ちゃんも麺職人を名乗っていた訳だし」

「なるほどな。しかし作る方と言っても俺は麺づくりが出来るだけで、スープだとか具とかまでは専門職って訳ではないぞ」


 麺料理は、麺が全てと言うわけではない。

 中華麺や洋麺であればスープの方が麺より重要になってくる。

 かと言って和麺系統は、一緒に出てくる具が勝敗に大きく関わってくるだろう。

 どちらも俺の専門分野ではない。

 ――どうする?


「大丈夫だよ。料理を出す時に『おあがりよ!!』って言って、終わった後に『おそまつ!!』って言えば、もう勝ちだよ」

「それは何かが間違っている」

「後は後攻を取ることが出来れば大体勝てるよ!!」


 チハルは最近、何かの料理漫画を見たのだろう。

 確かに、あの漫画はそうだったけどさ。


「チハルそれは違う」

「何でよ?」


 チフユが颯爽とツッコミを入れてくれるみたいだ。


「先攻でも勝ってた戦いがあった」


 ツッコむ内容が間違っていた……。


「取り敢えず、何の料理を作るかから考えていった方がいいんじゃない?」


 そんな中、チナツが建設的な意見を言ってくれる。


「そうだな。食材の準備もしないといけないし、三日と言う時間は意外と短い」

「食材の調達はわたしがやるよ。王様たちを脅せば、世界中の食材を無償で手に入れられるはずだし!!」


 チハルかから心強い意見が出た。

 と言うかこの間から王都の資金を私的流用しまくってる気がするけど大丈夫なのか?


「そうなると一回王都に戻るのよね? ならチアキにも声を掛けましょう。あいつなら小賢しい知恵を出してくれると思うし。後、別にあんたに協力したい訳じゃないんだからね!! 魔王城にチフユが連れてかれると面倒だから手伝うだけなんだから!!」


 チナツも何だかんだで手伝ってくれるらしい。

 しかし、最後のテンプレは一々言わないといけない呪いでもあるのか……?


「私も村の皆に声を掛けて麺ファイトの会場の準備をする」


 それは手伝いなのか?

 まぁ会場があった方が盛り上がるだろうが……。


「コーーン!!」


 何を言っているか分からないがうどん達も協力してくれるみたいだ。


「よし。取り敢えず方向性も決まったことだし、一旦解散して各自準備に入ろう!!」


 俺の声に従い、それぞれ自分の目的地に向かう。

 すると、すぐチハルが戻ってきた。


「そう言えば、お兄ちゃん。何作るの?」


 あっ、何か良い感じの空気だったから忘れてた……。


いつも応援有難うございます。

20話も過ぎると後書きで書くバリエーションも無くなってきますね。

引き続き頑張っていこうと思うので、ブクマ・評価等入れてって頂けると助かります。

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