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チハルは心配しない


「いや!! わたしもオリジナルのところもどるの!!」


 真冬が助けを求めて、わたし達の所に来てから色々と大変だった。

 お兄ちゃんも取り乱すし、真冬も取り乱すし、その二人をわたしに押し付けて、チナツとチアキはチフユお姉ちゃんの所に向かうし……。


「なぁ、チハル。チフユは無事だと思うか?」


 真冬を取り押さえながら、お兄ちゃんからもう30回目にも及ぶ同じ質問を受けた。


「大丈夫だよ。本当にヤバくなったら魔王としての力を使うだろうしね」


 だからわたしも30回目の同じ答えを返す。

 はぁ……、お兄ちゃんがこんなにもわたしに構って頼ってくれるのは何時ぶりだろう。

 チフユお姉ちゃんもたまにはわたしの役に立つものである。

 こんな事なら毎回攫われて欲しい。


 しかし、お兄ちゃんも心配性である。

 チナツとチアキの二人で向かったのだ。

 大概の事は何とかなるはずである。

 チナツ一人だったら搦手を使われて騙されたりする危険があるけど、チアキが付いていれば搦手は完全に意味を無くすし、逆にチアキ一人だったら何処かで裏切る危険性があるけど、チナツが付いていればチアキが裏切る可能性はゼロに近くなるのだ。

 つまり、二人がセットで動けば相乗効果を発揮してある意味で最強なのである。

 更に今回は現地にチフユお姉ちゃんもいるのだ。

 心配するだけ無駄だと思う。

 あの三人を纏めて相手に出来るのなんて、お兄ちゃん位しか想像できない。

 それ位お兄ちゃんは最高なのだ。


 でも、こうして心配そうにしているお兄ちゃんもカッコいい。

 この姿を見れただけでも、ここにいる価値がある。


「ちはるおねーちゃんはオリジナルが、しんぱいじゃないの!?」


 そんなお兄ちゃんに見惚れていたら、腕の中にいた真冬が暴れるのを諦めて不安そうにわたしに質問を飛ばしてきた。


「そうだね。真冬が思っている以上にチフユお姉ちゃんは凄いんだよ」


 だから、わたしは当たり前の事実を真冬に伝える。


「オリジナルってすごいの?」

「だって、チフユお姉ちゃんは今までずっとわたし達の面倒を見て来たんだから。凄くない訳がないじゃんか」


 チフユお姉ちゃんはわたし達がどれだけ迷惑を掛けても、めげずに見守ってくれていたのだ。

 チナツが落ち込んでいた時も、チアキが暴走した時も、何時だってチフユお姉ちゃんはわたし達の尻拭いをしてくれた。

 それ位、面倒見の良いしっかりとした人なのだ。

 そんな人を心配するなんて言うのは逆に失礼だろう。


「ちはるおねーちゃんはオリジナルのことがすきなの?」

「……なんでそんなこと聞く訳?」

「だって、ちはるおねーちゃんいつもとちがう」


 そんなに、わたしがお兄ちゃん以外の人をべた褒めしたのが珍しかったのだろうか。


「そんなの嫌いに決まってるじゃん」

「……むぅ」


 真冬はわたしの回答に不満気であったが、わたしはこんな所で本心を語る気はない。

 だから当たるとも遠からぬ、何時もと同じ答えを返す。


「お前は変わらないな」


 お兄ちゃんはそんなわたしを見て笑っていた。


「お兄ちゃんまで何言ってるの? 元気になったんなら、取り敢えず新しい隠れ家探すなりしようよ」

「ちはるおねーちゃん、てれてる?」

「……わたしはチナツとは違うから『照れてない!!』とか言わないからね」

「つまんない!!」


 真冬はぷくーっと頬を膨らませながら、わたしの腕から逃げお兄ちゃんに跳び付いた。

 チナツと一緒にしないで欲しい。

 わたしの方がチナツよりも格が高いのだ。

 つまりそれだけわたしの方がお兄ちゃんに近いとも言える。


「しかし、そうは言っても特に何かがあった時に落ち合う場所とか決めてなかったからな」

「えっ、決めてなかったの?」


 普通はこういう潜入作戦をやっている時は、複数個所隠れ家を準備しておくものである。

 それを準備していないなんて、お兄ちゃんの周りの人は何をやっていたんだろう?


「まさかこんな事になるとは思ってもみなかったし」


 お兄ちゃんは恥ずかしそうにそう言うが、今まで危険な事をして働いていた訳じゃないし、そこまで発想が至ってなくても仕方がない。

 わたしだって、勇者なんて下らないものをやらされているから知っている知識である。

 むしろ、お兄ちゃんをフォローしなかった周りがいけないのである。

 後で誅しないといけない。

 お兄ちゃんを危険に晒した挙句、恥をかかせるなんて万死に値するのだ。


「まふゆもー」


 真冬も暢気にお兄ちゃんに同意している。

 所詮はガキだ。

 危機感がないのは仕方ない。


「お兄ちゃんは、この後のことについて意見ある?」


 取り敢えず、お兄ちゃんの意向を聞く。

 チフユお姉ちゃんと結婚するとか言う戯言以外で、お兄ちゃんが求める物事を実現させるが、わたしの命題であり使命である。

 むしろ、それ以外はどうでも良い。


「いや、特にはないな。チハルにはあるのか?」

「当然だよ。わたし達はこれから教会を攻めるよ」


 お兄ちゃんから予想通りの答えを貰えたので、わたしは事態を進めるべくそう提案したのだ。


真冬から話を聞いた時のチフユに対する心配度はチナツ>お兄ちゃん>真冬>チアキの順に高いです。

チハルは作中の通り心配してません。

そして皆心配している方向性が違います。

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