怪談話 肝試し大会 【Ⅰ】
さてさて、今回お噺するは、
夏に投下する予定であったが書ききれず、放置されていた物語り。
なにぶん途中なものでさわりだけになりますが、
どうぞお楽しみください。
said:司会 兼 進行役
季節は蝉が五月蠅く(うるさく)鳴く(なく)、肝試し(きもだめし)日和の夏の盆。時刻は深夜。
ここは日本のとある町の外れ(はずれ)にある寺の境内の中。
少年少女、九人が子供会主催の肝試し大会をするために集まっていました。
え?それにしては人数が少ないだろうって?
仕方がないじゃないですか。他の子供は面倒くさがって来なかったり、風邪ひいて来られなかったりしたのですよ。大人は用意するだけだったり、化かし役だったり、仕事があったりするのです。それにこの肝試し大会は子供主導で行われますから。だから仕方がないったら仕方がないのです。ええ。ええ。そう思わないとやってられないなんて思ってませんよ?思ってませんからね。うふふふ。(アイツら自分が面倒だからって、この僕に面倒事押しつけやがって・・・・・後で目にものみせてやる!!)・・・・・・・コホンッ。話を戻しましょう。
子供たちが集まる寺の本堂からは真言宗系のお経が聞こえてきます。今聞こえてるのは正信偈かな。他の経も肝試し大会が終わるまで一応、あげてもらう予定です。雰囲気出ますし、何より魔除けになるかもしれないじゃないですか。・・・あ、肝試し大会の説明ですね。承りました。
「それではみなさん、毎年恒例の肝試し大会を開催します。
では、今回の道順とルール説明をさせて頂きます。
今回は、今みなさんと私が居る、この寺の境内を出て、この寺に隣設する墓場からのスタートとなります。そして、墓場を抜けて、墓場の奥にある、森に入り、森の中にあるお社を見つけ、そのお社にお供えしてある、私共が用意させて頂いた、皆様の人数分の木札、壱~九の番号が漢字で書かれた木札をそれぞれ一人一枚ずつ、順番に従って手に入れ、今、皆様がいる、こちらの寺の境内に戻ってきてください。
次にルールです。毎回の約束事になりますが、脅かし役の方に殴る、蹴る、物を投げつけるなどの行為は禁止とさせて頂きます。怖かったからって相手を傷付けて良い理由にはなりませんので、悪しからず。
第二に途中退場、特に無断での途中退場はやめてください。周りの迷惑になる上に、無断退場は次の人が進めなくなりますので。どうしても、というのなら考えないこともありませんが。基本やめてください。
第三に、これは忠告です。今回は先ほども言いました通り、森の中に入るルートも含みます。ですが、決して、決して、森の奥の方には入らないようにしてください。例え、何かに呼ばれたとしてもです。それと皆さん、絶対に生きて帰ってきてくださいね。それから、迷子や神隠しに遭わないようにしてください。そうなった場合捜すのは、ぶっちゃけ、とっても面倒臭そうでございますので・・・。
あ、あと、言い忘れておりましたが、墓場は兎も角、その奥にある森の方は比較的、出やすいのでそこのところ、念のため、頭の片隅にでも留め置いて、どうぞこの肝試し大会が終わるまでお忘れなき様お願いいたします。・・・・・それでは皆さん、心、その他諸々(もろもろ)の準備などは宜しいですか、よろしいですね?・・・それでは、行く順番を決める為、あちら、子供会の会長さん達が居る、本部と印刷された紙が貼ってある机に行って、クジを引いてきてください。引いたクジには壱~九の番号が書かれてあります。そのくじに従って、二人一組の班を作ってくださいね。班分けは、壱と弐、参と四、という風に続く番号で組んでください。残念ながら、今回、参加人数が9人という奇数人数だったので、九、の番号を引いた方は問答無用で、お一人で行ってもらうことになります。反論や文句は勿論受け付けませんし、クジの交換は認めませんので、これまた悪しからず。
ではこれにて、今回の肝試し大会の説明を終りとさせて頂きます。皆さん、ご存分にお楽しみください。」
ふ~、これで僕の役目は粗方終り。あとはこの大会が無事、終わるのを待つだけ。
あれ、皆なんか・・・ひいてる?てか、顔が心なしか蒼いような・・・。まぁいいか。
さぁて、終わるまでゆっくりさせてもらお~っと。
said・END:司会 兼 進行役
とりあえずここまで、といたします。
それではまた次回。