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当代の魔王


 取り敢えずチフユと話をするために俺の製麺所に向かった。

 チハルが暴れて被害が出ても、一番なんとか場所である。

 本当に壊れたらチアキ経由で王宮に修理費用を請求しよう。


「それで何で私が魔王な訳?」


 チフユの足元には翠の狸と何故かあの後復活した紅い狐がいた。

 紅い狐が無事だったことに安心したのか翠の狸が紅い狐の肛門の匂いを嗅いでいる。

 アレは犬の業界で『ご機嫌いかが?』と聞いている行為だ。

 紅い狐も翠の狸に同じ行動をして戯れている。

 魔物なのは解っているがホンワカするな。


「そういう訳でチフユさんには魔王の疑いが掛けられているんだよっ」


 俺がケダモノの行動に注視している間に、チフユ達の話は進められていた。

 なお、チアキ達が何故チフユを魔王だと思っているのかの具体的な説明は聞き逃した。

 狐と狸がいけないのである。


「それだけで私が魔王とは言い切れない」

「うちも最初はそう思っていたんだけどねっ。その狐と狸は魔物だよね?」

「それが?」

「普通、魔物は人間に懐かないんだよっ。そんな魔物が懐いていること自体がおかしいんだよ」

「兄さんにも懐いてるみたいだけど?」


 チアキとチフユの舌戦は続いている様である。

 狐と狸が俺の足元に来たので、調理場に行き油揚げとかき揚げを2匹に提供した。

 二匹とも尻尾を振って大喜びだ。


「兄様、話合いに参加してないと思ったら何してるのかなっ?」


 チアキは俺のそんな姿を見て、青筋を立てていた。


「そうは言っても、チフユが魔王だろうがそうじゃなかろうがチフユであることに変わりないだろ?」


 先代の魔王の魂に乗っ取られて人間を滅ぼすとか、そういうことを言い始めたのであれば対応を考えなければいけないだろう。

 でも、俺の目にはチフユがそういう事をしようとしている様には見えなかった。


「そういう問題じゃないんだよ、お兄ちゃん!!」

「なんでさ?」

「チフユお姉ちゃんが魔王だったら、合法的に討伐できるんだよ!! お兄ちゃんの、婚約者の席が空くんだよ!! これは大きなことだよ!!」


 チハルは世界の事よりも俺の結婚相手が誰なのかの方が重要らしい。

 こういう時は普通、『魔王がいると魔物が狂暴化して危険だ』とかか、『魔王の魔力は人間を狂わせるからいるだけで害悪なんだ』とか言うものじゃないの?


「ちなみに、チフユは魔王だって言う心当りみたいなのは何かある訳?」

「最近、頭の中で『力が欲しいか』とかいう声が聞こえた」

「その質問にはなんて答えたんだ?」

「くれるんなら貰うって。そしたら、この狐と狸が側にいた」


 チフユがケダモノの方を見ると二匹はチフユの目線に気付いたのかチフユの側によって来た。

 完全に懐いているな。

 というか訳分からないものから、安易に力を貰うなよ……。


「多分それが魔王の契約だねっ。その時からチフユさんは魔王になってしまったんだよっ」

「いや、そんな郵便物の受取じゃないんだし、そんなんで魔王になれたら苦労しないだろ……」

「今の時代は、魔術書を一冊読めば魔法が使える時代だよっ!!」

「それにしても適当過ぎるだろ」


 チアキの暴論にちょっと呆れてしまった。

 賢者なんだからもう少し賢い意見を出してくれ……。


「ちなみに、その後頭の中に声が届く様なことはなかったのか?」

「一応、今でも『人間を滅ぼせ』とか『体の主導権を寄越せ』とか言ってる」

「それ完全にやばい奴だろ」

「そうかもしれないけど大丈夫」

「大丈夫って何がだよ?」

「兄さんが人間である以上人間は滅ぼせない。それに体の主導権渡して兄さんを傷つけたくもない。つまり、私の胸の中に兄さんへの愛があれば問題ない」


 完全に他の人が聞いたら信じられないっていう様な理由だな。

 実際にチハルがそんなのは信用できないって顔してるよ。


「本当に大丈夫なのか?」

「心配してくれるのは嬉しいけど、大丈夫」

「わたしは信用できないね!!」


 予想通り、チハルが噛みついてきた。


「どうせ、その力を使ってお兄ちゃんに乱暴するつもりでしょ? 薄い本みたいに!!」


 どんな理論だよ……。そしてチフユもそれもアリかもみたいな顔しないでくれ。


「そんな事は考えてない」


 チフユは俺の視線に気づいたのか、キリっとした顔で返答する。

 今更、遅いぞ。


「嘘だ! わたしだったら、絶対にやるもん!! チフユお姉ちゃんがやらない訳ない!!」

「私は貴女程、恋愛脳をしている訳じゃない。それに無理して既成事実を作った所で、兄さんは幸せにならない」

「ムキーーーーーー。そういう正妻面がムカつくんだよ!! やっぱり一回白黒つけないと駄目みたいだね!!」


 正妻面もなにも許婚だから正妻なんだが?

 というかここで聖剣抜くのは止めれ。


「チアキ、チハルをいい加減止めてくれ」

「兄様が自分で止めればいいんじゃないかなっ?」

「チハルに燃料投下するだけだろ」

「それもそうだねっ」


 そう言ってチアキはチハルを羽交い絞めにしに行った。

 いや、本当に思うけどなんで賢者の方が勇者より力強いの?

 あれはチアキが強いのか、チハルが弱いのか、永遠の謎である。



「結論としては、【チフユさんの体の中に魔王の魂と力がある】、【魔王の魂はチフユさんの体を乗っ取ろうとしている】、【チフユさんはそれに愛の力で贖っている】、【狐と狸は魔王の眷属っぽい】ってことかなっ?」


 一段落付いてからチアキがまとめに入った。

 しかし愛の力って凄いパワーワードだな。

 後で恥ずかしくなってくる感じ、青春だな!!


「それが分かったからと言ってなんかやり様あるのか?」

「チナツ様を招聘します」


 相変わらずチナツ関連になると言葉遣いがおかしくなる奴である。


「チナツ呼ぶと何か変わるのか?」

「チナツは聖女だからね。魂関連の事に関してはエキスパートだよ」


 俺の疑問にチハルが答える。


「つまりチナツを呼んで、チフユの中にある魔王の魂をどうにかするってことか?」

「そういう事だねっ」


 一応相手は魔王なんだが、いくら聖女とは言え大丈夫なのか?


「チフユもそれで良いのか?」

「別に構わない。棚ぼたで手に入れたものだしあってもなくても、私が死ななければ構わない」


 お前も自分の事なんだからもう少し頓着してくれ……。


何だかんだで20000PV達成しました。

ここまでやってこれたのは皆さん方のおかげです。

本当に有り難うございました。

今後も更新頑張るので応援よろしくお願いします。

後下の方の☆もつけてって貰えると助かります。

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― 新着の感想 ―
[一言] ヒロイン?の名前がチ~ばかりだから、たまに頭の中でこんがらがってくる。
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