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ドラゴン・レイヤー  作者: 夕咲 紅
二章 封印されし獣
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作戦会議

 アルウッドの集落に戻ると、まだ若そうな青年エルフに出迎えられ、用意して貰ったテントへと案内された。

 大きめのテントと言っていたが、俺達三人が入るとそれ程余裕がある大きさではなかった。とは言え、動けない程ではなく休むだけなら十分な広さはある。

 しばらく食事や雑談に興じ、周囲に気配がないのを確認する。

「大丈夫そうだな」

 随分の丁寧な対応をされたが、俺はルートラスを完全に信じた訳ではない。エルフだからと言う訳ではなく、奴の瞳を見ての直感だ。奴は、まだ何か隠している気がする。

「さて……二人はどう思う?」

「その質問は大雑把過ぎるんじゃないかしら?」

「堕神獣についてさ。本当にいると思うか?」

 ルートラスはその凶暴性を語っていたが、それにしてはこの森が平和過ぎる。

「でも、確かに古い結界は存在したし……何かが封印から放たれたのは確かなはずよ」

「意図的に、それらしい痕跡を作る事は可能か?」

「不可能ではないかもしれないけど、そうまでして街の冒険者をここに連れて来る必要性が感じられないわ」

 そうなんだよな……

 ルートラスが何らかの策略を巡らせていたとしても、その目的も手段も分からない。堕神獣なんて存在を捏造する意味もない様に思える。

「ルルーは、結界の痕跡を見てどう思った?」

「うーん……間違いなく、古いものだとは思うよ」

 求めていた意見とは少し違った答えが返ってきたが、ルルーがそう言うなら間違いない様に思える。

「となると、何かが封印から放たれたのはやっぱり確実って事か。ルートラスが何か企んでる訳じゃないとすると、堕神獣が本当に存在するって事になるか……」

「そうでもないんじゃない? 封印について正確に伝わっていない可能性もあるわ」

 なるほど。ルートラスの知っている内容が必ずしも真実とは限らない。

「結局は、封印されていた何かを探すしかないって事か……」

 今日の感触から、それは難しいだろうと思い至った為げんなりとする。

「ねーバナッシュ」

「どうした?」

 ルルーに声をかけられ、何とか気を持ち直して聞き返す。

「もしかしたら、見つかるかもしれないよ」

「どう言う事だ?」

 思わず大きな声を出しそうになったが、そこは堪えて努めて冷静に続きを促す。

「ある程度は近付かないといけないけど、多分あの結界と同じ匂いが残ってると思うの。だから、近付けば分かるんじゃないかな」

 前に悪意を感じるとか感じないとか言ってた事があったが、もしかしてそれも匂いで判断してたのか? いや、それはどうでも良いか。結果にさえ繋がるなら何の問題もないし、些細な疑問だ。

「解かれた結界みたいに、それは消えたりしないのか?」

「どうだろう? 結界は魔力的なものであって、感情みたいに強く残らないから……」

 やっぱりあの時も匂いで判断していたらしい。いや、どうでも良かったな。

「とになく、ルルーに期待するしかなさそうだな」

 余り他力本願な作戦は立てたくないが、この際気にしてられない。それに、タイムリミットがある可能性があるんだ。試せる内に試しておくべきだろう。

「とは言っても、結局は周囲を探索するしかないんだけどな」

 どの程度の距離でルルーが匂いを感知出来るか分からないが、とにかく探し回るしかない。

「明日も大変だろうし、今日はもう休むとするか」

 寝るにはまだ早い時間だが、俺だって疲労は感じているし、エリザはもっと疲れているだろう。ルルーは元気そうに見えるが……

「そうね」

「うん」

 二人共俺の言葉に頷き、寝袋へと入り込む。

 俺も自分の寝袋に入り、そのまま瞳を閉じる。

「おやすみ」

「おやすみなさい」

「おやすみー」

 そんな挨拶を交わした後、やはり疲れていたのか案外直ぐに眠気が訪れた。

 こうして、依頼初日が終わりを告げた……

 ドラゴン・レイヤーを読んで頂きありがとうございます。活動報告にも書きましたが、しばらくお休みを頂きます。再開は未定ですが、出来る限り早く再開したいと思っています。

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