表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

115/125

教会強襲戦 その4


 チハルが引き起こしたであろう地震から10分程待つと、教会の人間と思しき男たちが出て来た。

 大半はガチガチに装備を固めた僧兵でその中心には守られるかの様に祭服を着た恰幅の良い中年男性がいる。

 多分あれが今回のターゲットの司祭だろう。


「……フハハハ!! よく来たな。貴様の悪行もそこまでだ!!」


 そんな集団を妙にテンションの高い空気で変態が出迎えた。


「何奴!!」


 何かこの辺の流れは一種の様式美だな。

 正義の味方が悪の一党を出迎える時の一種の流れだ。

 実際こちら側は半分が魔王軍関係者で、向こうが教会関係者なので立場的には真逆なのだが。


「こちらにおわすは北方にある大国を治める偉大な方のご息女であらせられるぞ! 頭が高い、控えおろう!!」


 変態はそう言って真冬ちゃんを前に出す。

 いや、何やってんの?

 手を腰に当ててエヘンと胸を反らしている様は非常に可愛らしいが、全く知名度のない人を出しても意味がないだろう。

 実際、向こうも『誰だ、こいつ?』みたいな空気を出している。

 気の効く何人かの僧兵が「ははぁー」とかやってくれるのに、何か申し訳なさを感じてしまった

 ちなみに真冬ちゃんはその僧兵の行動にご満悦であった。


「さて、司教。貴様が孤児として引き取った子供達を適度に調教して、奴隷として売り払っていた証拠は既に掴んでいる」


 変態は変態で何か微妙な空気になっているのを無視して話を続けていた。

 凄まじい精神力だ。

 そんな変態の糾弾に周りの僧兵達もどよめいている。

 多分、僧兵達も全員がこの件を知っている訳ではないのだろう。


「ここで大人しくお縄につけば、これ以上手荒な事にはならないと保証しよう」

「な、何を言っておるのだ……。ワシはそんなことはしておらん!」

「フッ、見苦しい真似を。先程も言っただろう。貴様の悪事の証拠は既に掴んでいると!」


 変態は懐から司教の不正と思われる書類を取り出す。


「……な、何故……お前がそれを持っているのだ?」

「私の力をもってすれば、この程度は造作もない事よ!!」

「……くっ、だからと言ってこんな所で捕まる訳にはいかん。お前達、この者達は邪教に取り込まれている背教者だ!! 皆殺しにしろ!!」


 司教のその声に合わせて戸惑っていた僧兵達が武器を構える。

 武器を構えた僧兵の表情からは戸惑いは消えていた。

 正にその表情は歴戦の戦士である。


「おい、変態。大丈夫なのか?」

「何も問題ない。想定通りだ」


 俺の不安に答えるかの様にニヤリと変態は笑った。

 そして、瞬時に変態の足元から煙幕が沸く。


「な、なんだこれは!!」


 突然視界を奪われ、僧兵達に動揺が広がる。


 そこからの変態の動きは一方的なものだった。

 変態はこの狭い空間であるにも関わらず、非常にトリッキーな動きで僧兵の意識を奪っていく。

 これが、魔王軍の幹部の実力って奴なのか……。

――まぁ、俺の目には変態の動きは一切掴めていなかったが、多分周りの音とか声を聞く限りだとそう言う事なんだろう。

 ちなみに、真冬ちゃんは変態の動きをちゃんと捉えていた様で、後日遊んでいる時に変態の動きの真似をしていた。


 戦闘は数分と経たずに終わった。

 気が付くと目の前に立っていた僧兵達は司教も含めて気絶して倒れていたのだ。


「……流石、変態だな」


 前にチハルとの戦いを見た(実際には見えていない)時にも思ったが、こいつはかなり強い。

 魔王軍の幹部なだけはある。


「へんたい、すごい!!」


 真冬ちゃんもその戦いっぷりには大喜びである。


「……そんな、……教会の精鋭がこんな一瞬で……」


 ナタリアだけがこの結果に驚愕していた。

 まぁ彼女は変態の素性を良く知らないのだから仕方がない。

 そもそも、俺達が魔王軍であること以外は麺職人であること位しか分かっていないだろうしな。


「さて、司教達を捕まえてあの魔勇者と合流することとしよう」


 そしてそんな俺達の感想を気にすることもなく、見た目の変態性を全く感じさせないハードボイルドな動きで、変態は司教達を縄で縛り始めたのであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ