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World of Fantasia  作者: 神代コウ
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別世界の存在

 マクシムの身柄を引き渡したシン達。エイヴリーは近くにいる限り、小型モンスターの攻撃から守ってくれることを約束してくれた。だが、レースで手を抜くことはしないと公言された。


 流石にシン達もそこまでは望んでいなかった。ただ、無事にこのレースを完走すること。そして、開会式の時に現れた黒いコートの男が、何処かに隠したという異世界への転移ポータルのアイテムを探すのが目的だった。


 先陣を切って進んでいたであろうエイヴリーに、それらしき物を見たかどうか尋ねるが、彼らもその様な物は見てないのだという。何より、そのような物の存在を本当に信じているのかと嘲笑された。


 どうやらこの世界の者達も、異世界などという存在を信じてはいないようだ。当然と言えば当然と言える。シン達もこのような現象に見舞われなければ、WoFの世界で現実のように生きているなど、想像もしなかっただろう。


 しかし、彼らの話ではレイド戦はレースの終盤に待ち受ける最後の関門だと言う。そしてここまでの道中は、エイヴリー海賊団やキングのシー・ギャングによる、圧倒的な船団の数で調べ尽くされていることだろう。


 それでも見つからないと言うことは、やはり黒いコートの男達も、別世界から来た者達を探っていると言うことなのだろうか。その為にわざわざこの様な嘘をついたのか。


 それとも、キングが既に手に入れており、何かの取引材料にする為、隠しているのだろうか。予想はあくまで予想の範囲を出ないが、異世界の存在を嘲笑うエイヴリー達とは違い、キングならやりかねない。


 ある程度聞きたいことを聞いたシン達。最後にエイヴリーは、リヴァイアサンを仕留める算段として、手数で再生を妨害し、もう一度レールガンによる一撃で頭部を吹き飛ばすのだと語る。


 何処かに核となるモノがあるとしても、どんな生き物でも大抵は頭を失って生きているものはいない。幸い、リヴァイアサンにはアンデットの特徴はなく、不死身というわけでもなさそうだ。


 やる事は単純で、リヴァイアサンの攻撃からレールガンを守りつつ、小型モンスターを排除しながら次の装填が完了するのを待ち、もう一度リヴァイアサンの頭部に撃ち込むのみ。


 不安要素があるとすれば、初めて頭部に一発撃ち込んだ時のように、シャーロットやリーズの手助けが借りられないということだ。今度は自力で、動き回る頭部を狙わなければならない。


 当然、外せば再装填する為に同じことを繰り返すことになる。だが、時間が掛かればかかる程、人間側の持久力が削がれ、全滅する事は避けられない。


 エイヴリーが作戦を話したのは、可能であればシン達にその手伝いをして貰おうという思惑があったからだ。そして彼らも、当然それを拒む事はない。生きて帰りたければ、協力するかレース自体を放棄し、逃亡するしかないのだから。


 「ここに留まっても構わねぇ。だが、手伝ってくれりゃぁそれだけ勝率が上がる。お前達も、海の藻屑にはなりたくねぇだろ?」


 「勿論だ。協力は惜しまないつもりだ」


 エイヴリー海賊団とも協定を結ぶことに成功したシン達。これにより、フォリーキャナルレースの優勝候補である三大海賊団との友好関係を築くことに成功した。


 キングとはこれと言って恩を着せた訳ではないが、シンやミアのことを気に入っている様子でもあった為、殺すにしても直ぐには手を出すことはないだろう。何より、聖都の一件を知る彼は、シン達のことを僅かながら警戒している様でもあった。


 自分達の船に戻るシン達。入れ違いになる様にして、船内へ運ばれていたマクシムが目を覚まし、甲板でクラフトによる増築を再開するエイヴリーの前に姿を現す。


 「だっ旦那・・・。すいやせん、へまこいちまって・・・」


 「よくやったな、マクシム。おめぇのおかげで上手くいった。・・・ありがとよ・・・」


 マクシムの声に振り向くことなく、珍しく神妙な声色で応えるエイヴリーに、彼は黙って一度だけ頭を下げると、リヴァイアサンから落下した際に、彼を救ったシンとツクヨが乗っていたボードの話をし始める。


 「やっぱり旦那の見込んだ通り、ウィル爺さんとこの弟子は大したもんでしたぜ・・・。例のボード、旦那の能力で作れやしやせんかね・・・?」


 目を覚ましたマクシムは、シン達の乗っていたボードの絵を描いていた。そしてその紙をエイヴリーに差し出すと、彼は口角をあげ嬉しそうに応えた。


 「夢を抑制されてきたやつの執念は、時にとてつもない才能を開花されるもんだ。あのガキ・・・いい仕事するじゃねぇかよ」


 レース開始前、海賊船の補強や改造の為に、造船技師であるウィリアムの元へ新しい素材を持ち込んでいたエイヴリー達。それがツバキの手に渡るのも、全て彼らの目論見通りだったのだ。

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