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AV専門店『希望』  作者: 満腹太
第一章 運命を追え
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第四話 女を追え

―――夏


暑い日差しを受けながら長谷川は自分の店のあるマンションに向かって歩いていた。


長谷川はマンションから300メートル離れた一軒家に住んでいた。


都内の大きな一軒家。購入は松戸組から格安で譲り受けたワケアリ物件だった。


白いシャツに黒いズボンと靴を履いた長谷川はAV専門店『希望』に辿り着いた。


ズボンのポケットから鍵を取り出し鍵穴に挿し店内に鼻歌を歌いながら入って行った。


長谷川はドアを開けると正面のレジの前のフロアに誰かが横になっているのに気が付いた。


室内には横になっている『誰か』さんが付けたのかエアコンが効いていた。


長谷川は足音を消しながら倒れている『誰か』さんに近づいた。


女性だった。


20歳位の若い女性でシャツにズボンと動きやすい格好をしていた。


長谷川はその女性を揺り起こした。


「もしもし。こんな所で寝ていると風邪引きますよ?もしもーし、起きてくださーい。」


長谷川が何度か揺さぶると、その女性は眼を開いた。


「…うーん、ここは?」


女は体を起こし周りを見回した。


「ここはAV専門店です。」


「えーぶい?…アダルトビデオ?」


「違います。アニマルビデオです。見て分かりませんか?例えばこのDVD。生後2週間の子猫の日常を納めた最新作!可愛さにメロメロですよ!」


長谷川は近くにあったパッケージを取り女性に見せつけながら説明した。


「は、はぁ…」


「それで、なんでここにいたのですか?戸じまりは確認したはずですが?」


「えっと、トイレの窓が開いてたから…」


「はぁ、開いてれば入って良いという訳ではないと思うんですがね。」


「ごめんなさい…」


女性は頭を下げて長谷川に謝った。


「まぁ、訳ありのようなので不問にしましょう。それで、なぜこんな所で寝てたんですか?」


「…」


「言いたくない事かもしれませんが、もしかすると助けになるかもしれませんよ?それに話すだけで何か解決できる事が浮かぶかもしれません。」


長谷川は優しく言ったが、心の中では面倒事になったと思っていた。


「はい…、私は小室秀美≪こむろ ひでみ≫です。モデルをしていました。」


「していた、とは?詳しく聞ききましょうか?向こうの事務所で話を聞きましょう。」



長谷川はコーヒーを2人分入れると小室の正面の椅子に座った。


小室は重い口を開くと今までの事情を説明した。


熱烈なファンの男性の正体がヤクザの組長の息子で半ばストーカー化し仕事にも影響しだした。


ヤクザから事務所に脅迫のような電話が続き仕事を辞めざる追えなかった。


数日後に夜道を歩いていると連れ去られそうになり逃げた。


そんな時、モデル仲間から聞いた『なんでも屋』の話を思い出した。


どこかのビデオ店にある白いパッケージを持ってレジに行くとどんな悩みも解決してくれる。


藁にもすがる思いでホテルを転々としながら、この店に辿り着いた。


そして、彼女が大事そうに持っているのが白いパッケージの箱だった。


「なるほど…。事情は分かりました。…それでは、ようこそなんでも屋『希望』へ。失われた聖櫃の奪還から人気歌手のボディガードまでなんでもしますよ。」


「そ、それなら、私を助けて下さい!もう、こんな生活、嫌なんです!」


「その依頼、承りました。あなたを日常の生活に戻れるように全力を尽くしましょう。」


「あ、ありがとうございます!」


小室は何度も頭を下げた。


「それで、あなたの安全の為に私の家で保護します。家のすぐ側に交番がありますので安全は保障できます。」


長谷川の住む家の目と鼻の先には交番があり、長谷川自身も諸事情で警察官に顔を覚えられていた。


「それでは行きましょう。」


長谷川は小室を連れ家へと向かった。


「こ、ここですか?」


小室は驚き声を上げた。


庭は雑草が生い茂り荒れ放題、家屋の窓からゴミ袋が見えるほどゴミが積み込まれていた。


「ん?ああ、住めば都さ。少し虫がいるけど、そこは無視して。」


「…(こ、これはテレビでみた事あるわ。ゴミ屋敷って言うのね。)」


長谷川の冗談に無反応の小室だった。


「さあ、汚い所ですがどうぞ。」


長谷川は錆付いた門を開け雑草が生い茂る道を進むとゴミに埋もれた玄関を開けた。


ツーンと少し酸味のある匂いが周囲に広がり小室は顔を顰めた。







小室を家に押しこみ長谷川はAV専門店『希望』に戻った。


来客の少ない店だが、ネット販売は好評で日本全国から注文が来ていた。


長谷川は通販の準備をしながら小室のモデルでの経歴を調べていた。


テレビには余り出ていない小室だったが、およそ1年前にテレビ出演していた事が分った。


それを元に収録日を調べた。


収録日の小室の行動をチェックし監視カメラで動向を見ていると、収録後に事務所に帰る車を後ろから付けている黒い車に気が付いた。


小室が事務所で降りると黒い車の主も降り小室に詰め寄ると何か言っていた。


そして、小室は逃げるように事務所に入ると男は捨て台詞を言い車で立ち去ってしまった。


長谷川は車のナンバーから近隣の極道『山田組』所有と判明。


そして監視カメラい映っていた男は暴行容疑で逮捕された男と人相が一致した。


男の名前は『山田勇次』


山田組の組長の息子で暴力沙汰を何度も起こしているが一度として事件には発展せずに全て和解している。


長谷川は全ての件でヤクザが脅していると判断し、『山田勇次』の後ろ盾である『山田組』を調査した。


しかし、この調査は難航した。


山田組の帳簿はネットワーク上に存在していなかった。


即ち、パソコンで管理せずに紙媒体での保存の可能性か、インターネットに繋いでいないパソコンで管理されている事を示していた。


長谷川は数日間かけて、山田組の幹部の動きを調査した。


その結果、海外マフィアとの人身売買をしている幹部の吉田を映している監視カメラの映像を手に入れた。


この映像に映っている吉田は山田組の帳簿管理から一切の外交をしていた山田組が存続する上での重要な人物であった。




水曜日


昼前に長谷川は山田組に公衆電話から電話した。


プルルルルル、と呼び出し音が鳴ると声の低い男が電話に出た


『もしもし』


「組長とその息子に伝えろ。『小室秀美』に手を出すな。2日前の人身売買の証拠を手に入れた。警察にバラされたくなければ彼女に手を出すな。」


『なんだと?』


「もう一度言う、『小室秀美』に手を出せば人身売買の現場に幹部の吉田がいた証拠を警察に通報する。」


「おい!な…」


長谷川は相手の言葉を待たずに電話を切った。


吉田が逮捕されれば山田組は壊滅的状況になるだろう。



長谷川はこれで暫く様子見かな?と思いながら小室の待つ家に向かった。




小室


私を連れ去ろうとした山田から何とか逃げ出し、以前モデル仲間から聞いていた『何でも屋』を探していた。


家は常に監視され帰る事も出来ずにホテルを転々としながら1件のビデオ販売店に辿り着いた。


辿り着いたのが夜中だったので店は閉まっていたが、トイレの小窓からスリムな体型を生かし何とか入る事が出来た。


夏の夜は蒸し暑く、エアコンを点け『なんでも屋』に依頼するための白いケースを探した。


あった。


何店目か覚えていないけど、やっと探し当てた。


私は探し当てた白いケースを胸に抱き少し休もうと横になった。


気が付くと見知らぬ男性に起こされた。


いつの間にか寝てしまったようだ。


この男性に起された私は、事情を説明した。


山田にストーキングされ、事務所も脅しに屈して解雇された。


そしてついに誘拐されそうになった。


携帯電話を無くし友人にも助けを呼べない状況で『なんでも屋』を探した。


そして、ここで運命の出会いを見つけた。


見た目は格好良くない。


どこにでもいそうな男性が私の運命を変えてくれた。


長谷川さんが私を助けてくれた。


彼の家でしばらく過ごせば安全に解決してくれる。


私は彼の言葉に従った。


だけど、一つだけ許せないことがある。


彼は家が散らかっていても全く片付けない人。


彼が家に帰るまで部屋の掃除をした。


虫も退治して処分した。


全てが終わったのが5日後とか、もう勘弁してほしい。


翌週の水曜日、彼が朝出て行く時の言葉は忘れない。


「いまから決着をつけにいくから。」


何気ない言葉だけど、この一言に救われた気がした。


昼が過ぎ、夕方になり長谷川さんが帰ってくるまでに夕飯を作る。


ここに来てからの日課になった食事作り。


新婚さん気分を味わえる…なんて考えたら顔がニヤけている自分がガラスに映った。


一週間前とは状況も気分も全然違う。


充実した日々が送れている。


あ、冷蔵庫の中が少ない。これじゃあ晩御飯作れない…


長谷川さんはまだ帰ってこないけど少しくらい一人で買い物に行ってもいいかな?


置き手紙してれば大丈夫。


うん、これでよし。


長谷川さんから借りた財布を持って近くのスーパーまでちょっとお買いもの。


もう直ぐスーパーという時に、私は走ってきたワンボックスの中から出てきた男たちに腕を掴まれた。




「ただいまー。」


長谷川が家に着くと大きな声を上げて中に入って行った。


彼は綺麗に片付いた家に帰るのはテンションが上がっても仕方ないと思っていた。


「小室さん。…?小室さん?」


長谷川はリビングに入るとテーブルの上に置手紙があった。


「買い物?…マズイな!」


長谷川は家や付近の監視カメラから小室の行方を追った。


長谷川が帰る1時間前に小室は家を出てコンビニの前を通りスーパーに向かっていた。


しかし、細い脇道に入ると黒いワンボックスが小室の後ろから近づいて、彼女の手を掴むと強引に車の中に引きこんでしまった。


長谷川は黒いワンボックスのナンバーから持ち主が山田組の関係者とわかった。


「ちくしょう!!誘拐したなー!!」


最近の楽しみである美味しい食事を作ってくれる人、そして家を綺麗にしてくれた大切な人を誘拐した山田組に長谷川は怒った。


長谷川は家を出ると駆け足で山田組へと向かった。



山田組はいつもの平穏な日々を過ごしていた。


ただ、一つ違うのは地下室へ向かった組長の息子『山田勇次』が珍しく上機嫌であった事だけだった。


長谷川は山田組に近づくと山田組と周辺の防犯カメラをすべてシャットダウンした。


長谷川はその超高性能な義体を使い3メートルはある山田組の塀を飛び越えた。


長谷川が飛び降りた場所は山田組が誇る純和風な日本庭園だった。


幾つかの灯籠が立ち大きな岩とそれに連なるように小さな岩が幾つも並んでいた。


「あ」


そして、眼の前にいる和服を着た男、山田組の組長『山田伍郎』だった。


「誰だ!えーい!警備の者は何をしている!さっさとこいつを捕まえんか!!」


組長の叫び声で男たちがぞろぞろと現れた。


現れた順に長谷川に殴りかかってくる男達。


長谷川は襲いかかってくる男たちをカウンターで殴り倒した。


十数人を殴り倒すと一人の男が懐から銃を取り出した。


少し震える指先で照準を長谷川につけると少し迷ったが引き金を引いた。


長谷川は殴りあっている最中だったが発砲音を聞いて咄嗟に身を屈めた。


長谷川の頭上を銃弾が掠め隣の男が倒れた。


それから、次々にヤクザ達が銃を構えた。


長谷川は近くの男を楯にしようかと考えたが、すでに手の届く範囲には誰もいなかった。


それから続く幾つもの発砲音。


長谷川は腕と足に数発当たりながらも庭園の大岩の陰に逃げ込んだ。


銃弾は大岩をほとんど削れず長谷川は大岩の影で今後の展開を考えた。


(クソッ!弾が当たったら痛いじゃないか!)


長谷川は銃弾では死なない事は理解していた。


死にはしないが痛いのは嫌だった。


(こっちも飛び道具を使うか…)


長谷川は自分の手をジッと見つめた。


彼の手首は脱着式で手首を外せばエネルギー砲が撃てた。


少し悩んだ長谷川は首を横に振り、その考えを否定した。


(オーバーテクノロジー過ぎるな。他に手は…あれだ!)


長谷川が周囲を探すと小さな岩が目に入った。


小さいと言っても1メートルほどの大きさで、とても人の手で動かせるようなものではなかった。


その小岩の影に長谷川が移動し両手でしっかりと凹みにを掴むが全く動かなかった。


長谷川は超電導ジェネレーターを起動した。


長谷川を中心に水蒸気が庭を包み込んだ。


長谷川の体から蒼い光のスパークが放たれると目の前の岩を力一杯持ち上げた。


すると、小岩は発泡スチロールのように軽く長谷川は少しバランスを崩しかけた。


「な…なんだ、ありゃ…」


長谷川の耳に届いたのは驚愕しているヤクザの声だった。


長谷川は声のする方に向かって小岩を投げた。


小岩は轟音を立て地面に落ち、数メートル転がると砂煙を上げて回転を止めた。


「う、うゥぅ…」


「足が!俺の足が!!」


長谷川の投げた小岩に数人が巻き込まれ彼らは決して軽くない怪我をし、戦意を失った。


「ええーい!何やってんだ!!さっさと殺ってしまえ!!」


組長が大声で戦意を失い掛けたヤクザ達を鼓舞した。


彼らの目は脅えが見えながらも長谷川に向かって銃弾を放った。


「ヤバいっ!」


長谷川は直ぐに大岩に隠れ迫る銃弾から身を隠した。


長谷川はヤクザ達の攻撃が弱まると小岩を投げてはヤクザ達の数を減らして行った。


「これで!最後だ!!」


長谷川は持ち上げた大岩を最後の一人になった組長に向かって投げた。


「う、うわあああぁぁぁぁ!!」


組長は飛んできた大岩に足がすくみ動くことが出来なかった。


彼の叫び声がこの世で発した最後の言葉だった。


長谷川は改めて周囲を見回すと物言わぬ屍となった男達の中に幹部達の顔が見えた。


しかし、小室を攫ったであろう『山田勇次』の姿は発見できなかった。


「おい、山田勇次はどこだ?」


長谷川は呻き声を頼りに生き残っていた最後の1人を見つけると頬を叩き意識を覚醒させた


この男の下半身は岩の下で潰されていた。


「うぅ…、地下に…」


そういうと男の体から力が抜けた。


「死んだか。…地下、か…」


地下への道は直ぐに見つかった。


長谷川はゆっくりと地下へ続く階段を降りた。


地下へ降りると頑丈な扉があった。


長谷川は扉を用心しながら開けた。


扉の向こうには裸で倒れている小室の姿があった。


小室は両手を拘束され床の上で仰向けになっていた。


その小室の両足を掴み持ち上げている男『山田勇次』もいた。


小室は抵抗を見せずに山田に成すがままにされていた。


「へへへ、小室ちゃん。今から気持ち良くしてあげるからねぇ~。」


山田が自分のイチモツを小室の秘部に当てた瞬間。


山田の髪が掴まれ後ろに倒された。


「くわっ!いてぇじゃねぇか!」


山田が倒れた状態で声を荒げた。


「…」


長谷川は無言で山田の頭を踏み抜いた。


「!!!」


山田の頭部はピンクの肉片と白い幾つかの骨を残し地面に深く埋まった。


長谷川は小室を抱きかかえると声をかけた


「大丈夫か?」


「…」


小室は長谷川に向かって視線を向けるが他に反応はしなかった。


「薬か…」


長谷川は小室を近くにあった毛布で包むと長谷川を抱え山田組から立ち去った。


その3分後に近所から発砲音の通報を受けた警察が到着し庭にある幾つもの死体を見て顔面蒼白になりながらも応援を呼んだ。



「これは…酷いな…」


到着した佐藤警部はその凄惨な庭の状況に顔を顰めた。


「…はい、一体なにがあったんでしょうか?」


「それを調べるのが俺達の仕事だろう。」


「…そうですね。」


若い警官と話していた佐藤警部の元に他の警官が駆け付けた。


「警部!地下にも!」


「わかった直ぐ行く」


佐藤警部は地下の階段を下りた。


そこには地面に頭を埋めた裸の男が横たわっていた。


「これもか…」


「はい。上もですけど、信じられないくらいの力で殺されています。これなんて埋め込んでいるんじゃなくて、頭部が踏み砕かれて無くなっていますから。」


「ああ、信じられんな。上では庭石で押しつぶし、地下では踏みつぶしか…」


「…恐ろしいですね…」


「ウェンズディ・キラー…、何者なんだ…」


佐藤警部は未だ正体も痕跡も残さない凄惨な殺人現場だけを残すウェンズディ・キラーの事を考え続けた。



「うーん、ここは?」


小室が目を覚ましたのは見覚えのある部屋だった。


「目が覚めた?体は大丈夫?」


長谷川が小室の眠るベットの脇の椅子に座っていた。


「うん、少しだるいけど…大丈夫みたい。」


「そうか、よかった。」


「あれ?私って…黒い車に乗せられ…」


小室が思い出すように話を始めた


「大丈夫、全て終わったから。」


小室の言葉を遮った長谷川はベットの脇のテレビを付けた。


『緊急報道!!山田組壊滅!!』


テレビ画面に大きく映った文字に続いて近隣の人の話が続いた。


『ええ、パンパンって音が一杯して、何かな?って思ったらズドンって音と衝撃がしたんだよ。』


続いて映し出されたのは組長や幹部の写真だった。


その写真の下には死亡と書かれていた。


「…これで、君の安全は確保された。まぁ、君が誘拐されるなんて予想外だったけど、なんとか依頼は果たせたよ。」


『この事件は組長、構成員が死亡。死亡した状況から警察は水曜殺人、ウェンズディ・キラーとして捜査を始めました。』


「…」


小室は驚いていた。


見た目はどこにでもいそうな冴えない男性。それが自分を救いヤクザを全滅させたウェンズディ・キラーには到底見えなかった。


「それで、報酬なんだけど。これくらいで。」


長谷川は驚いている小室を無視して報酬の話を始めた。


彼が見せた電卓には8桁の数字があった。


「今回は大量に人がいたから特別に1人15万でー、それから経費とーその他もろもろ込みから、切りの良い数字にすると…今回は一千万ですねー。」


彼の通常での殺人では1人30万からで殺し方も依頼者の意を汲み取り凄惨なものから事故死まで色々あった。


今回は過去調査、相手の秘密調査、交渉、追加の拉致奪還と殺人解決があり、それぞれも格安にした。


もっとも、すべては長谷川の気分次第で割り引くので誰も本当の価格はしらなかった。


「…ごめんなさい。仕事を辞めてからホテルを転々としてたから、収入がなくて…体で払います。」


小室は服を脱ごうと手をかけたが、長谷川がそれを止めた。


「そうか、それなら店番くらいしてくれないか?」


「え?」


「だから、店で働いてくれないか?社宅なんてないから、ここに住んでていいし、ちゃんと給料もだすから。」


長谷川の言葉に驚いたのは小室だった。


今までしていたモデルの仕事は大手の事務所をヤクザと揉めた私を拾ってくれる所はない。


それなら自分の運命を変えた男性と生きていくのもいいかも、と考えていた。


「ふつつか者ですが、よろしくお願いします。」


小室はベットの上で正座し三つ指を立てて頭を下げた。


この翌日からAV専門店『希望』に女性店員が現れることになった。


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