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お勉強の時間です


皇国暦286年、2の月



「のっけから意味が分からない」

「わふ」(まったくだね)


『俺の部屋に駆け込んでこようとした、クインテットofフワトロオムライス!

駄菓子菓子!

その行く手を阻む最強の敵が現れた!

ババーン!』


部屋の中からは見えなかったが、ドアの影からスッと人影が出てきて立ちはだかる

「フワックさん!ココを何処だと思っているのですか!

邸内で、尚且つロウ様のお部屋の前です!

粗忽にも程があります!!

邸内を駆け回るなど以ての外ですよ!!!!」


「「「「「あ…アイリスさん…」」」」」



『おおスゲ~、アイリスの背後に憤怒のオーラが見える

オラオラオラオラが発動しそうだ』


「ワン」(誰も石仮面は被ってないよ)


『だまらっしゃい!

つーかさ、アイリスって絶対にメイドじゃないよな?

職業は隠密かクノイチなんじゃね?』


「ワフ~ン?」(その職業、無い訳じゃないからそうかもね?)


『マジか!?ギャグで言ったつもりだったけど…

でも、実際にアイリスってスーパーマン的な事をしてないんだよな?

人が認識する少し横に居たりとかなんだよなぁ

魔法的なのが無くても訓練すれば出来るんだよな

人の可能性ってスゲーわ』


「ワフ」(うん、だから前世の君も面白かった)


『ふ~ん…

あ、正座させられた

この世界にもあるんだ正座

まんま、悪さした修学旅行生だな…』


「それで、フワト…フワック達は何しに来たの?

ミアちゃんとリズちゃんには食堂を使う様に言ったから問題無いはずだけどな?」


「はい、それがその、ミアさんとリズさんが一緒に旅する事が宿舎の皆に知られたら

たぶん我々は…」


「はあ?」

『ん?ミアとリズが一緒に行くと?

あー、やっかみかぁ

男の嫉妬は鬱陶しくてクソメンドクセーんだよなぁ

つっても、フワック達も若いしどうにもならんのやろな

あークッソメンドクセー!』


「ワフ?」(ホントに嫌そうだね?顔に出てるよ?)


「あ、いかんいかん」

パンパンと両手で頬を叩く

そのザマを、その場の全員が怪訝そうに見る


「はぁ…だいたいのワケと逃げ込んできた理由は想像出来たよ

これから一緒に旅するから無碍にも出来ないし…

屋敷内に部屋を用意するから移ってきなよ

アイリス、お願いしていい?」


「はい、かしこまりました

5人1部屋で宜しいでしょうか?」


「うん、良いんじゃない?

どうせ短期間なんだし

やった事があるか分からないけど、男同士の雑魚寝にも馴れてもらおう」


「あ、あの!」


「なに?ミアちゃん?」


「何故たったアレだけの説明で分かったのですか?

それに対応策まで?」


「へ?それは経験…じゃなくて、人が集まれば嫉妬や揉め事は避けられないからね

ましてや同性なら尚更だね

今回、ミアちゃんとリズちゃんが同行するってなったから

フワック達は独身宿舎に居ることに危機感を感じたんだよ

だから、僕の所に逃げ込んで来た、と

僕としても

普段、抑圧されてる感情が何かのキッカケで爆発してしまったら手に負えなくなるし

そういう悪感情は、お互い長く忘れないから早目に手を打つってだけ

若いと人の心の機微は分からないもんだよ、はぁ…」


「…ロウ様って本当に6歳ですよね?…」


「見ての通りね」

『実年齢は前世合わせて50超えてるけどなw』


「6歳って いったい…」

ミアが考え込むと、リズも何か悩んでる


「なにさ?何か言いたいのかい?」


「あ、いえ、なんか大人だなぁって」


「ハハッ、最近は気苦労が多いから精神的に老けたのかもね?」


ミアがイタズラがバレた猫みたいにピャッてなった


『なんか最近のミアって子供っぽいな?今までのシュッとしたキャラは作ってたのか?』

「さあ、そうと決まればサッサと動く!

フワック達は宿舎に戻って荷物を持って引き払ってくる!

ミアちゃんとリズちゃんはアイリスに付いて行って手伝う!

はい、急ぐ!」


「「「「「「は、はい!」」」」」」

パンパンと手を叩いて部屋から追いやった





「はぁ…久しぶりに気分がクソみたいになった…

お陰で営業中の指示出しみたいに追いやっちまったわ」


【珍しいね?】


「前世の俺を見てたから知ってんだろ?

俺が居酒屋開店して流行りだした時の周りからのやっかみの嵐

土地柄もあったけどさ

仲良かったつもりの友達まで足を引っ張ろうとすんだからなぁ

前世人生の中で、あの時ぐらい人嫌いになった事はなかったなぁ」


【あぁ~薩摩の芋づる 肥後の引き倒し、ってヤツね?】


「それ!

暫く血尿出たからなぁ、初めて血尿出た時は持つ手が震えたもんな…

結局、やっかむ人はその程度って思ったら楽になったけど

毎日のように人の悪意ってのが、あの手この手で来るのはキツかったな」


【でも、君はノラリクラリと上手くやってたじゃない】


「華麗なステップで躱すのは得意だしな

たまにステップし過ぎてドブに落ちたけど…


さ、あいつらの引っ越し終わったら食堂で話し合ってみるかね?

この世界の旅は俺も経験無いからなぁ

いろいろと知識仕入れなきゃね」





アイリス達は空いているメイド部屋を片付けていた

「あの、メイド長、ベッドは4つしかないですがどうしますか?」


「そうですね

ロウ様は雑魚寝も経験させると仰ってたので、このままにしておきましょう

自分達で考えるのではないですか?

それに、野営の訓練も兼ねるなら交代で1人は不寝番をするでしょうし

ロウ様の護衛であるのですから、その程度は自主的に考えてもらわないと困ります

あ、それと鎖を1本持ってきておきなさい」


「「鎖?」」


「いざという時には中から開けられない様にします

この区画は女の園でもありますからね、ウフフフフ…」


「「怖いですメイド長」」




少し時間が経つとフワック達が食堂にやってきた

みんな荷物は頭陀袋2つぐらいしか持っていない


「あら?荷物はそれだけなのですか?」


「はい、アイリスさん、宿舎では全部用意してもらってました

武具も支給品で

荷物らしい荷物は私服と少しの私物ぐらいしかないんですよ」


「では、武具は新しく揃えないといけませんね

あとで旦那様に報告しておきます


では、部屋へ案内します」


少し邸内を歩くとメイド達の部屋がある区画へ付く


「この区画にはメイド達の部屋と物置しかありません

短い期間ですが、迂闊な行動をとると屋敷から永遠に出られなくなる可能性がありますから気を付けて」


「「「「「はい!」」」」」

アイリスの冷厳な声にフワック達が震え上がる


「では、荷物を置いて落ち着いたら食堂へ来てください

ロウ様も来られると思います」

アイリス、ミア、リズは食堂へ戻っていった


「ぶはぁ…アイリスさんには緊張するわ」

「あぁ、おっかねーよな」

「そんなのはどうでもいいけど、ベッドが4つしかないぞ?」

「そりゃアレだろ?全員が一緒に寝るなって事なんだろ?」

「あぁ野外演習の要領なんかね?」

「そうだろうな、あまり気を抜くなって事だな」

「了解」

「さあ適当に荷物置いたら食堂に行こうぜ」

「あいよ」


ゾロゾロと食堂へ向かうとロウが椅子に座って待っていた


「お、来たきた、部屋は気に入ったかい?」


「はい、違う緊張感はありますが満足しています」


「そりゃ良かった、あ、適当に座ってよ

ミアちゃんとリズちゃんも座って

誰か、お茶でも出してあげて」


「「はい」」

メイドが数人、お茶の準備を始める


全員の前にお茶が置かれると

「先ずは自己紹介から始めようか、僕はロウだ、6歳ね」


「「「「「「「それは知ってます!」」」」」」」

一斉に突っ込まれた


「では私から、フワックです、東街区壁沿い3丁目出身の18歳です

新設されたロウ様の騎士隊の小隊長です」

「私はオムルです。東壁外の出身、18歳です」

「私はスーです。東壁外出身です、18歳でオムルとは幼馴染です」

「私はトロリーです。東壁外外れの出身です、17歳です」

「私はライザーです。東街区中央2丁目出身です、16歳です」


「私はリズです。当家のメイドを10年しております、54歳です」

「私はミアです。まだ当家に来て数日です、16歳です」


「私はアイリス、当初は陰から見ているだけのつもりでしたが

少し関わったので当屋敷に居る間は表立って見ていることにしました」

フワック達がピリッとなった


『ハハッ、ビビってんなぁ

つーか、アイリスまで自己紹介してやんの』


「なにか?」


「えっ!?やだな、何も言ってないじゃないか」


「さようでございますか?」

ジト目で見てくる


『おかしい…心が読まれてる…』

「さ、旅に必要な物を話し合おう

諸侯の街に着いたら宿屋をとるけど、それ以外は野営になるからね

僕は野営した事が無いから君たちをアテにしているよ

あゝそれと女子組は、メイド服を持っていくのは構わないけど道中は動き易い服を着てね」

少し早口でまくし立てた


「ロウ様、衣服に関してはもう1点」


「なに?アイリス?」


「はい、フワックさん達は武具を持っておりません

騎士重装備ほどでは無いにしても、せめて軽装備はさせるべきなので旦那様にお話を伺おうと思っております」


「なるほどね、父上だったら良い考えがあるだろうね

うん、後で話しておいて

じゃあ、ミアちゃんとリズちゃんにも武具が良いのかな?」


「ええ、ミアとリズにも武装はさせましょう

いざという時には自分の身は自分で守ってもらわないと

コロージュン家メイドの名折れです」


「いやいや、えぇ…?ウチのメイドは何を目指してるのかな?」


「ロウ様、馬は我々の騎乗用が4頭と軍馬2頭でよろしかったですか?」


「そうだね、馬のエサは結構な量になるのかな?」


「そうですね、軍馬の方は普通の馬よりも多く食べますが

馬は意外に少食なので途方も無い量にはなりません

途中の町や村で補給する事を考えれば多くても3日分ぐらいであれば大した量にならないから大丈夫だと思います

足りなくても、それこそ道草を喰うでしょうから

それよりも大事なのは水ですね

馬用も考えると大樽を2つは欲しいです」


「なるほどね、勉強になるなぁ

じゃあ次は僕らの食べ物は?」


「それが、まだ寒い時期なので腐らせる心配は無いのですが

基本的に保存食なので、ロウ様には不便を強いるかと思います…

それに狩りで調達しようにも、諸侯に依っては禁猟な場所もありますから判断が難しいです」


「あゝそれは当然じゃない?大丈夫、文句は無いよ

じゃあ次は寝ることかな?」


「それは、我々は軍用のテントが1つあれば足ります

ロウ様は馬車で寝てもらう事になりますが

できれば、リズさんとミアさんにも馬車で寝てもらえると護衛としては安心出来ます」


「なるほど、その辺りはどうなの?ミアちゃん、リズちゃん?」


「はい、問題ありません」

「はい、望むところです」


「望むところ?なんと勝負してんのさ…」


「わふわふ?」(私って、さっきから空気なんだけど馬車に寝れるのかな?)


『あ…』

「コマちゃんも馬車に寝ていいのかな?」


「「「「「あ!?」」」」」


リズの目がギラリと光った

「もちろんです!私がしっかり面倒を見させていただきます!」


『リズ、お前もか』

「わかった、ヨロシク頼むねリズちゃん」


「ロウ様?前から思ってましたが、ちゃん付けはお止めください

呼び捨てで構いませんよ?」


「え?あ、そう?いやあ若いからさ、ついね?」


リズが大輪の花の様な笑顔を浮かべ

「若いと言って貰えるのは大変嬉しいのですが

ロウ様の方が遥かに御若いのですから」


『いや、前世合わせたらリズとタメだから…』

「そっか、わかった、じゃあこれから呼び捨てで」


「「はい」」


「じゃあ後は、馬と馬車を街外の馬房から屋敷の厩舎に連れてきてから決めようか?

明後日ぐらいには連れて来れる?」


「「「「「はい、お任せ下さい」」」」」


「アイリスは父上に装備の事を話しといてね」


「かしこまりました」




食堂を後に、部屋に戻った俺は

「なあコマちゃん、こんな時ってさ

ラノベ展開だとさ、アイテムボックスが使えて新鮮な食材を旅に持ってけたりするやん?

その辺はどうなの?」


【え?なに言ってんの?使えるはずよ?今まで言わなかったから必要ないのかと思ってたよ】


「あ、俺にも出来る魔法なんだ?ラッキ♪

いや、昔から予定立ては苦手だから、その時にならないと思い付かないもんなんだよなぁ」


【ま、前世でも行き当たりばったりで結果出してんだからしょうがないねw】


「じゃあ、どうすればいいか教えてくれる?」


【はいよ、じゃあ先ずは、この世界の魔方陣は形とか覚えたよね?】


「うん、覚えた、つか覚え易かった

二重円環書いて円環の中に、こっちの古い文字で(このサークルの魔法を行使する)って書くんだよな?

上半分に命令で、下半分に命令者

んで、中に必要な文字を書いて魔力を流し込む、でよかったか?」


【そうそう、それ!

覚え易かったって?】


「あゝあれってさ、3ピースMCカラーパッチを円環にしただけやん」


【あ、そういえばそうだね、君も背負ってたね

その魔方陣を魔力で空中に書いてみて?】


「は?簡単に言うな!

なんのキッカケも無しに、んな事出来るか!」


【ふっふ~ん、その為の君のtattooさ

そのtattooで魔力を大量に吸収してみ?

tattooに空気を吸い込むイメージをすればいいよ】


「はあ?そんな簡単に…」

右二の腕のtattooを見て渦潮の様なイメージを頭に浮かべると、キラキラした光の粒子が渦を巻きながら次から次へとtattooに吸い込まれる

それと同時に右手の指先から光が溢れだした


【ほら出来た、やっぱりそのtattooってデザインが良いねぇ

中が巴紋で周りが北斎波ってのが、また良いよ

次はその光で魔方陣書いてみて、空中に定着するから】


「こうか?おお!空中に文字が書ける!

円書いて上に命令文と下に俺の名前

んで、真ん中に何書く?」


【真ん中には、異空間と時間停止を書いてから

魔方陣に手の平充てて魔力を流し込む様にしてみて

異空間の大きさは流し込む魔力量で変わるよ】


「了解、やってみる…………………おわっ!?」


【どう?上手くいったね】


「え?ココどこだ?異空間か?」


【そう、入り込んじゃったね】


「コマちゃんも入り込んじゃったのか?」


【私は自分で入ってきたよ、だって時間停止してる場所と時間が進む場所は話せないでしょ?】


「は~なるほど、理屈は意味が分からんが神様が言うんならそんなもんなんだろうな?

しかし、この空間って天井も床も壁も無くてふわふわして気持ち良いな

ん?時間停止してて呼吸出来るのか?」


【出来ないよ?でも、君はそのtattooのおかげでアクアラング背負ってる様な感じだから大丈夫なんだよ

あと、生きてるモノ入れたら死んでるのと同じ状態になるからね気を付けて

さ、出ようか】


魔方陣から外に出てきた


【1度作った魔方陣は脳に記録されるから、今度からはイメージするだけで大きさ関係無く魔方陣発現出来るよ】


「へぇ!そりゃ便利だね♪

あ!じゃあ次は火系と水系も覚えといたらキャンプに便利だな」


【そうだね、一気に覚える?】


「うん、それ覚えたら次は時計を作りたいな

あ、あと、武器も

ファンタジーに夢が広がるなぁ」




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