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World of Fantasia  作者: 神代コウ
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残る主力部隊

 こうして、シン達に続く第二陣の到着順位が確定した。


 五位にゴールしたのは、氷の女王シャーロット・デ・ベリー。


 氷に特化した魔法を使う魔導士のクラスと、生み出した氷塊で景色や生き物を作り出し、命を吹き込むスカルプターのクラスを併用したダブルクラス。アイスベリーという異名で、海賊界に名を馳せる彼女が、何故単騎でレースに参加したのかは不明。


 しかし、その実力はエイヴリーやキング、チン・シー達にも決して見劣りしない実力の能力を携えていた。彼女がもし、大勢の部下を率いる大船団を用いれば、三強と言われた彼らの座も危うくなっていたに違いない。


 それでも彼女は、この先も孤高の道をいくだろう。過去に何かあったのか、単純に人付き合いが苦手なのか、誰かと連むのを極端に拒むシャーロット。


 そんな彼女が見せた、レイド戦での連携はこれまでもこれからも一切お目にかかることは無い貴重な場面として、フォリーキャナルレースの歴史に語られることとなる。


 六位となったのは、キング部下でありシー・ギャングという海を中心とした活動を行う海賊団の四人の内の幹部が一人、炎の魔術師ジャウカーン。


 シャーロットとは真逆の性格で、燃え盛るような赤い髪を靡かせる彼は、その魔術師の名に恥じぬスキルで炎を自在に操り、彼の部隊の船員達と協力することで、レイド戦に現れたリヴァイアサンにも引けを取らない大規模で強力な連携魔法を得意とする。


 個人でも専用の小型船を持っており、自分用に様々な改造を施している。今回のゴールで順位と引き換えに破損してしまったが、ゴールとなった港町にも造船技師が当然店を構えており、すぐに修復作業へと入った。


 だが、あまりにも特殊な構造をしていた為、ウィリアムほどの腕のたつ造船技師でなければ直すことが出来なかったのだが、エイヴリーの計らいにより無事に元の姿に戻せたのだった。


 そしてそのエイヴリー率いる海賊団は、七位でのゴールイン。


 これまでの単騎によるゴールとは違い、団体でのゴールとなった場合は船団の規模によってボーナスが発生する。シャーロットと同じく、この時点で全ての一味が到着したことで、エイヴリー海賊団の総合ポイントの計算も開始される。


 彼のクラフトマスターによる能力で、海岸に到着した大きな戦艦は再び複数の船へと戻る。ゴールの邪魔にならないよう海岸沿いを進み、広大な船着場へと船団を率いる。


 大船団によるボーナスと、レイド戦での貢献度。そして順位でも、部下であるマクシムが四位、船団としても七位という成績で今回のレースを収めた。


 ライバルであるキングのシー・ギャングや、チン・シー海賊団もまだ姿を見せていない以上、かなり有力な立場にあることは揺るがないだろう。


 それから然程時間を置くことなく、更にリヴァイアサンの血海を抜けた後続組が姿を現す。


 最初に水平線の彼方から現れたのは、ジャウカーンの乗っていた小型船よりも少し大きい、ミア達を乗せたツバキの船だった。


 みんな無事だった。大きく息を吐き出し、膝に手をつくシン。心の中に残っていた不安の種が、取り除かれたかのように身体が軽くなる。


 だがまだ安心は出来ない。先程の第二陣による壮絶なゴール争いを見た以上、ゴールに辿り着くまで気は抜けない。実際、ゴールを目の前にして乗船している船が大破し脱落する者や、そのまま命を落とすといったことも珍しくない。


 このフォリーキャナルレースは、ゴールが見えたから安心ではないのだ。寧ろゴールが見え始めてからが本当の戦い。皆、死に物狂いで上位を狙ってくる。


 それこそ、前に走る者がいようものなら殺してでも前に出ようとするのが普通のこと。最早見慣れた光景かのように、恐らく後方にいるのであろう後続による攻撃を受けているのか、周囲の海面があちこちで空高く水飛沫を上げている。


 ツバキの船が見え始めてから暫くした後方に、キングの本隊を連れたシー・ギャングの船団が迫っていた。そしてそのすぐ後ろには、ハオランの所属する三大海賊の一角であるチン・シー海賊団が控えていた。


 彼女の船団は、ツバキの船を狙うシー・ギャングを抑えるように攻撃を仕掛けていた。チン・シーは、ロロネーを共に倒した時の恩を忘れていなかった。あの時の借りを返すかのように、ツバキの船を執拗に狙うシー・ギャングを必死に抑えてくれていたのだ。

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