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World of Fantasia  作者: 神代コウ
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自然の中の機械文明

 海賊達の船を作る造船技師であるウィリアム・ダンピアに拾われたツバキ。彼もまたウィリアムの意思を継ぎ、造船技師の道を歩む中で若さ故の柔軟な発想でエンジニアとしての技術力を身につけてきた。


 そして彼は、シン達が参加したレースに一味として加わり、自身が温めてきた秘蔵のボードを用いて、これまで揺らぐことのなかった三大海賊の上位独占を打ち破る、前人未到の快挙を成し遂げた。


 実績を立て、一人前となった彼は共に快挙を成し遂げた異界の人物達と、世界を巡る旅へとでる。


 森に囲まれたリナムルという街でも、かつて使われていたという古い機械が廃棄物として捨てられていたり、使えなくなってしまったと放置されているものが多くあった。


 無造作に放置された機械からは苔が生え、木々などの植物が程よく周りからの影響を避ける為の苗床として利用しているものなどもい、幾つも見受けられる。


 そういったものを回収し、かつての技術を蘇らせようとする施設に今、椿はいた。ここでは研究所の者達でも、その知識を存分に振るうことは出来なかった。


 彼らはあくまで生物についての研究や実験で培った技術や知識しかなく、ある程度手先は器用だったが機械の修理や製造についてはからっきしだったのだ。


 ツバキはリナムルが襲撃された際に、他の獣人達へ急遽拵えたガジェットを提供し、勝利へと導いた。その活躍は獣人族からも高く評価され、他に作れないものはないかと重宝された。


 そして復興作業に追われる今の街でも、彼のその技術力は必要とされていた。


 「おぉ、何ということだ!機械でこんなことまで出来るなんて・・・」


 「そんな驚く事かよ。これはただ直しただけだし、何も特別なことは加えちゃいねぇぞ?」


 「加えることも出来るのか!?」


 「おいおい!そんなに詰め寄るな!部品がありゃぁ出来るだろうが、ここじゃ無理だな。他所から取り寄せるしかない」


 リナムルは獣人族に襲われる前まで、人間が主軸となって生活していたこともあり、その時使われていた機械なども残されていた。だが獣人族にそれを使うことは出来ず、そもそも自然に影響を与えないようなクリーンな機械しかなく、燃料も排気ガスなどの出ないものが使われていた。


 森の中は、国や街中といった場所と違い魔力が豊富に集まる場所でもある。故にモンスターなども多く生息してしまうという危険性もあるが、そういった自然に集まる魔力を用いた燃料を使用するには、もってこいの環境とも言える。


 だがそれを蓄える媒体が無いのが問題となっていた。オルレラの研究所のように鉱石が取れれば魔石を作り出すことも可能なのだが、どうやら以前のリナムルでは魔石による魔力燃料は用いてこなかったようだった。


 今ツバキが修理し動かしている機械は、彼がオルレラの研究所から持ち出した魔石のあまりを使ったものにより動いている。それなら今後も使い回すことは可能なのだが、魔力を使い果たした鉱石に再び十分な燃料としての魔力を蓄えるのには時間がかかる。


 オルレラの研究所では、その時間を縮める装置を用いていたが故に大量の魔石を利用していたようだ。だがその装置にも、人間の子供が魔力を集める為に使われていた。生き物を人形のように装置の一部にしていた忌まわしき研究所。


 魔石を作る装置をツバキは知っているが、彼が絶対にそれを作る事はないだろう。大人しく燃料となる鉱石を、他の街から取り寄せてくるしかない。


 幸いにもリナムルは自然豊かな街ということもあり、シン達が聞いていたように船にも使われる特殊な性質を持つ木々が多く存在し、知る人ぞ知る資材の宝庫とされている。


 取り寄せるための金銭がなくとも、物々交換といった取引が行えるのがリナムルの強みだろう。それだけ珍しい木材とあれば、数本で大量の鉱石と交換してもらえるのではないかというのが、ツバキの見積りだった。


 「なるほど、森の木々が外ではそんなに重宝されているのか」


 「寧ろ、よく今まで他の連中が漁りに来なかったなと感心してるくらいだぜ」


 ツバキの話は最もだった。それだけ重宝される木材なら、わざわざリナムルと交渉する事なく勝手に伐採に来る者達もいた筈。それが何故今までそうならなかったのか。それは考えるまでもない事だった。


 「そりゃぁ、この森に入ったら出て来れなくなるからだろう。あれだけ行方不明者が多発してたんだ。それなりに腕のある冒険者や用心棒も消えちまったと噂されりゃぁ近づきたくても近づけないってもんだ」


 獣人族の話を聞いて、ツバキは自分達も危なかったのではないかと密かに思っていた。シンが現実界からこちらに残ったミア達と合流した街でありアカリと紅葉が仲間として加わったホルタートの街にいた商人達は、そんなリナムルの現状を知らなかったのだろうか。

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