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俺の幼馴染みとその母親が修羅場である  作者: デッド・ハード
2/2

俺の学校生活も修羅場である

遅れましたが続けて投稿です(´・ω・`)

最悪だ。あの後、恥ずかしさのあまり勢いのまま夢乃家を飛び出してきたため、自転車に乗ってくるのを忘れたのである。楓も恥ずかしかったのか、頬を赤く染めたまま俯いている。と、楓を見ているといつもより身軽に見える。そういうやこいつ今日部活の道具持ってきていないような、忘れたのか。


「楓、お前今日バスケ部の練習ないのか?」

「へ?部活?あぁ、うん、今日は体育館が入学式の準備で使えないからね。えへへ、一緒に帰れるよ」


楓は嬉しそうにそう言った。無邪気に笑う姿は学園一の人気を争う美少女に相応しいんだけどな。家ではあんなんだしな、改めて非常に残念な娘だと思った。


「むっ、今失礼なこと考えてたでしょ?」


本当に勘だけは鋭い女だな。じっと俺を見つめながら楓はそう呟く。俺はいつものように適当に流すことにした。


「久しぶりに楓と一緒に帰れるのが楽しみだなーって思っただけだよ」

「ひょっ!?もう、恥ずかしいからそんなこと急に言わないでよ」


フフン♪作戦どおりだ。今のうちに楓の機嫌さえとっておけば今日一日は何事もなく過ごせるからな、出来る限りのことはしておくに越したことはない。 これで今日は自分の部屋でゆっくり昨日のRPGの続きがー


「じゃあさ、朝のお礼も兼ねて今日は零也が晩ご飯作ってよ♪私より上手だし♪今日お母さん夜勤だからさ」

「え?俺今日は申し訳ないけど予定が……」

「ダメ?かな?」


楓が上目遣いで俺の手をとって聞いてくる。こういうところだけは音葉さんにめちゃくちゃ似てんな。前言撤回作戦失敗である。ここで断るとこの先ずっと雰囲気最悪になるからな、チョロいのは俺の方だったようだ。


「あー、もう!!わかったから!俺が今日は作りますよ」

「さっすが零也♪わかってるぅ♪」


楓は上機嫌みたいで、鉄拳制裁を与えた俺の頬をツンツンしながらそう言った。ちょっと楓さん?それ普通に痛いから、染みるやつだから。あー俺のプライベートな時間は今日もなさげだなー。かわいそうな俺。


「そ・の・代・わ・り!楓も手伝ってくれよ?俺作るの久しぶりなんだからさ」

「うん!そうと決まったら買いだし行かなきゃだね。今日は学校早く終わるし一緒に行こう?」

「はいはい、学校終わったら一緒に行くから、腕に抱きつくんじゃないお前は!皆に見られてるだろ?」

「久しぶりに二人っきりでデートできるね♪良かったねー?私みたいな美少女とデートできて♪」

「楓さん?俺の話し聞いてました?お前には恥というものが存在しないのか……」

「えー、いいじゃん。幼馴染みなんだしぃー」


口を尖らせながら楓は答える。通学路ですら周囲の視線が痛い。トホホ、だから俺は学校でいつもぼっちなんだよ。


けど、言われてみれば二人で買いだし行くのとか久しぶりだな。毎回音葉さんの荷物持ちに俺が行こうとすると、楓も絶対ついてくるし。俺一人で行こうとすると、二人とも一緒にくるしな。あれ?俺一人で買いだし行ったことなくね?俺のプライベートな時間って深夜しかないのでは?


そんな自分で自分の悲しいことを考えていると、我らの学園高等部に到着した。一年のときと同じように清掃員の人に挨拶して、自分たちの教室に向かうのであった。
















この学園には様々な科があり、俺と楓は中等部のときからこの学園に入学していて、スポーツ科に所属している。文学よりも部活動を優先的にやらしてくれるいいところである。もっとも、今俺は部活に入ってないわけだが。


中等部の頃はサッカー部に入っていて、レギュラーだったが足の怪我のため断念。楓は俺のために泣いてくれたけど、部員に迷惑をかけるにはいかないからな。今はなんともないが、今更また入ろうなんて思ってない。


教室に入ると騒がしかった。皆久しぶりに会うわけじゃないだろうに。楓は先に教室にきていた女子に声をかけられたみたいだが、俺は基本自分から話しかけたりしないので、大人しく前いた席につく。そうすると、後ろから声をかけられた。


「よぉ、久しぶり!元気にしてたか?相変わらず無愛想な顔してんのな」

「登校初日から失礼な奴だなお前は。中等部のときからこれが俺の普通だって言ってんだろ?俺はいつだって平常運転ですー」


そう言って俺に絡んできたこいつの名前は高瀬辰巳。スポーツ科の中心的存在で、成績優秀、イケメン、サッカー部のエース等々、誰もが羨ましがるステータスを持っている。


中等部のときにサッカー部で一緒だったためか、朝っぱらから俺に絡んでくる物好きな奴である。


「悪かったって。今日もまたここにくるまでイチャイチャしてたって聞いたからさ、もしかしたら機嫌良いのかなと思ってさ。でも神代のその顔を見るからに、朝からひと悶着あったな?」

「ほっとけ」


高瀬はニヤニヤ笑いながら俺の顔を覗いてくる。たぶん朝よりも腫れてきているのだろう、高瀬が俺の顔を見てすぐに苦い表情をしたのだ。


「前から思ってたけど結構力あるんだな、夢乃って……」


お?高瀬君わかってくれた?いつでもポジション譲るから相談してくれよな!高瀬は俺に同情しているみたいである。


「おだいじに……」

「同情なんていらないからさ、一日でいいから変わってくれよ。こんなことされてんのに、なんで俺は学校で浮いてるんだよ」

「まあ、お世辞でも学校生活充実してそうとは言い難いよな」

「余計なお世話だっつーの。あー、いいよなー高瀬は。何もしてなくても人が集まってくるもんな。高性能掃除機かよ」

「掃除機は人が動かしてゴミを吸ってるからな。神代、お前のその例えは間違ってる」

「だぁー!!めんどくさい奴だなお前は!お掃除ロボットがいるだろ、自動の奴が」


そんなくだらない会話をしてると、周囲からの視線を感じた。俺は俯きながら周囲を見渡すと、視線の大半が女子あることがわかった。


高瀬は気づいていないのか、急に黙りこむ俺に首をかしげている。


「どうかしたのか?」

「いや?何でも。けど少なくとも俺が学校で浮いてるのはお前も関係してるみたいだぞ?」


俺はそう言って話しを切り上げ、席を立つ。え、どこに行くのかって?勿論トイレである。少なくとも会話を終わらすには十分な用だからな。


俺が教室を立ち去る頃には、高瀬は女子に囲まれていた。人気者は人気者で大変みたいだ。
















教室から出た後、俺は一応トイレに行ったのだが、別に行ったところでそんなに時間を潰せる場所でもないため、中庭のベンチに寝転がっていた。朝早く登校し過ぎたためか、始業式までまだ時間があるのだ。


暇なのでソシャゲでもやろうかと思ってスマホを取り出した矢先、 それを横から現れた手に奪われる。俺はその手の正体にすぐ気づいた。


「ちょっとー、やましいこと何もしてませんから返してくれません?」

「フンッ、確かに何もしてないようね。楓とのメール内容、写真フォルダー、特に変わった様子はなかったわ」


彼女はそう言いながら俺にスマホを手渡す。

あの短時間で全部確認したのか、恐ろしい早業である。


彼女の名前は小清水美月。彼女もバスケ部に所属しており、楓と学園一の人気を争う美女である。勿論スポーツ科だ。楓とは全く違うタイプであり、大人びた雰囲気で、音葉さんと同じくスタイルが良い。女子からの支持率も高いが、男子からの支持率は圧倒的だ。


まあ、本性を知ったら大抵の男子は幻滅するだろうが。いや、好きな人はそっちの方がいいのかもな。そんなことを考えながら小清水を見ていると、俺は睨まれていることに気づく。


「何私のことじろじろ見てるのよ。張り倒すわよ?」

「いや、今学校来たのかと思ってさ」

「そうよ、悪い?」

「いえ、特には。ただ、お前がこの時間に来るのは珍しいし。だって小清水いつも朝もっと早いじゃん?家で準備とかに時間がかかったのかなぁと思ってさ」

「当たり前じゃない!!だって今日は久しぶりに楓のブレザー姿が拝めるのよ?準備は怠らないわ。カメラは勿論、眩しすぎて直視出来ないときのために目薬とサングラスも持ってきたわ!」


小清水はそう言うと目をうるうるさせながら、まるで神でも崇めているような手のとり方をして、何やらぶつぶつ独り言を言っている。完全に俺がいることなど上の空である。


ここまできたらもう皆さんお気づきだろう。そう、小清水美月は重度の楓依存性なのだ。単刀直入に言おう、レズビアンである。まあ、楓に対してだけだが。


別にそれ自体が悪いとは俺は思わない。小清水が楓と結婚しようが俺は祝福する。ただ、楓のことに対しての俺の扱いが酷すぎるのだ。さすがに勘弁していただきたい。


「で、こんなとこで道草食ってていいのかよ?早く楓に会いたいんじゃないのか?」

「ハッ!?それもそうね。早く我が女神に会いに行かないと。あ、そういえばあなたこの間の私との取引忘れたわけじゃないでしょうね?」

「その取引俺の報酬安過ぎた気がするけどな。楓の下着盗ってきたらいいんだろ?いろいろ考えたんだけどさ、さすがにいくら幼馴染みのものでも勝手に持ってくるのはできないわ」

「なっ、あ、あなた自分の時間が欲しいって言ってたじゃない!?だから私は楓と休日は全部デー…じゃない、一緒に出掛けようとしてるのに」


今デートって言いかけなかったか?こいつ。しかも報酬めっちゃ安くないか。確かに自分の時間ができるのは嬉しいが、割に合ってない。だって小清水からすればどっちもご褒美じゃん。


別に盗るのに抵抗あるわけじゃないけどな。楓が今使ってない下着を拝借すればいいわけだし。でも小清水にそこまで協力する気はない。だって、小清水が毎週楓をデートに誘うのなんて当たり前だしな。


俺が断ると、小清水は俯いて身体を小刻みにプルプル震わせていた。しかし、こればかりは仕方ない。 諦めてもらおう。


だが安心しろ小清水、俺には秘策がある。とりあえずリスクが少ない案から提案するか。


「安心しろ、小清水。まだ他に手がないわけじゃない」

「神代君それは本当なの!?早くそれを私に教えなさい!!」


凄い食い付きだな。楓のことになると必死である。


「お、おう。小清水ってさ楓と同じバスケ部だろ?だったらさ、一緒の更衣室で着替えるんだから下着なんて触りたい放題じゃないかなと思ってさ」

「何よそれ、そんなこと毎日してるわ。それだけじゃ私の欲求が満たされないから、あなたに頼んだのに。他に方法はないわけ?」


なに言ってんのこいつみたいな顔で小清水が見てくる。こいつもう盗撮とか普通にやってそうだな。くそっ、もうひとつの方法はあまり気乗りしなかったけどな。俺はそう思いつつもしぶしぶ小清水に説明してみた。小清水は満足そうな表情をしている。どうやら納得したみたいである。


「じゃあ、今週の週末はよろしくね」


彼女はそう言うと機嫌良く教室に向かった。俺もその後を追う。


俺の学校生活も修羅場である。

最後まで読んで頂きありがとうございます!


感想、評価頂けるととても喜びます!

モチベに繋がります(*´ω`*)

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