王都観光
翌日になった。
チナツと王都案内という名のデートに行く日である。
デートと言ってもチフユも付いてくる気らしいし、昨日その話をチハル達にしたらずるいとか言ってチハル達も付いてくることになった。
そんな訳で、俺的には久しぶりに妹達4人組が揃っているところを見られる訳である。
待ち合わせ場所の中央広場に行くと、噴水の前にチナツはいた。
なんでこういう広場って真ん中に噴水あるんだろうな。
見栄えがいいからか?
「あんたいつまであたしを待たせるつもりなのよ!!」
俺達の姿を見つけたからかチナツが声を掛けてくる。
「悪いな、そんなに待たせたか?」
ちなみにチナツとの待ち合わせ時間は1時間後である。
どうせ早く来てるだろうなと思ったら予想通りだった訳だ。
俺との約束が待ちきれなかったのだろう。
「本当よ!!あたしが来る10分前には待合せ場所にいろって言ったじゃない!!」
「チナツまた無茶なこと言ってる。そんなことばっかり言うとお兄ちゃんに嫌われるよ」
チナツの無茶ぶりにチハルがツッコミをいれる。
「うっ!」
チハルの意見にぐうの音も出ないみたいだ。
確かに、いつ来るかわからない奴より早く来るというのはストーカーでもしてないと無理だろう。
「成程、チナツは俺にストーカーをして欲しかったという事か」
俺の思い付きにチナツはギョッとしていた。
「そ、それは嬉しいけど、あたしも恥ずかしいっていうか……」
「兄さん……」
チフユの目が冷たかった。
「それで今日はどこ連れてってくれるんだ?」
気を取り直してチナツに尋ねる。
「まぁ王都って言っても大した物ないしね。何処か行きたい場所とかある?」
チナツに言われて気付いたが、王都ってそもそも何あるんだ?
大聖堂は昨日行ったし、冒険者でもないのにギルドに行ってもしょうがないし、王宮なんて行ったところで入れないだろうし。
「皆はお勧めの場所あるのか?」
仕方がないので、王都住まいの三人に聞いてみる。
「わたしは王宮から基本的に出られないからよく知らないの。お兄ちゃん、ごめん……」
「うちは魔術研究所とかお勧めだよ!! うちの職場見て欲しいなっ」
「まぁ一般的には劇場とか大図書館とか博物館とかあるけど。あんたあんまりそう言うの興味ないでしょ?」
三者三葉の答えが出た。
「よし、それじゃあ取り敢えず魔術研究所に向かうか」
そうして魔術研究所に向かう。
家族の職場訪問である。
「チアキは今何の研究してるんだ?」
「今は空間転移魔法とエルフ耳量産化計画を研究しているよっ」
なんか変な単語が聞こえたな。
「空間転移魔法ってこの間うちの村に来たアレだろ?」
「そうだね。対象の空間と空間を繋げてゲートを作るんだっ。そこを通ると行きたい場所に到着できるって訳だね」
チアキは魔術オタクらしく好きな話になるといつも以上に饒舌になる。
「そうは言っても好きな場所に移動できるわけじゃないんだよっ。到着先の魔術的な要素や地点の登録、距離に伴う魔力の消費量、発動するための起動術式、そう言った様々な要素が混じりあって初めて移動先を指定することが出来るんだよっ。この理論を見つけるの色々大変だったんだよ」
興奮しているせいか、チアキの耳が逆立っている。
「そんな細かい話されても解らんから。取り敢えず、凄い魔法だって言うのは解った」
「でしょ?」
チアキは自慢気に腕を組んでドヤ顔していた。
「そんなことよりエルフ耳量産化計画って何なのよ?」
チナツが先程の不審なワードに切り込む。
「決まってるよっ。兄様はエルフ耳が好きなんだよ」
確かに好きだが。
「だったら、王国民すべてがエルフ耳になれば幸せになれるってことだよっ!!」
「そうなのか?」
「彼女の頭の中ではそうなんでしょ」
俺の疑問にチフユは溜息をつく。
「ちょっと、エルフ耳好きとか初めて聞いたんだけど?」
チナツはチアキの言を信じたのかそんなことを言い始めた。
「確かに好きだが、俺はお前と違って性癖を晒す趣味はない」
昨日の大聖堂のことを指して逃げの一手を打つ。
「アレはそんなんじゃないって説明したじゃない!!」
「分かった、分かった」
「その顔は絶対分かってない!!」
チナツは顔を真っ赤にして否定する。
「つまりエルフを絶滅させて、わたしがエルフ耳になればお兄ちゃんの一番になれるってことだね。エルフ耳化の薬は既に完成されているみたいだし、チアキを何処かに監禁して作らせた上で殺せばわたしだけがエルフ耳になれる」
「チハル、そういう計画は心の中だけで考えなさい……」
隣ではチハルが立てた計画をチフユが止めようとしていた。
その後、魔術研究所を見学したがチハルとチナツがエルフ耳の薬を盗もうとしてチアキと研究所の職員に怒られていたのが印象的だった。
研究の内容は高度過ぎてわからなかったが、チアキは周りの職員と良い関係が築けているみたいでお兄ちゃんは安心したぞ。
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