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麺職人としては昼飯には麺が食べたいのだ


 魔術研究所から出た俺達は昼飯を食べに市場に向かった。

 大人の玩具のお店があった区画だ。

 そして、流石は王都である。

 そこには様々な麺類の店があったのだ。

 そば屋、うどん屋、スパゲッティ屋、ラーメン屋…………。

 その中で特に目を引いたのは、刀削麺である。

 店の前で職人が大鍋に向い、一定のリズムを刻みながら、麺を削っているのである。

 それはまさに芸術であった。

 あのスピード、麺の厚さを均一にする技術力。

 あいつはエースだ!!

 奴は俺が見ていることに気付いたのか、ニヤリと笑った。

 これは俺も負けていられない。

 俺の麺職人としての血が騒ぐ。


「チハル、中力粉と水を準備しろ!!」


 俺は思わずチハルに指示を出す。


「えっ?」


 突然の指示だったからかチハルは驚き戸惑っている。


「グズグズするな!!」

「うん、分かった」

「チナツは鍋の準備を、チアキは鍋が来たら水を入れてお湯を沸騰させてくれ!」


 チナツ達にも指示を出す。


「兄さん、落ち着いて」


 チナツ達が俺の指示に従い走り出そうとしたところでチフユが止める。


「なんだ、チフユ!?」

「刀削麺は麺をこねてから数時間寝かせる必要がある。いまから準備しても間に合わない」

「なん……だと……」


 チフユの意見に冷水を浴びせられた。


「っく、俺は奴に勝てないというのか……?」


 思わず項垂れてしまった。


「俺にも、俺にも時間があれば……」

「よく考えれば、思い付きで麺作った所で大した物できないでしょ」


 チナツも最もな意見を言ってくる。


「兄様。帰りに材料を買って、夕飯に美味しい刀削麺を作ってくれれば、兄様の勝ちだよっ」

「チアキ、駄目な従兄ですまない」

「そんなことないよっ」

「というか、いつまでも道の真ん中で項垂れてないでよね。通行の邪魔になってるから」


 チアキに慰められていたら、チナツに怒られてしまった。

 チナツが俺の手を引っ張って、立ち上がるのを手伝ってくれる。


「そういえば、チハルは?」

「あの娘ならあんたの指示に従って小麦粉買いに行ったわよ」

「おい、大丈夫なのか?」 


 帰りに結局買おうとしているとは言え、今から買ったら重たくて動けるものではない。


「チフユさんが探しに行ってるから、大丈夫じゃないかなっ?」


 チアキの言う通りチフユの姿が見当たらなかった。

 俺にツッコミを入れてから直ぐにチハルを探しに行ってくれたのだろう。

 くっ、あいつには頭が上がらないぜ!



 チハルは無事チフユに連れられて帰ってきた。


「チハル、すまなかった。ちょっと興奮しすぎた」


 俺はチハルに土下座をし謝る。


「まぁお兄ちゃんだから、しょうがないよね。でも、罰として給料三か月分の指輪買ってよ」

「マジか?」

「うん。それだけの事をお兄ちゃんはしたんだよ」

「それで許してもらえるなら、しょうがないな」


 くそ、俺の責任ではあるが当分は極貧生活だ。


「兄さん、それ結婚指輪の値段……」


 チフユがなんか言っていたが、雑踏の音で聞こえなかった。

 チナツ達の視線も冷たかった。



「それで結局どのお店に入るの?」


 落ち着きを取り戻した俺達は再度店の検討に入った。


「そば屋にしよう」


 チナツの質問に俺はいの一番に答えた。


「何でよ?」

「そばは切る、ゆでる、焼く、煮る等のすべての技術を必要とした高等料理だ。それにつなぎを一切使わない十割そばであれば、そこの店の職人の技前を確認することも出来る」

「完全にあんたの趣味じゃない」


 チナツに呆れられた。


「なら、他に意見はあるのか?」

「甘味が食べたい」


 俺の意見に戦いを挑んできたのはチフユである。

 というか、この面子で俺の意見に反対するのはチナツとチフユしかいない。

 チハルはお兄ちゃん至上主義者な為、俺の意見に反対することはない。

 チアキは食にあまり興味がないので、美味しければ何でもいいのである。

 そして王都で店を出している位だから、基本的にこの辺りの店はうまいのだろう。


「甘味はご飯じゃないぞ」


 取り敢えず一般的な意見でチフユの意見に反論する。


「女の子にとっては甘味はご飯」


 なに!?


「そうなのか?」

「あたしに聞かないでよ……」


 思わずチナツに意見を求めるが一蹴されてしまった。


「まぁそういう意見もあるよねっ」


 チアキはチフユの意見に賛成の様だ。


「お兄ちゃんの意見に逆らうなんて許せない……」


 チハルの目からはハイライトが消えた。

 これは不味い。

 ここで殺傷沙汰になったら誰も幸せにならない。


「よし、チフユの意見は分かった。だが、そば屋にだって団子や白玉とかがあるはずだ。それは甘味ではないのか?」

「ちょっと違う。餡子と砂糖は同じ方向を向いているけど味が違う」

「あんた達、いい加減にしなさいよね。そば屋でご飯食べてから、喫茶店で甘味食べればいいじゃない」


 俺とチフユの意見が平行線になりそうになったのを察したのか、チナツが折衷案を出してきた。


「分かった、それで行こう」

「私もそれでいい」


 そうして俺達はそば屋に向かったのである。



 そばは素晴らしかった。

 目から鱗が落ちた様だ。

 俺ももっと精進しないといけない。


他に書いてた短編小説で会話文の前にスペースいらないだろと至極最もなご指摘を頂いたため、前回迄と今回分を修正しております。

他にもここをこうしたら見やすくなるとか、もっとこのキャラ出して欲しいとか等のご意見があれば、感想等で言っていただければ検討するので併せてよろしくお願いします。


後、いつもの言葉になって恐縮ですが、ブクマ・評価等ありがとうございます。

励みになってますので、引き続き応援(ブクマ・評価等)よろしくお願いします。

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