表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

あの花はどこへ行った?

作者: とよき
掲載日:2026/03/18

春になると、丘の斜面に小さな白い花が咲いた。

名前は知らない。けれど町の子どもたちは、それを「あの花」と呼んでいた。


理由は簡単だ。

毎年咲くのに、気づくと消えているからだ。


ある年の春、少年は祖父に聞いた。


「ねえ、あの花はどこへ行ったの?」


祖父はしばらく丘を見ていた。

そして静かに言った。


「遠くへ行ったんだよ」


「どこに?」


祖父は答えなかった。

代わりに、昔の話を始めた。


ずっと昔、この丘の向こうで大きな戦争があった。

町の若者たちは、みんな遠くへ行った。

帰ってきた人もいたけれど、帰らなかった人もいた。


戦争が終わった年、丘にたくさんの花が咲いた。

見たこともないくらい、たくさん。


「不思議だろう」祖父は言った。

「人がいなくなった場所ほど、花はよく咲くんだ」


少年は丘を見た。

風が吹いて、草が揺れている。


「じゃあ、あの花は…」


祖父はゆっくり首を振った。


「花はどこにも行かない。

行くのは、いつも人のほうだ」


それから何十年もたった。


町は静かで、戦争もない。

春になると、丘にはまた小さな白い花が咲く。


通りすがりの子どもが聞く。


「あの花はどこへ行ったの?」


誰かが答える。


「どこにも行ってないよ」


子どもは少しだけ、不思議そう顔で丘を見た。

そしてぬるい風が通り過ぎていった。

AIと共作してみました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ