第18話:千年期限切れの晩餐と、神への悪口
【閲覧注意?】 今日のランチメニューは「賞味期限切れの工業用飼料」です。 お食事中の方は、手元の美味しいご飯を噛み締めながら、彼らの絶望を味わってください。
※更新時間を12:10に変更しました。
「味に文句を言うな。地下において『食えるもの』は二種類しかない。『食べると即死するもの』と『食べるとゆっくり死ぬもの』だ。賢い奴は後者を選ぶ。そうすれば、死ぬまでにより多くの不平不満を垂れ流せるからな」
――『第七節点保全工・昼休み録音記録』
耳障りな金属の摩擦音と共に、その錆びついたロッカーの扉が不承不承といった様子で開いた。蝶番が上げる悲鳴は、関節炎末期の老人の抗議のようだった。
李翰文は息を潜め、左手で女のペンダントを掲げ、神経を張り詰めたまま、慎重に中を覗き込んだ。
ロッカーの中に死体はなく、鼻に噛み付いてくる怪物もいなかった。埃以外は、意外なほど綺麗だった。
分厚い埃は灰色の毛布のように、優しく、そして音もなくすべてを埋葬していた。この「時間の屍衣」の下に、埃を被ったレンガのような金属の箱がいくつか転がっていた。
あの甘ったるい腐敗臭はここから漂っていたのだ。これは防腐剤が完全に失効した後、時間とバクテリアが密閉空間で狂乱のパーティを開き、その後に残された冷めた残飯の臭いだ。
「……これ、食べられるの?」
背後の女が鼻を押さえ、こもった声で言った。この臭いは彼女に生理的な嘔吐感を催させていた。
「知ったことか。石じゃない限り、俺は食うぞ」
翰文は唾液を一滴も絞り出せない乾いた口で、無理やり喉を鳴らした。
飢餓感はすでに現代の衛生常識を暴力的にねじ伏せていた。胃袋が激しく痙攣している。見えざる巨大な手が腹の中に突っ込まれ、濡れ雑巾を絞るように胃壁をねじり上げ、酸っぱい虚無感を絞り出しているようだった。
彼は震える左手を伸ばし、金属のレンガの一つを掴んだ。ずしりと重く、骨まで凍るほど冷たい。表面にはバーコードのような凹凸が刻まれている。
脳内で「ジッ」という音が響き、あの「残り火」が反応を返した。
今回は激痛ではなく、口いっぱいに木屑と蝋燭を頬張ったような乾いた触感が神経を伝ってきた。そこには安っぽく、疲弊した感情が混じっていた――これは飼料だ。この塔を稼働させる二本足の家畜たちのために用意された燃料だ。生存維持のための必需品であり、品質など微塵もない。
味に文句をつけるな。唯一保証されているのは、カロリーが足りていることだけだ。
脳の奥底にある残り火は、この物体の本質を強引に彼の認識へと焼き付けた。
『合成デンプンと石界苔を圧縮成形した粗悪品。労働力搾取用の微量な興奮剤添加あり。』
『状態:深刻な変質。警告。』
それは「深刻な変質」を警告していたが、同時に冷酷な生存論理も伝えてきた――毒死する前に、その熱量がお前を生かすだろう、と。
翰文の口角が引きつった。
「いいニュースだ。こいつは確かに食べ物だ。たぶん……軍用の圧縮糧食ってやつだな」
彼は金属のレンガを机の角に数回叩きつけ、酸化したパッケージをこじ開けようとした。鈍い音が響く。
「悪いニュースは、こいつの製造日が俺のひい爺さんの年齢より古いかもしれないってことだ」
パッケージがパキリと割れると、中から灰褐色の、石鹸のような質感の固体が顔を出した。
瞬間、嘔吐感を催すほど濃厚な甘ったるい悪臭が爆発した。さっきの十倍は強烈だ。目に染みるほどの刺激臭に、胃がひっくり返りそうになる。
「……オエッ」
女がえずき、すぐに後ずさった。壁に寄りかかり、まるで劇薬を見るような目で翰文の手にある物体を凝視している。
「そんな顔をするなよ。俺の故郷じゃ、これくらいはまだ『ダークマター料理』の部類に入らない」
翰文は自嘲気味に笑い、汚れた指でその「石鹸」をひとかけらへし折った。そして観念して目を閉じ、決死隊のような覚悟で口に放り込んだ。
一秒目。蝋を噛んでいるようだ。
二秒目。奇妙な酸味と甘味が舌の上で炸裂した。ザラザラした粒子感があり、期限切れの歯磨き粉を咀嚼しているような感覚。
三秒目。胃袋が満足げな轟音を上げた。
飲み込んだ瞬間、脳の奥底でぼんやりとした映像がフラッシュバックした。灰色の制服を着た男が、薄暗い隅でこれを貪り食っている。その目には疲労と、家族への思慕が滲んでいた。
口の中には酸っぱい腐敗臭だけでなく、雨水の湿った匂いと、ホームシックの苦い味が広がった。
「うぐっ……」
翰文は何度か無理やり噛み砕き、吐き気を堪えて強引に飲み込んだ。食道が焼けつくようだったが、熱流が拡散していくのをはっきりと感じた。
この熱流こそが、これが生命維持のための「燃料」であることを証明していた。
「食える。イケるぞ」
彼は残りの半分以上を女に差し出した。
「味はマラソンを完走した直後のオッサンの脇の下を舐めてるみたいだが……命は救える」
女はその灰褐色の塊を見つめ、次に翰文の汚れているが期待に満ちた顔を見た。彼女は長く迷った末、恐る恐る手を伸ばした。
手づかみではなく、まるで今にも爆発しそうな爆弾でも扱うかのような、距離感のあるぎこちない手つきだった。
彼女は不快感を堪えて、小さく一口かじった。
華奢な眉間に深い皺が寄る。顔中のパーツが中心に集まり、明らかに味蕾が大惨事に見舞われているのがわかった。だが彼女は吐き出さなかった。
息を止め、吐き気をねじ伏せ、少しずつ咀嚼し、力を込めて飲み込む。喉が苦しげな音を立てた。
「……不味い。本当に不味い」
彼女は涙目で、極めて中立的かつ正確な評価を下した。
「底辺庶民の生活へようこそ」
翰文はもう一つこじ開け、今度はさらに速いペースで食べた。飢餓が味覚を一時的に麻痺させている。今はただ、この腹に空いた底なし穴を埋めたかった。
二人は埃まみれの制御室の床に座り込み、読めない地図を前にして、千年期限切れの工業用飼料を分け合った。古代人の「真空静止技術」が高レベルだったおかげで、この高エネルギー塊は化石にならず、ただの変質した食品で済んでいた。
「たぶんこいつの製造年は、イエス・キリストが生まれるより前だと思うぞ」
翰文が咀嚼しながら軽口を叩く。ペンダントの青い光が二人の間で揺れ、その影を斑な壁に長く、歪に投影していた。
「……あなたの故郷にも……」
女は一塊を食べ終え、少し体力が戻ったようだ。彼女は翰文を見つめ、その目に微かな好奇心を宿して聞いた。
「……こういう……不味いものが、あるの?」
「あるさ。俺たちはそれを『電子レンジ食品』とか『レトルト』って呼んでる」
翰文は椅子の脚に寄りかかり、腹の絞られるような痛みがようやく和らいだのを感じた。
「俺たちの場所じゃ、時間を節約するために、食べ物を飼料に変える技術がたくさん発明されたんだ。まあ俺たちには律もないし、空を飛ぶ鳥人もいないが……っと、悪かった」
女は怒らなかった。「鳥人」という呼び名に免疫ができたのか、あるいは怒る気力もないのか。
「……律がない……じゃあ、あなたたちは……何を頼りに……生きてるの?」
それは彼女にとって理解不能な概念のようだった。魚に「水がない場所でどうやって呼吸するんだ」と聞くようなものだ。
「金。脳みそ。労働力。法律。それと……ほんの少しの運だ」
翰文は少し考え、頭上の真っ暗な天井を指差した。
「俺たちの場所にも、お前が言う律に似たものはある。俺たちの律は『資本』とか『物理学』って名前だ。そいつらは、お前らの風よりも冷酷だぞ。何せ、人の祈りなんて絶対に聞かないからな。
それに、向こうの神様は怠け者でな。普段は寺とか教会とか呼ばれる場所に引きこもってて、暇つぶしに塔を建てて人を圧死させたりもしないし、のっぺらぼうの怪物を派遣して戸籍調査をしたりもしない」
「……なんだか……」
女の目が少し遠くなり、その光景を想像しているようだった。
「……とても……孤独ね」
翰文は虚を突かれた。
孤独?
そうか。奇跡もなく、魔法もなく、いつでも感応できる「律」もない。現代人は確かに、物理法則だけの冷たい宇宙に生きている。
「かもな」
翰文は肩をすくめ、ボロ布で巻かれた感覚のない右手を見た。
「確かに俺の故郷にも孤独なはみ出し者はたくさんいる。だが少なくとも、その孤独な世界じゃ、名前がないからって風に切り刻まれる心配はない」
名前の話が出ると、空気は再び重くなった。女は無意識に胸のペンダントに触れ、目を伏せて黙り込んだ。
「……腹は膨れたか?」
翰文は沈黙を破った。この話題は続けたくなかった。この期限切れの晩餐には重すぎる話題だ。彼は立ち上がり、あの地図を手に取った。
「食ったなら仕事だ。俺たちは今、この『第七節点』にいる。ここを出るには、この……」
彼の指が地図の上で長いルートをなぞった。
「……『排汚管』と呼ばれるルートを通り抜けて、上の『風井』まで登らなきゃならない」
「……排汚……」
女の顔色が悪くなり、小さく呟いた。
「選り好みするなよ。この塔はかつて生きていたんだ。新陳代謝くらいするさ」
翰文は無頓着に地図を丸め、懐にねじ込んだ。
その時、遠い闇の奥から低く重い轟音が響き、足元の床が微かに振動した。
「聞こえたか?」翰文は苦笑した。「あれはこの塔の腸が動く音だ……このタイミングで下痢をしないことを祈ろうぜ」
彼は杖代わりの鉄の棒を拾い、入り口まで歩いてから、振り返って女を見た。
「行くぞ、名無しの嬢ちゃん。地獄の観光ツアー再開だ。パイプの中にあの機械蜘蛛がいなけりゃ、糞溜めだろうが何だろうが這って行ってやるさ」
女は壁に手をついて立ち上がった。
彼女は黙って翰文の背中を見つめた。足を引きずり、減らず口を叩き、けれど何かあれば必ず彼女の前に立ちはだかる異邦人。
その瞬間、彼女はふと思った。この律を持たず、神を持たず、少し頭がおかしいかもしれない男の方が、彼女が見てきた高貴な風界の長老たちよりも、ずっと……「人間」らしく見えると。
彼女はすぐに後を追い、手の中の青い光で前方の暗いレールを照らした。
終点がどこにあるかはわからない。だが少なくとも、この道には二つの影が並んで伸びていた。




