即席麺を入手するための100の方法
俺が魔王軍に入ることを決めた翌日、麺の仕込をしていると一つ重要なことに気付いた。
「そもそも魔王軍ってどうやったら入れるんだ?」
魔王軍について詳しく知っている人間が周りに一人もいないのである。
正確にはうどんとそばは知っているだろうが、あの二匹とはコミュニケーションが取れない。
根本的に魔王城とか何処にあるんだ?
そう考えると魔王軍には分からないことが多い。
四天王に人間との会話能力があるのか?
そもそも、即席麺をどう言った経緯で開発したのか?
魔王軍の主力商品は中華麺なのか、パスタなのか、日本麺なのか?
魔王軍には著名な麺職人がいるのか?
考えれば考えるほど、謎が増えていく。
やはりチフユの所に来るであろう魔王軍を一度捕まえて、話を聞く必要があるな。
出来れば、明星派の奴が好ましい。
しかし捕まえるとなるとこちらにも戦力が必要になるな……。
近いうちに、チナツ達が来るだろうし相談してみるか。
そんなことを考えていたら、ドアが勢いよく開かれた。
「わたしの ゆうしゃとしての ちが さわぐ!!」
チハルである。
手にはたいまつを持ち、少年誌の表紙を飾れる程のかっこいいポーズをしている。
後ろには呆れているチナツがいた。
思ったらすぐ来るとは優秀な妹達である。
「あんた、馬鹿なこと言ってないで早く入りなさいよ」
「馬鹿って何よ!! 今のはタイタンの中でも最も恐ろしい悪魔を倒すために挑んだ著名なゆうしゃ(自称)の台詞だよ!! わたしの中で言ってみたい台詞上位に入ってたんだからね」
「どうでも良いんだけど……」
チナツはチハルの相手を諦めたのか俺を見る。
「久しぶりだな、チナツ」
「ふん、あんたに会いに来た訳じゃないんだからね」
相変わらずのツンデレである。
俺に会いに来たわけではないと言いつつも、俺の所に来る。
初歩的な技だな。
「丁度いいところに来てくれたな。お前達に頼みたいことがあるんだ」
俺はそう切り出し、昨日チフユから聞いた話を話した。
「つまり、あんたは即席麺を作れる様になりたいってこと?」
「その通りだ」
「それなら魔王軍を討伐して、その明星派とか言うのを拷問にかけて聞き出せばいいんじゃない?」
チナツの意見はバイオレンスだった。
「明星派だってそれなりに人数いるんだろうし、2人位若い子供達を見せしめに凌遅刑にかけてやればその内喋るでしょ」
「それはやり過ぎだろ……」
チナツの過激な意見にドン引きする。
まぁ単純に実の両親が魔物に殺されているので、魔王軍が嫌いなだけの様な気もするが……。
「わたしはお兄ちゃんの頼みって事であれば喜んでやるよ」
チハルはチナツと違い、俺の意見に全面的に賛成してくれた。
こっちはこっちで俺の意見に反対したことがないため何とも言えない。
「チフユお姉ちゃんの近くに来るであろう魔族を捕まえて、お兄ちゃんのいう事を聞くように調教して、聞くことを聞いたら、魔王と一緒に誅すれば良いってことだね」
全面的ではなかった。
俺はチフユを討伐しろとは言ってない。
と言うか何でこの二人はこんなに血生臭い事を好むんだ。
育て方間違ったのか?
「どちらにしても、そうなると当分はこっちいないと駄目って事ね」
「なんだ、やってくれるのか?」
「あたしがあんたの頼み聞かないことがあった?」
「そう言えばなかったな」
そうチナツは何だかんだ言っても、俺の頼みを聞いてくれた。
最初は反対したり文句を言っているのだが、結局は手伝ってくれるのである。
「最終目的は即席麺の正しい作り方を魔族から入手すること。途中経過についてはあんたの希望に添えないかもしれないけど」
「わたしも手伝うよ。チナツにだけ良いかっこさせる訳にはいかないしね」
「すまない、助かるよ」
この二人がいれば魔王軍はどうにかなるだろう。
途中経過についてはしっかり見張っていればいい。
「そう言えば、あたしの部屋まだあるの?」
確かにチナツは王都に行くにあたって家の荷物を全部撤去していた。
「そう言われるとないな」
「それじゃあ、あたしは滞在中何処で生活すれば言い訳?」
「俺の部屋で生活すればいいだろう」
「嫌よ。あんたの部屋でなんか生活したらまともに寝られないじゃない」
「そうだよ!! それにお兄ちゃんは何処で生活するのよ!!」
俺の意見は二人にあっさりと却下されてしまった。
チナツは髪を弄っていたので満更でもなさそうだったが……。
「それじゃあどうするんだよ?」
「普通にチハルの部屋で良いわよ」
「えっ!?」
チナツの意見にチハルがギョッとしていた。
「何? 嫌なの?」
「いえ、ダイジョウブデス。」
チハルはチナツの圧に負けてしまった様だ。
「なんか、よくよく考えるとあたし来た意味あんまりなかったわね」
「いきなりどうしたよ?」
チナツがぼやき始める。
「だって魔王の魂をどうにかするとかで来たのに結局魔王の魂はないし、あんたの変な頼みは押し付けられるし、何しに来たんだろうって思っても仕方なくない?」
確かにチナツを呼んだ要件とは最早関係のない事になっているのは否定できない。
「何言ってんだよ。俺はお前の顔が見れただけでも嬉しいぞ。と言うかお前はもっとこっちに帰ってこいよ」
それでも、こいつは本当に用事がない限りこっちに帰ってこないのだ。
だから俺はチナツにそう言ってやるのだ。
「なっ、何恥ずかしい事言ってるのよ!! ばっかじゃないの!?」
答えは予想した通りではあったが……。
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