魔力について
説明回です
長ったらしい説明は読んでてだれるので、この後の序章は読み飛ばしてもらってオッケーです。
別にそこまで詳しく書いてるわけじゃないですが、深くまで楽しみたいという酔狂で粋な方はお楽しみください。
(※物語風に書いてあります。箇条書きではありません)
異世界に転生するというとても喜ばしいことを体験してから約一年がたった。暦は前世と同じで、どういうわけだか月もある。屋敷の中を見る限りは時計はなかったが、時の単位は月で決まるはずだから、おそらく一日の長さも同じだろう。
あれから遠くからものを見ることが出来る「遠見の魔法」を造り、絵本などを読んで文字は覚え、文法も簡単なものは分かるようになった。幸いにもこの家、自分の家には書庫があったので、たくさんの本を読むことができた。流石お貴族様の家だ。
文字が読めるようになってからはしっかりとした本も読むようになった。文法はまだ良く分かっていないが、単語が分かれば大抵のことは理解できた。中学生英語が分かる状態で英文を読むようなものだ。
本を読んでいく中で分かったが、この世界には、魔法(魔力)、魔獣(魔蟲やアンデットを含む)、魔草、魔植物が存在し、動物(虫、植物)、スキル、レベルが存在しないらしい。俺が全部説明するのは面倒なので、これから本の一部をお見せしよう。
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この世に存在する魔力とは、体を動かす者には力として、体をあまり動かさない者には純粋な魔力として働く。力となれば強靭な力を発揮し、魔力となれば通常では成しえない超常現象を起こす事……魔法ができるようになる。人は魔力を頼り、今日まで生きながらえれたと言っても過言ではないほど、魔力は力を持っている。
魔力は、どんな生物、虫や植物にも存在し、最大保有量はその者の生命力に比例し、食べ物を食べることで回復する。当然これには人も当てはまる。筋肉がある者ほど魔力最大保有量は多く、よい食事を食べれば食べるほど、魔力は回復していく。魔法使いが体をあまり使わないのに体を鍛えているのはこれが理由だ。
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魔獣には魔力が肉体に宿っている。先ほども書いたように魔力とは体をよく動かす者には強靭な力として働く。したがって魔獣はとても強力なのだ。ある者は爪に毒を、ある者は強靭な体躯を、またある者は不死の様な強力な自己再生力を持っている者もいる。理性を持ち合わせておらず、野生のものでは人と友好的な関係は、まず築けない。
例外は二つ。
一つはスライムだ、この魔物──人の営みに深く関わっている魔獣を魔物という──は人どころか、生物に危害を与える事はない。
他の生物の排泄物や死骸を食べ生きる能力を持っていて、食事をする必要が無いからだ。一説では空気中に存在する魔力も食すと言われているが、空気に魔力が含まれているという話自体が信憑性が低いので、あまり信じられていない。
また、最近では地下に連れ込み、ごみ処理や下水処理に役立てるなどの活用の仕方が出ている。
死骸やゴミを消化させれば、まともな食料を食わなくとも餓死せずに生きていけることが出来る上に、交尾もせずに勝手に繁殖していくので定期的に駆除すれば掃除をする必要がなくなるからだ。
ゴミを食べるだけで食事を必要としないという生態は、研究者の私としては非常にうらやましいが、死ぬこともできずに延々とごみ処理室に閉じ込められるのはごめんだ。私としてはこのスライムの活用法は気に食わない。
まぁそのことはどうでもいいだろう。
もう一つの例外は龍だ。
彼らは悠久ともいえる時を生き、人間をはるかに超える知恵を持つ。強大な力を持つが理性があり、時として人助けをすることもある。一部の地域では神格化もされており、神として崇められている場合もあるらしい。
彼らは人の言いなりになることはないが、中には懇意にしている者もいると聞く、が、あまり詳しくは知らない。龍に関して調べていても噂としか聞かないので私は信じていない。
彼らについては詳しいことは分かっていないが、一説では世界を安定させるために存在しているのでは、と言われている。地下を流れる龍脈という世界の血肉を守っているそうだ。
彼らの素材は良質だが、めったに死なないので、国宝として扱われているのが常で、冒険者からは龍は宝の山だと思われている。
また、魔獣とは違い魔力を宿しつつも自ら移動することをあまりしない物を魔植物という。
一般の魔草との違いは、自らの意思を持って周りに襲い掛かる点だ。薬の素材として加工すれば非常に高い薬効を出すが、手に入れるためにも薬を使わなければいけないような危険な物だ。
これらで作れるのは傷を通常ではありえない早さで治す薬や、魔力をすぐに回復させる薬。はたまた逆に体を麻痺させる毒煙や、身体を蝕んでゆき命を奪う強力な毒もある。
研究する題材としては非常に面白く、それと同じほどに危険なものとなる。
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世の中には魔導士、魔法使い、魔術師と呼ばれる人たちがいる。
どれも多少の差異があるが、彼らの共通点は魔法を使えることだ。魔法を使える者を魔法使いと、魔術式を使う者を魔術師と、魔法も魔術式も使う者を魔導士と呼ぶ。他にも錬金術師や付与師等もいるが、最たるものはこの三つだ。
まず、魔法というのは意思の力を魔力を用いて現実に起こす術だ。魔力を放出しながら現象を頭に思い浮かべる。そうすればその現象は現実に起こる。魔法と聞くと難しく思えたり仰々しく聞こえたりするかもしれないが、実際は方法はそれほど難しくない。
しかし、いくら頭の中の現象を実現させることが出来ると言っても、さすがに現実に起こりえないことは起こせない。無から有を作り出すことはできないし、やれることでも限度がある。残念なことだ。
しかしどうゆうわけだか水だけは少量なら無から造り出せるし、火だって燃料も無しに灯すことが出来る。光など自由自在だ。この法則を導き出すのが、魔導士の役目ともいえる。
しかし近年では魔法使いや魔道士が減少してきている。魔術式が発達した今、魔法は非効率的な技術であるため、使う機会が減ってきているのだ。魔法使いが居なくなるのも時間の問題かもしれない。
魔法は基本的に、火属性、水属性、風属性、土属性、光属性、生属性に分けられる。
まぁ特に厳密な決まりはない。火を使えば火属性、土を動かせば土属性だ。このどれにも当てはまらないものは無属性と呼ばれる。
これらの魔法は現象魔法と呼ばれ、現象魔法の他にも、生活魔法、念話、複合魔法がある。
生活魔法は物を動かしたり声を届けたりなど、生活を豊かに過ごしやすくする魔法だ。
念話は魔力を動かせる者なら誰でもできる魔法とも呼べない技術で、要は自分の意思を外に出す、という事だ。やり方は詠唱と同じように、声を発する際に魔力を込めるだけだから、実際にやってみるといい。
複合魔法とは読んで字のごとく、いくつもの魔法の効果を組み合わせた物だ。例えば、音に色を付ける魔法があった場合、音の形を作る魔法と、色を付ける魔法を同時に使わなければならない。それが複合魔法だ。複合魔法はその性質から初心者には難しく、本に書くのも大変なため、本に載せれるのは、魔術師ギルドが制定した、一部の簡単な複合魔法と現象魔法だけだ。
まだ説明が続きます。
本の筆者が音に色を付ける魔法を例えに出していますが、実際にはそんな魔法は使われていません。一応魔法で出来ますが、消費魔力が多くなりすぎて一般の魔法使いにはできません。あくまで分かりやすい例えです。