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僕は・・・

残酷なこの世界で

作者: 弥生 琥珀

残酷な世界。幸せな世界と同じ世界。

誰が僕の世界を残酷な世界に変えたんだろうか。


それでも僕は・・・。









この世界は残酷だ。そんなことずいぶん昔から知っているけれど。それこそきっと生まれる前から。

こんなこと言ったらおかしい人だよね。そんなこと分かってるけどね。


人というものは残酷だ。そんなことも昔から知っていたよ。昔は昔、今は今。そんなことは分かっているけれど、残酷と思うのも仕方がないことだろう?


僕の世界は人に壊された。僕の世界は、他の世界に壊された。僕の世界なんて君たちにはどうでもいいものかもしれないけれど、僕にとってはそれが一番大切な、唯一無二の世界だったんだ。君たちにだってあるだろう?唯一無二の世界というものが。


当たり前の世界。そんな世界はありはしないんだよ。だって僕の世界は君たちに壊されたんだから。

残酷な世界。残酷な人々。勝手にやればいいじゃん。なのに、僕の世界は君たちの身勝手で壊された。何で僕だったの?僕じゃなくてよかったじゃないか。他の人で良かったじゃないか。

なのに、僕の世界を壊した君たちは楽しく自分の世界を続けていくんだね。僕の世界はもうないというのに。


酷く残酷なこの世界で、僕だけの世界は破壊されてしまった。僕だけの世界は酷く優しい世界だった。その世界を壊した君たちの世界は、ずっと壊されずにあるというのかい?それは酷く理不尽なことだと思うんだ。きっとみんなそう思うことだろうね。けれど、世界が壊されるその恐怖を、辛さを、悲しさを知っているかというとそうでもない。だって、自分の世界が壊されてしまうことなんてそんなにないことなのだから。きっと僕が特殊なんだろうね。


こんなことは僕だって言いたくないんだ。でも、溢れだしてしまう僕の本心なんだ。君たちだって同じだろう?言いたくないことでも、どうしても溢れだしてしまう本心があるだろう?僕の世界は、僕が壊されたと感じている世界は、そういうものなんだ。だからこそ、許すことができないんだ。


僕が壊されたこの世界は絶対に戻ることはない。君たちはきっと、壊されたならもう一度世界をつくればいいって思ってるのかもしれないね。けれど、そう簡単に世界は作ることなんてできないんだと、何でわかってくれないの?きっとそれは君たちが世界を壊されたことがないからだと、僕は思っているよ。



この残酷な世界は、今日も明日もきっと続いていくのだろう。だから僕はこの胸に絶望を抱いて、生きていくんだろう。それが正しいのだろう。だから僕はこの残酷な世界で生きていく。

僕はこの世界で生きていかなければいけない。大切な人を奪った人がいるこの世界で。

・・・それが僕の大切な人の願いだと思うから。

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