表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/4

割れた窓

 窓を割って部屋から逃げ出そう。でも足の裏を怪我するのは嫌だから、玄関の靴を持ってきて、それであの窓を蹴破ろう。それから、蹴破ったあとはどうしよう。きっと追いかけられるから、誰かが来る前に逃げなければいけない。何せ借家の窓を割るのだ。ついに犯罪者になるのだ。

 ずっと逃てはいられない。警察に捕まったら窓を割った理由を述べなくてはならない。何といおうか。もっともらしい理由が、何か無いだろうか。

 頭痛がして目をきつく閉じる。呑み過ぎた、と、口の中でぶつぶつ独りごちながら、眇めた目でカーテンを見やる。暗い穴蔵のような部屋に閉じ込められた気分で、カーテンの外を妄想する。犯罪者とは、どんな気分だろうか。誰の目にも明らかな犯罪者になったら、一体どんな気分だろうか。

 割れた窓。硝子の破片が刺さったままの靴を履いて、必死で逃げる自分。やがて疲れ果て、無様に捕まる自分。そうだ、言い訳など不要だ。どうせ皆から見放されるのだ。子離れの出来ていない母親は悲しむだろうが、きっと父親は大丈夫だろう。いっそ何も言わないままで、独房に連れて行かれよう。自由など要らない。自由から逃れたい。常に誰かに見られているような自由より、誰にも見られていない捕らわれの人生の方が、よっぽど良い。

 そうしよう、そうしよう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ