四天王最強の女はツンデレである
読み直してたら変な所があったため、加筆しました。話の大筋は変わってません。ご迷惑をお掛けしました。(7/12改稿分)
あれから半月ほど経ち、俺達は王都へ来ていた。
王都はやはり遠く到着した時は夜になっていたため、取り敢えずチアキの家に案内してもらい一泊した。
朝になるとチアキはなおも俺と一緒にいようとするチハルを引きずって王宮へ向かった。
「おにーちゃーーん!! わたしは絶対にまたここに戻ってくるからね!!勝手に帰らないでね!!」
チハルはそんな恨みがましそうな声を出していたが……。
てか、賢者に力で負ける勇者って良いのか?
俺達はそんな二人を見送りながら、本来の要件であるチナツのいる大聖堂へ向かうことにした。
チナツはチハルと一個上で15歳の神託の時に聖女に任命された。
チハル程暴れることはなかったが、王都へ向かい聖女として日夜人々の治療に当たっているらしい。
チアキの家から大聖堂までは歩いて20分程だ。
流石王都なだけあって街が広い。
うちの村は端から端まで歩いて20分だからその広さを伺うことが出来るだろう。
えっ、お前の村が狭いだけだって?
それは言っちゃいけない。
「本当に行くの?」
チフユはあまりチナツには会いたくないらしい。
何故かは知らないがチフユはチナツのことを苦手にしていた。
「嫌なら、チアキの家で待ってても良いんだぞ?」
そうは言うものの王都の治安は良く分からないので、チフユの様な一流の剣士が一緒にいてくれるのは正直身の安全的な意味では嬉しい。
まぁ年下の女の子に守ってくれって言うのは情けない気もするが、現実には勝てないのである。
「大丈夫、付いてく」
そんな訳でチフユと並んで大聖堂まで向かうのだった。
「しかし、チフユが身だしなみ気にするの珍しいな」
チフユは今日は珍しく寝癖を直し、服装にも気を使っており黒い足首丈のワンピースに白いスールを肩に掛け、深窓の令嬢を彷彿とさせる格好をしていた。
何時もであれば、頼み込まない限り絶対にしない格好である。
目元の隈もなくなっており、遠目であっても人目を引く程の美少女になっているのである。
村一番の美少女だとは思っていたが、これであれば王都でも上位に入ることが出来るだろう。
許婚としては鼻高々である。
「変な格好をしてるとチナツ怒るし、怒らせると後が怖い」
顔を青くしつつも、チフユは不安そうに腕を絡ませてくる。
そんなにチナツが怖いのか……?
チハルやチアキも恐れていたが、チナツに何があるんだ?
そんな疑問を感じてしまった。
しかし、流石王都である。
大聖堂までの道中には様々な店があり、テンションが上がってきた。
イーストウッドにはない様な春画の店や、大人の玩具が売っている様な店もあった。
チフユが冷たい視線を向けてきたが、そういう事を気にしない大きな心が俺にはある。
暇を見つけて一人で買いに来る必要があるな。
他にも麺切包丁や伸ばし棒などを取り扱っている店もあり、この辺の店も要チェックだ。
そうして大聖堂に到着する。
大聖堂は街の教会と同じようで来るもの拒まずではあるものの人の出入りは少ない。
入口の扉を開けると中ではシスター服を着た少女が中年位の牧師に鞭を振るっていた。
ん、ここは特殊な性癖のお店かな?
そう思い一回扉を閉めて、ここが大聖堂でないか確認する。
中の様子が見えなかったのか、俺の行動にチフユが不審な目を向けてくる。
しかし、不審者なのは俺ではなく中でSMプレイをしている連中である。
建物を確認するが、歴史を感じさせる純白の外壁に、多数の尖塔がありその先端には十字架が立っている。
この建物を特殊な性癖の店という人間はまずいないはずだ。
やはりここは大聖堂に間違いはないだろう。
仕方がないので、もう一度扉を開けて中の様子を伺う。
やはり少女が中年男性に鞭を振るっていることに間違いなかった。
牧師は口枷を付けられており、恍惚とした表情を浮かべていた。
俺の行動に疑問を持ったチフユも今回は扉の中を覗き込んで呆然としていた。
まぁ、当り前である。
すると中年男性がこちらに気付いた様である。
目で少女に合図をするが、豚のいう事は聞く価値がないと言わんばかりに思いっ切り豚に鞭を叩きつけた。
豚がブヒブヒと悲鳴をあげて喜んでいる。
「すいません、ここに聖女様がいると聞いてきたのですが」
仕方ないので少女に声をかけた。
「流石、兄さん……」
そんな俺を尊敬半分呆れ半分といった視線で見てくるチフユ。
だって話進まないじゃん……。
その声に反応したのか女王様がこちらを向いた。
こちらの顔を見ると驚いた様な顔をしたが、すぐ仏頂面になり睨んでくる。
「今更、何しに来た訳?」
その声は冷たい。
後姿を見た時からもしかしてとは思ったが、予想通りでもあったため俺はそこまで驚かなかった、
やはり、その女王様兼調教師兼シスターは俺の義妹のチナツだった。
出来れば違っていてほしかった。
「いや王都に来たから挨拶しに来たんだが?」
「一年間もほって置いて今更挨拶来たとか言われても信じられないんだけど?」
チナツはオコだった。
「そうは言っても、お前達が聖女だの勇者だのなっちゃったんだから、俺もその兄として相応しい存在にならないとお前達の隣に立つことは出来ないだろう?」
「そんなの言い訳にならないのよ。あんたは何も言わずあたしの隣にいれば良かったの」
チナツはベールの脇から伸びている青い髪を弄りながらそんな主張をする。
「ていうか、お前何牧師を鞭で叩いてんの?」
このまま話を続けていてもチナツの性格的に平行線を辿りそうだったので、話題を変えることにした。
「巷で流行っているツンデレ幼馴染ざまぁ系の小説を焚書にしようとしたら、この豚がそんな事は出来ないとか言い始めたから……」
王都でそんな小説流行ってるのか?
てか焚書とかやり過ぎでは?
「その顔を見るとやっぱり村にはまだツンデレ幼馴染ざまぁ系の小説は行ってないみたいね。やっぱり今のうちに、そう言う悪しき本は滅菌する必要があるわ」
「どういう流れでそうなった?」
「そんな本に感化される人が増えたら不幸になる人が増えるでしょ。そうなる前にこのあたしが粛清する必要があるのよ」
チナツの頭の中では壮大なストーリーが出来上がっている様だ。
「普通にその本読んだ兄さんが自分にざまぁしに来るのが嫌だった言えばいいじゃない」
話を聞いていたチフユがそんなツッコミをいれた。
「あたしはツンデレじゃない!!」
チナツは顔を真っ赤にしながらそう言った。
まぁ俺の義妹は見ての通りのツンデレである。
週間ランキングでも21位に入ってました。
応援、有難うございます。
取り敢えずこれでメインヒロインが一通りそろいました。
今後もお付き合いいただけると幸いです。




