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ドラゴン・レイヤー  作者: 夕咲 紅
一章 暗き冒涜の使者
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地下迷宮・地下4階

 地下3階も難なく通過する事が出来た。不死者との戦闘は数回あったが、現状の戦力で遅れを取る様な団体様が現れた訳でもなく、勿論多少の疲労は感じるが余裕がなくなった訳でもない。

 偽りの砂漠の地下迷宮。その地下4階と言えば、つい先日俺とルルーが転移系のトラップに引っかかった階層だ。俺が簡単に作った地図と、前回メリアが作った地図とを合わせある程度の地図は出来上がっているが、完全に踏破されたと言う訳ではない。出来上がった地図は当然フレンツ達にも渡してある為、既に階下へ進むルートを把握している俺達はそう困る事はない。ここまでの遭遇率を考えると、ギルドの調査隊が力不足だっただけではないかと思えてくる。

「そこを左よ」

 今回も地図を持っているメリアの言葉に従い、俺達は差し掛かった十字路を左に曲がる。

「ここからはしばらく一本道ね。道を抜ければ少し広い部屋になってて、そこに階段があるわ」

 そう言えば、確かにこんな道を通った覚えがある。まあ、ダンジョンには似た様な造りが多くあるから確証はないが。

「フレンツ達は、今頃どの辺りにいるんだろうな?」

 周囲への警戒は怠らないまま、俺はふとそんな疑問を口にした。彼らは一流の冒険者と言えるパーティだ。浄化能力を持つ者も多かったから、不死者を殲滅しながら進んでいると言ってもそう遠くない内に追いつかれるんじゃないかと思う。

「まだ地下2階辺りじゃないかと思うよ。各階層全エリアを見て回る訳だからね」

 一通りこのダンジョンの地図に目を通しているレイズが、そんな風に答えた。俺の読みも同じだ。

「メリアはどう思う?」

「あたしも地下2階にいるくらいだと思うわよ。あのメンバーなら流石に地下1階を回り終えてないって事はないだろうし、かと言って地下2階を回り切る程の時間はまだ経っていないだろうしね」

 地下2階をどの程度回り終えているかは別として、俺達の見解はほぼ同様だった。

「ねぇねぇバナッシュ」

 俺が一人納得していると、一番後ろを歩いていたルルーが俺に近寄って来た。

「どうした?」

「わたしには聞かないの?」

 どうやら仲間外れにされたとでも思ったのか、寂しげな表情を浮かべながらそう聞いてきた。

 ルルーは決して頭が悪い訳ではないが、冒険者としては新人――と言うか、そう言う知識をそもそも持っていない。考える力はあるのだから、意見を聞く事が無意味だとは思わないが期待は出来ない。そう考えていたからこそ、ルルーに聞かなかった訳だが……

 そうだな。ルルーだって立派な仲間だ。それに見合うだけの力だって持っている。見た目通りの子供じゃないと言う事も分かっているんだ。まあ、今みたいな面は子供っぽいと思うが……何にしても、もう少し仲間として見るべきなんだろう。俺自身が、そう認めたのだから。

「悪かった。ルルーはどう思う?」

「あの人達の強さとか良く分からないけど、上の階にあいつがいたって事はないのかな?」

 ルルーの言葉に、俺はハッと息を呑んだ。見ればメリアとレイズも似た様な反応をしていた。フレンツ達の実力に疑いはないが、ルルーの言うあいつ――黒幕と思しきあの男と遭遇した場合の事は考えていなかった。

 転移の魔法を使える以上、今突然目の前に現れる可能性だってある。当然、1階や2階でフレンツ達の前に現れる可能性だってあるだろう。

 フレンツ達のパーティは前衛が二人、後衛が三人のパーティだ。その後衛は全員魔法使いタイプ。相手が魔法を無効化する術を持っている以上、少なくとも有利とは言えない。手数で相手の攻撃を妨げれば勝機はあるだろうが、確実とは言えないのも事実だ。

「俺達もまだまだ精進が足りないな」

「そうみたいね」

「まったくだね」

 俺の言葉にメリアとレイズが頷き、ルルーはそんな俺達を不思議そうに見上げてきた。

「どうしたの?」

「ルルーが凄くて驚いたって所だ」

「そう? ありがとう」

 俺の言葉に照れた様にえへへと笑みを浮かべながら、ルルーが礼の言葉を口にした。

 礼を言われる様な事を言った訳じゃないんだけどな……

「まあフレンツ達の状況はどうあれ、俺達は予定通り先に進むしかないんだけどな」

 どこかのほほんとした空気を変えるべく、俺はそんな言葉を口にした。と言っても、メリアとレイズはマジメに周囲を観察しつつ注意を払っている。俺も気配くらいは常に探っているが、ルルーとの会話で集中力が落ちた事は否めない。

「うん」

 俺の言葉にルルーが頷き、真剣な表情を浮かべた。

 俺も意識を切り替え、しっかりと周囲への意識を広げる。そうすると直ぐに、一本道の終わりが見えてきた。

「どうやら、この階での戦闘は免れた様だな」

「まだ分からないわよ。部屋の先にも通路はあるもの」

 俺の何気ない言葉にメリアからツッコミが入った。

「そうだったか?」

「ええ。もう少し近付けば、部屋に敵がいるかどうかは分かるでしょう」

「そうだな」

 一層気を引き締め、俺達は広まった部屋へと向かう。慎重に、しかしまだ武器は抜かない。

 しばしの沈黙。部屋の近くに辿り着くまで大して時間はかからず、中の様子を窺えるくらいの距離まで辿り着く。

「……どうやらモンスターも不死者もいないみたいだな」

 部屋の中からは全く気配が感じられず、俺は一息吐きながらそう言った。他の皆も同じ判断を下したらしく無言で頷きつつ息を吐いていた。

「行こう」

 それでも最低限の注意は払いながら先に進む。下の階から不死者が上がって来ない様に先に結界を張っておき、地下4階の踏破を目指し奥の道に進んだ。

 それからモンスターや不死者と何度か戦闘を行ないながら、メリアによるマッピングがこの階を踏破したと判断し階段のあった部屋へと戻る。

 再び敵と遭遇する事はなく、俺達は無事に階段のある部屋へと戻って来た。

 メリアに結界を張り直して貰い、俺達は地下5階へと向かい階段を降りた。

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