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曇天
曇天が眩しく見えた。思わず目を閉じるくらいだった。空の全部が白く光っているみたいであった。
大体、晴天よりも曇天の方がよっぽど眩しいのだ。銀世界に至っては、視界のすべてが余さず輝くのだから、たまったものではない。
太陽は目に焼きついて、瞳を閉じても瞼に映るが、曇は目を瞑っている分には白いばかりで害が無い。太陽より雲の方がずっと人間に優しい。一年中、ずっと雲に覆われているような天候の地域もあるらしい。
雲の向こうの太陽に照らされて、曇天は白く光る。快晴の広さを知っていると、飛び回れもしないくせに、曇に覆われた空を酷く窮屈に思う。太陽と青空は必要だが、直接それを見る必要はきっと無い。
眩しい曇天で、充分なのだ。