明星派の目的と勇者の能力
カップ焼きそばの第一人者である変態が来たことによって、カップ焼きそばは滞りなく作ることが出来た。
チハルのカップ焼きそばの小袋は乾燥麺の下に隠されていた。
変態が言うにはかなりのレア度らしい。
即席麺に詳しいうどんとそばもその意見には同意していた。
「それで、そこの変態は何をしにここに来たんだ?」
「あんた、途中で会話に参加するのやめた癖に今更それを気にする訳?」
カップ焼きそばを食べながら、先程の会話の結論を聞こうとしたら、チナツからツッコミを食らってしまった。
「あの時はカップ焼きそばの魅力に取りつかれてしまっていたんだ」
「カップ焼きそばには、それ程の魅力がある。仕方のない事だ」
俺の言い訳に変態が賛同してくれた。
この変態は予想よりは良い奴みたいだ。
チハルに怪我をさせずに無力化させたことといい、ダンディな変態と言えるだろう。
「兄さんも予想出来てたと思うけど、私を魔王城に連れて行きたいらしい。」
「成程。そこの変態がチフユを魔王城に連れて行くことによって、明星派が魔王に最も近い存在であることをアッピルする訳か」
チフユの話を聞き、変態の考えを察する。
「そこの少年は中々頭の回転が速いらしいな。魔王様への接触は東洋派に先を取られてしまったが、誰が魔王城に魔王様を連れて来たかの方が重要。その為、私がここに来たのだ!!」
変態の意見も分かる。
魔王軍は新魔王を向かえるに辺り、派閥争いをしているらしいからな。
ここで魔王であるチフユを擁することで派閥争いに一歩先んじようとしているのだろう。
「チフユはどうするつもりなんだ?」
そうは言っても一番大切なことはチフユの気持ちだ。
チフユがここにいたいというのであれば、抵抗することもやむを得ないだろう。
「あたしは反対ね」
「わたしも!!」
しかし、チフユより先にチナツ達が魔王城へ行くことを反対した。
「どうしてだよ?」
「決まってるじゃない。そこの変態だけでも、あたし達の手に余るのよ。本拠地に乗り込んでどうにかなると思ってるの?」
チナツが先に理由を述べる。
「一応東洋派だっけ? そこは人間との戦いを否定しているみたいだけど、それでも魔王軍の1/3の割合に過ぎない。過激派の日清派を黙らせられるだけの戦力が揃っている訳じゃないのよ。なら、ここで防衛戦をしている方が幾分かマシだと思うけど?」
「それはそうかもしれない」
チナツの言葉は一理ある。
「それにそこの明星派の即席麺による世界征服だって、どういう意味なのか分からないから、最悪人間の敵になることだってあるのよ。そうしたら、周りの大半があたし達の敵になる。リスクが高過ぎるわ。」
「フハハハハハ…………!! 何を言っている!! 食べる者がいてこその食べ物よ!! 人間をすべて滅ぼすなど笑止!!」
チナツの意見に反対したのは、ダンディな変態である。
「じゃあ、即席麺による世界征服って何よ?」
「決まっておろう!! 三食すべてを即席麺にする計画よ!! 朝、昼、晩、全ての食を即席麺と義務付けることにより、食による争いを無くすのだ!!」
「生活習慣病になるだけじゃない!! 三食、即席麺なんかにしたら栄養の偏り、カロリーの過剰摂取で殆どの生物が滅びるだけよ!!」
なんか小難しい事を言い始めたが、取り敢えずチナツの意見は分かった。
「チハルは何で反対なんだ?」
「決まってるじゃない。チフユお姉ちゃんが魔王城に行ったら、お兄ちゃんだってついていくんでしょ?」
「まぁそうなるな」
「そしたら、お兄ちゃんに会いづらくなるじゃない」
チハルの方は凄い個人的な意見だった。
ハハッ、可愛い奴め。
「それにチナツの言う通りでもあるよ。敵の数も分からないで適当に本拠地に攻めてってどうにかなるのは、Fランクとか底辺とかを詐称している辺境スローライフを満喫している奴だけだよ」
「それは、また偏見だな」
確かにそう言う生活をしている奴がチート能力を持っているのは一部の人達の間では有名である。
「どちらにしても、ああ言うチート能力がないとどうにもならないって事だよ」
「と言うか、お前は勇者なんだからなんかチート能力持ってるもんじゃないのか?」
「一応あるけど、わたしのは限定的だからね」
チハルはそう言って出し渋る。
あまり、自慢出来る様なものではないのか?
「ちなみに、それは何なんだよ?」
「対象の性的志向から今日の体調、考え方、正確な所在地点、能力を即座に判断する能力だよ!!」
一応尋ねると、規格外の能力が帰ってきた。
それは【鑑定】とか言う大人気能力じゃないか。
男が持っていれば、可愛い女の子のスリーサイズとか調べちゃう奴。
上級紳士であれば更に色々と女性を丸裸にすることが出来るだろう。
俺も欲しい位だ。
「それは【鑑定】とかいうチート能力じゃないか」
「でも対象は一人しか設定できないからね。変える事も出来るけど変える気ないし」
「一応聞いておくが、誰を対象にしているんだ?」
「聞かなくても分かってるでしょ。お兄ちゃんだよ!!」
この少女は万能チート能力をストーカー行為に使っているらしい。
もう少し、人のためになることに使って欲しい。
と言うか、それって俺の私生活はチハルに監視されているってことだよな?
なんか色々とヤバい気がしてきた。
これ以上考えると沼におちいりそうなので、話題を変える。
「その能力使えば、変態とかうどんとかにも勝てたのでは?」
「所詮は補助能力だし。直接、戦闘で役に立つ訳じゃないからどうだろうね」
「そうは言っても、弱点とか分かれば便利なんじゃないか?」
「お兄ちゃんは勘違いしているけど、戦闘中の敵の弱点をピンポイントで攻撃するのは凄い高い技量が必要なんだよ。【鑑定】を持っているからと言ってその弱点を攻撃できる訳じゃないんだよ」
確かに狩人に聞いたことがあるが、移動標的に矢とかナイフを当てるのは非常に難しいらしい。
それと一緒ってことか。
「それに弱点属性だって、自分が使えないと意味ない訳だしね。全く役に立たないとは言わないけど、そこまで戦闘に有効性があるとは言えないよ……。つまりこの能力を使いこなすには、高い技量かその情報を有効活用できる仲間が必須だってことだね」
そうチハルは自分の能力について締めくくった。
ていうか、こいつこんなに理知的な話できるんだな。
16年近く一緒にいて初めて知った事実であった。
いつも応援有難うございます。
前話で目出度く30000PVと評価ポイント400点越えが達成できました。
引き続き更新頑張りますので、ブクマ評価等入れてって頂けると助かります。




