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教会襲撃戦 その後

誤字報告ありがとうございました。

完全に見落としてた……。


 チハルの聖剣投擲と言うとち狂った行動により、リジーが墜ちると後の展開は早かった。

 僧兵達はあいつが捕まえて来た司教と司教の不正の証拠を見て敵対行動を止めた。

 やはり僧兵達の全員が司教の不正に関わっていた訳ではないのだろう。

 司教の不正を聞いて、その不正に気付かなかったことに反省するもの、今後の自分たちの境遇を不安に思うもの、様々な僧兵達がいたが、ナタリアが不正に関わっていなかった人達については、今回の件は不問にすると言った所で多少の動揺は治まった様だ。


「チナツ、良く合流してくれたな」


 そんなこんなで教会内が落ち着いて来た所で、チハルに亀甲縛りをしていたあたしにあいつが声を掛けてきた。


「別にあんたの為にやったんじゃないんだからね。あたしは教会内でこういう不正が蔓延ってることが許せなかっただけなんだから」

「はぁ、……相変わらずだな。何にしても大した怪我もなさそうで良かった」


 あいつはそう屈託のない笑顔を浮かべて来るが、そう言う事を言うなら思い付きで行動しないで欲しい。


「ちょ、チナツ! 締め付けすぎ!! お兄ちゃん、助けて!!」

「そう言えば、何でチハルは縛られてるんだ?」


 あいつとの会話を邪魔するかの様に、チハルがいけしゃあしゃあと助けを求めて来た。

 生意気な奴である。


「こいつは最後の最後でリジーにあたしを売ったのよ。この程度の罰で済ませてるんだから、感謝して欲しいくらいだわ」

「だからさっきから言ってるじゃん。敵を騙すには味方からっていうでしょ」


 チハルは訳の分からない言い訳を供述していたが、あそこであたしを騙す意味があった様には感じられなかった。

 別にあそこでチハルが聖剣投擲しなくてもリジー倒せてたしね。


「あんたがあそこでリジー側につく意味がなかったじゃないの」

「そんな事はないよ。リジーが上手い事チナツを削ってくれれば、わたし的に美味しい展開に運べたかもしれないんだし」

「それってあたしが死ぬ展開じゃないの?」

「…………」


 チハルは視線を逸らして苦笑いをしてきた。


「ちょっと、何とか言いなさいよ!!」


 そんなんで誤魔化される訳ないでしょ!


「まぁ、何にしても二人とも無事で良かったよ」


 そんなあたし達を見てあいつは苦笑いをしていた。

 本当に、チハルには困ったものである。



「それで、これからどうするつもりな訳?」


 取り敢えず、五月蠅かったのでチハルの亀甲縛りを解除しつつ、あいつに今後の予定について聞いてみた。


「ノープランだ!」

「はぁ?」


 あまりの堂々とした返事に二の句が継げなくなってしまった。

 いや、ここまで大事を起こした以上、次の手は早めに打たないとマズいでしょ。


「ちょっと落ち着いてくださいまし」


 僧兵達の説得が終わったのかナタリアが近づいてきた。

 ――失礼な、あたしは十分に落ち着いている。


「こうして教会内の不正を一掃した以上、芋づる式に我が公爵家にも調査が入るでしょう。共犯である以上はオルフェ公爵家にも何かしらの処罰が入るかと思います」


 ナタリアは何とも言えなさそうな表情で、今後予想しうる限りの展開を説明してくれた。


「本当にそんなに上手くいく訳?」


 しかし、なんだかんだ言ってもオルフェ公爵家は海千山千の貴族社会で生き抜いてきた家だ。

 そんな簡単に罪を認めて、贖罪するとは到底思えない。


「……まぁ、その辺はチアキがいるし大丈夫だろ」

「まさかあいつまたやったの?」


 あたしの疑問に対するにぃにの返答から察するに、チアキの奴公爵家をもう【洗脳】してるの?

 あいつの規範意識はいい加減叩き直さないと駄目かもしれない。

 まぁ何にしてもこれでこのエルードの関係が一段落つくのであれば良いと思おう。

 そっちの方があたしの精神的に良い気がする。

 深く考えたら負けだ。


「それで塵虫はどうするの?」


 チハルが床に転がっているリジーを指差してそう言ってきた。

 なんか毎回呼び方を変えるの、分かり辛いから止めてくれないものなのだろうか。


「そう言えばそうね」


 チハルの発言に合わせてリジーに視線を向ける。

 一応目を覚ましても問題ない様に縛って放置していたんだが、その縛り方に興味があったのか真冬が縛ってある縄をじっくり観察していた。

 頭の中でその縛り方を再現しようとしているのか、腕を一生懸命動かしている様は子供らしさを感じたが、やっている内容は完全に間違っている。

 さっきから静かにしてると思ったらあの娘何やってるの……。

 教育に悪いと思ったのか、あいつが慌てて真冬を回収しに行ったのに、ちょっと何とも言えない気持ちになった。


 まぁ真冬の事は置いておこう。

 取り敢えずはリジーの問題だ。


「別に冒険者同士のいざこざなんて日常茶飯事だし、別に彼女は教会の不正に関係ある訳じゃないのよね」


 現状リジーは別に法律に違反した訳ではないのだ。

 だからと言って、ここで変に解放すると後々面倒臭い事になるのは否定できない。


「はぁしょうがないから、取り敢えず連れて帰るわよ」

「別にいいけど、わたしは面倒見ないからね」


 捨て犬じゃないんだから、その反応はないでしょ。


「ていうかそれ以前に、わたし達何処に帰れば良い訳?」

「あっ?」


 そう言えば、隠れ家ぶっ壊されたまんまだ。


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