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ゴブ耳の。



 なんかギルドから連絡が来て、いきなりRankアップしてしまったんですが。

 

 よく考えるとそりゃゴブ百匹以上倒してるし、ダンジョン踏破してるし。うん、そっちの方全然考えてなかったわ。

 

 そっか、Rankアップも考えないとダンジョンの探索制限も関係して、速やかな生活基盤の構築という目標に支障が出ちゃうかぁ。

 

 って事で昨夜は色々諸々考えてた訳です。

 

 

 そんなカンジの諸々を経て、今日俺は"二の迷宮"の浅層の一角に来ております。

 

 目の前には大中の耳袋が鎮座し、何と言うかとても表現が難しい程の悪臭を漂わせています。

 

 

 さて、この耳袋の中身なのですが、凡そ三百ちょいのゴブ耳が入っておりまして、我がチート収納のお蔭で腐敗もせずフレッシュな状態の筈なのに、もうそれはプルプルしてしまう程のスメルを撒き散らしておりまする

 

 なんで俺はダンジョンに来て耳袋なんぞを取り出しているのか、それはギルドの解体場で職員の方からゴブ耳の処理は皆どうしているのかとお聞きした処……

 

 「そりゃお前、ダンジョンで死体を放置したら、ダンジョンに吸収されるだろう? あんま大量のゴミを放置するのはギルドとしちゃ勧められんやり方なんだが、実際のところは…… まぁ、そういう事だ」

 

 

 成程。確かにダンジョンで討伐部位を剥ぎ取った後の死体なんかは暫くしたら消えてたな。『Dungeon Searcher』でも死体は暫くしたら消失するし、それと同じと考えればいいんだろう。

 

 よし、これで漸く臭い耳とオサラバできるゼ。

 

 因みにコボルトの手は臭くないし、灰にしてしまえば色々と用途があるという事で、金にはならないが引き取って頂きました。手袋ごと。

 

 

 そして今目の前には俺を中心として、扇状に散らばったゴブリンの耳。中々形容のし難い絵面になってると思います。

 

 右側には耳袋1から取り出した、外から持ち込んだゴブ耳が。左には昨日"一の迷宮"で剥ぎ取ったゴブの耳が。何と言うかまぁくっさいスメルを発生させつつ散らばっております。

 

 

「おっ……確かに消えてくな。時間にして耳は五分で吸収され……ん?」



 見た目が薄くなり消えていくゴブ耳。しかし消えたのは左側の迷宮産のゴブ耳だけで、外から持ち込んだ天然物のゴブ耳は消えることなく悪臭を漂わせている。

 

 

 更に迷宮産ゴブ耳を撒きつつ、天然物を放置してみるが、状況は変わらず……

 

 

 これは、もしや迷宮の外から持ち込まれたブツは迷宮に吸収されない? いやいやいや、シーカー(探索者)が迷宮で死んだ場合、死体どころか装備も所持してるアイテムも迷宮に吸収される筈。

 

 ……なのになんで天然ゴブ耳は吸収されないんだ?

 

 

 これはまたギルドの職員に聞く必要があるかもとメモ帳に視線入力しつつ、部屋の隅に天然ゴブ耳を三つ程放置し、ダンジョンアタックを開始する事にした。

 

 

 "二の迷宮"と呼ばれる小規模ダンジョンは、総階層数十八階。造りは"一の迷宮"と代り映えしない石造りの通路が続くタイプだが、ほんの僅かだが罠が配置されている。

 

 出現するモンスターは浅層ではコボルトが、中層からはコボルトに混じりオークも出現する。

 

 オークとは、一般的なファンタジー物に良く出る二足歩行の豚というイメージ通りの魔物であるが、アステラの世界では害獣の類に分類され、食用としては扱われていない。

 

 

 因みに討伐部位は鼻である。

 

 

 それは、つまり、今回のお金儲けミッションはコボルトの右手と豚ちゃんの鼻を収拾する事になると。そっかぁ~ 鼻、鼻かぁ~

 

 

 耳、手と続いて今度は鼻かぁ。何と言うか、ダンジョンでお宝探しというドリームがある話は上位Rankからであり、初心者はひたすら耳手鼻収拾に明け暮れるとか。色んな意味で心が折れそうになるな……

 

 

 駆け足で十階層まで潜り、出てくるコボルトをエクスカリバー(棒)で仕留め、手を回収していく。

 

 分かりやすく表現すると、ガゥゥゥと出てきたコボルトをエクスカリバー(棒)で殴ってギャン!とさせ、その後ナイフで討伐部位を回収する。

 

 「ガゥゥゥ」「ギャイン!」「ズバッ」というのを延々と繰り返す訳だ。

 

 

 そんな感じで中層まで進めば、インベントリ内の手は八十四個になっていた。同じ小規模ダンジョンと言っても魔物の出現数とか頻度は随分と違うんだな。"一の迷宮"と比べれば頻繁に犬頭に遭遇するし、数もあっち(一の迷宮)じゃ一匹がうろうろとしてるだけだったけど、こっち(二の迷宮)じゃ平均2~3匹集団が普通ときた。

 

 そりゃ討伐部位の収拾に時間が掛かるわな。

 

 因みに今朝手袋はギルドで使ってしまったので、また猫屋で袋的な物を購入せねばなるまい。て言うか世のシーカー(探索者)諸氏は毎日こんな袋的な物を購入してるんだろうか、もしかして袋的な物って纏め買いが普通なのか? これは猫屋の店主に確認しなきゃなんないな。

 

 

 網膜に浮かぶ時刻を確認すると11:47になっている。ゴブ耳の処理やら諸々をしてからダンジョンアタックに挑んだので、凡そ三時間程で中層まで潜った事になる。割と飛ばし気味に行動した筈だが、もう少しペースを上げないと最深部に到達する頃には残業確定になってしまう。

 

 因みに俺は一日八時間しかダンジョンに潜らない事にしている。これは『Dungeon Searcher』でGMをしていた時の労働時間から導き出したアタック時間だが、労働時間は一日八時間という縛りにしておかなければいつまでもズルズルと潜り続けそうな気がするという理由があったりする。

 

 何と言うかやり込み要素があると、ズブズブとハマるのはゲーマーの悲しい性だよね。

 

 

 て言うかなんなら金貨1枚(十万円)程稼げたなら、そこでダンジョンアタックを終了してもいい。

 

 あくせく働いても金の使い道はないし、名誉も地位も正直いらないので日給十万程あれば充分なのである。て言うか日本での感覚で日給十万ってとんでもなく高給取りだなと感じるが、現状宿賃に五万/日が必要で、何かあった時の蓄財を考えれば同額程の余剰金は欲しい。

 

 て言うか基本、ダンジョンに潜るシーカー(探索者)って高給取りなんだよ。そりゃ命がけの商売だし、ある程度稼げなきゃやってらんない。

 

 装備にも消耗品にも金は掛かるし、見栄を張る為生活も派手になる。そんな訳で日給金貨1枚というのは一人前のダンジョンシーカー(迷宮冒険者)にとっては実のところそれなりの稼ぎという水準でしかなかったりする。

 

 

 そう考えれば冒険者Rank的にCまで上げて、中規模ダンジョン中層辺りを狩場にするのが俺的に丁度いいカンジなのではと思っている。

 

 

 まぁそれまでは多少面倒でも一日八時間労働を続け、耳手鼻の収拾に勤しむ事にしよう。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇




「すいませーん」


「……いらっしゃいニャ、今日も袋をご入用で?」


「ですです、今日はコボルトの手102個入る袋的な物と、オークの鼻71個入る袋的な物をクダサイ」


「兄ちゃんは魔物のパーツを集めるのが趣味の人ニャ? て言うかそんな時普通の客は麻袋が欲しいって言うニャ」


「いやいや、最初からちゃんと用途を説明すればお店としても手間はかからんでしょ? 袋的な物の大きさとかの選択的に」


「いや、店頭で耳百個とか鼻七十個とか具体的なブツの数を言われる方が色々と面倒ニャ。主に店のイメージ的に……」


「て言うか討伐部位を入れる袋的な物って、纏め買いしといた方がいいの?」


「……普通耳とか鼻を百個単位で持ち歩く狂人なんか居ないニャ。寧ろ討伐証明にそんな部位が必要なのはRankの低いシーカー(探索者)だけニャ。兄ちゃんみたく一日に何百も耳とか剥ぎ取ってくる低Rankシーカー(探索者)なんか詐欺みたいなもんだニャ! 普通のシーカー(探索者)はこんな用途の為に袋を毎日買う訳ないニャ!」



 そう言って営業スマイルもなく、寧ろ超真顔のまま渡された麻袋に今日の討伐部位をINする。

 

 うーん、確かに俺って低Rank詐欺みたいなもんだよな。そう考えると毎日袋的な物を買い求めるのは店主的には普通じゃないって事になるんだろう。

 

 でも必要だからこれからも買いに来るけどな。今は無駄遣いできない期間だから毎日討伐部位に最適な袋を用意する必要があるし、そうなったら纏め買いはやっぱできんわ。そう言ったら何故か店主は「まじかよ」と語尾にニャを付帯させる事も忘れたままプルプルしていた。

 

 

 さて、インベントリに今日の戦利品をINした訳だが、それらの表記は……

 

 ※手袋1(52)

 ※手袋2(50)

 ※鼻袋(71)

 

 となった。そっかぁ~ 予想通り鼻袋になったかぁ~ バラだと"オークの鼻"って表記なのに、袋に入れた途端"鼻"に略されるのはなんでかなぁ。

 

 

 そう言えばダンジョンから出る際、朝に撒いた天然のゴブ耳は迷宮に吸収される事無く、そのまま臭い匂いを漂わせたままだった。なんでじゃ?

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇




「おい、ゴブ耳のヤツ今日も何か袋引き摺ってきたぞ」


「まさかアレ、中身全部ゴブリンの耳か?」


「でも臭くなかったから違うんじゃない?」



 ギルドの解体場に向かう途中、なにやらヒソヒソとシーカー(探索者)達が話すのが聞こえてくる。

 

 何事? と思って話が聞こえてきた方を見ると、何故か目が合ったシーカー(探索者)さん達が慌ててプイッと目を逸らす。

 

 ……なんだ? 妙に避けられてると言うか、それなのに遠巻きに見られてると言うか。

 

 

「おうゴブ耳の、今日もゴブ耳の査定か?」


「いやいや、今日はコボルトの手とオークの鼻なんですけど……て言うか"ゴブ耳の"ってなんです?」


「うん? いやあんなアホみたいに耳だけ持ち込むヤツなんざ初めてだし、原始人みたく棒一本でダンジョン踏破しちまうヤツもいねぇし。良くも悪くも二つ名が付くほど目立っちまった結果がゴブ耳って二つ名に繋がっちまってんじゃねぇか?」


「……ゴブ耳、俺の二つ名ゴブ耳……ゴブ耳ィ!?」


「ハッハッハッハッ! まぁ、そういう訳だ」



 待て、ちょっと待て。確かに魔物の討伐ペースはちょっとやり過ぎかもとは思ってたさ。でもそこから齎された結果が「ゴブ耳」って二つ名とかどうなのよ?

 

 確かにゴブ耳は沢山持ち込んだけど、それ以外の討伐部位も持ち込んでるじゃないか!

 

 いやそれ以前にギルド職員が既に認識してるって事はシーカー(探索者)各位様も"俺=ゴブ耳"という固有名詞で認知完了しちゃってるって事ぉ?

 


「まぁアレだ、二つ名ってのはある意味名が売れた証だしよ、一応それなりに"できるヤツ"って認知された訳だから、そう悪い事じゃねぇって事で納得しとけや、ハハハハ」



 ハハハハって笑っとる場合ちゃうがな! て言うか全然良くないんですが? これでもミーは『Dungeon Searcher』では不死の騎士って恐れられてたんですが? まぁ陰で"おしおきナイト"とか"チャンバラGM"とか不名誉な二つ名で呼ばれてましたけど、流石に"ゴブ耳"に比べればそっちの方がまだマシってモンですよ!

 

 これは……更にインパクト大な行動で皆さんの記憶を上書きし、脱・ゴブ耳を果たさねばならないという事でしょうか……

 

 

 ゴブリンさんがくれた初めての討伐部位

 それは右耳で私はGMでした

 そのスメルは臭くてキツくて

 こんなヤバい討伐部位を沢山集める私は

 きっと特別な存在なのだと感じました

 今では二つ名がゴブ耳

 解体場の職員にあげるのはもちろんゴブリンの耳

 なぜなら彼はギルドの職員だからです

 

 

 ってベルタース〇リジナルお爺さん風心のポエム呟いてる場合とちゃうがな!

 

 ほら見てみろ今日はゴブの耳とちゃうぞ! 寧ろもうゴブの耳は卒業したから! はいドーン!

 

 

 ※ジンはギルド職員に討伐部位を提出した

 

 ※コボルトの手102個←

 ※オークの鼻71個←

 

 

 ……くっ、これは、もし今回の件で二つ名が更新されたとしてもロクな結果にならなさそうな予感しかしねぇ。

 

 

「……おいゴブ耳の、この数って、もしかして今日も迷宮踏破してきたのか?」


「えぇまぁ一応最下層まで降りて、それでも足りなかったので暫く狩り続けてましたが。ってこれだけ別の討伐部位提出してもゴブ耳って呼称は変わらないんデスカ……」


「あーちょっと待て、あれ全部で幾つあるんだ?」


「……確か手が102個で鼻が71個の筈ですけど」


「今数えさせてるけどよ、もしその数が合ってれば……」


「今日の稼ぎは金貨約1枚になりますよね」


「ちげーよ! そうじゃなく今日()冒険者Rankが上がるっつってんだ!」



 まぁそりゃ上がるわな、寧ろそれも狙ってるし、一日金貨1枚という稼ぎは最低ラインに設定してるからな。その範囲で討伐していけば小規模迷宮は一日に一カ所踏破のペースになる筈だ。

 

 ついでにRankによる探索制限もこのペースで狩ってけば中型ダンジョンの中層までノンストップで行ける筈だ。ある意味このペースは予定通りと言っていい。

 

 まぁ確かにこんなペースでダンジョンアタックするのは無茶かも知れんが、俺自身異邦人という事を隠すつもりはない。そもそも俺が知る『Dungeon Searcher』のプレイヤー的にこの程度の討伐なら出来て当然の能力は持ってるだろうし、何も問題はない。

 

 

 良くある異世界転生物みたいに、能力がバレれば権力者から狙われるだの、普通に生活できないだのという心配はダンジョンに潜ってる限りこの世界ではしなくていい。

 

 

 何故ならこの迷宮都市アガルタは魔物を討伐する戦力を常駐させる事に苦心していると聞く。というのもある程度の数の異邦人は神が望む魔物の討伐をそっちのけにして、今もあっちこっちで戦乱に身を投じ、力の誇示と権力闘争に勤しんでいるという。

 

 対して魔物の間引きという点についてはある程度目途は立っている状態だが、大規模な氾濫に関しては何とかというレベルで余裕は無いというのがこの都市の実情だ。

 

 確かに国という縛りで言えば、異邦人という戦力は欲しいというのが周辺諸国の本音なんだろう。しかしダンジョンの氾濫を放置すれば、嘗てのオーランド王国が崩壊した時の様に取り返しの付かない事になりかねない。

 

 だからアガルタでダンジョンアタックをしている異邦人を強引に引き抜くのはご法度と言うか、周辺諸国同士で牽制し合っている為困難な状態にあるという。

 

 

 そんな訳で、俺はある程度無茶をしても日々の糧を稼いでってRank上げに勤しみ、中型ダンジョンに潜れるようになったら安定した生活を維持しつつ、のんびりとさせて貰うつもりだ。

 

 まぁ一つだけ気を付けない事があるとすれば、先を急ぎ過ぎて装備が拾った棒のみという状態になっているところか。

 

 確かにまぁ、コレはないかも知れないと思ったりするんだが、先立つ物がないので仕方がない。

 

 かと言って何も考えず今手持ちの装備を使ってしまうと漏れなく俺がGMだったという事がバレてしまうだろう。しかもGMのチート能力を持ったままに転生してるとなれば、幾ら先述の事情が絡んだとしても面倒な事が起こるのは目に見えている。

 

 

 そんな悶々とした日々を送っていた時期も俺にはありました。

 

 

 今日の稼ぎで取り敢えずエクスカリバー(棒)を卒業する資金が貯まりまして。

 

 手持ちのゼニは金貨8枚と鉄貨5枚。宿賃は八日分先払いしているので後六日は大丈夫だけど、まぁそこは手を付けずに残すとして装備に使える資金は金貨4枚少々。

 

 日本円にして約40マンエン。これが高いのか安いのか……正直武具の値段としては、恐らく初心者的な方が購入する水準でも予算的にフルセットは無理と言わざるを得ない。

 

 だがもうアレだ、正直棒はアカン。見た目もアレだが戦術的にも無理がある。

 

 

 というのもこの辺り、俺自身が『Dungeon Searcher』のシステムに副ったGMの(・・・)能力を持って転生しているという部分が大いに関係している。

 

 

 基本的に『Dungeon Searcher』は限りなくリアルに寄せて作られている……という前提の元、異世界転移を視野に入れたシステムで運営されていた。

 

 他のゲームの様に詳細なステータス表示もなく、スキル的な物も一部の魔法系以外は存在しない。

 

 だがそんな『Dungeon Searcher』だが、開発初期の頃はこれまでと同じような、馴染み深いRPGのシステムを組み込む形で開発をしていた時期があった。

 

 

 スキルを選択する、或いは口にする。すると最適なモーションで決まったダメージ量を叩き出す。ゲームというシステムには普遍的、かつあって当然の要素。

 

 

 だがフルダイブシステムとこの組み合わせは、ある意味相性最悪という事が後に発覚する。

 

 

 だってさ、スキルって発動すれば決まったモーションを繰り出す訳で、それはもう相手側としては分かり切った行動をしてくる訳だから対処も容易な訳で。対人戦としては致命的。

 

 寧ろスキルが発動してる間は使った本人としては勝手に体が動く、極論を言えば自分の意思に関係なく戦闘の重要部分を決定付けられる訳で。

 

 感覚的には気持ち悪い、そしてフルダイブで感覚全てを反映してる筈なのに、ゲームのキモとなる部分が全然自由じゃない。という事でプレイ環境としても致命的。

 

 そういった意見が当時のテスターから噴出し、紆余曲折を経て『Dungeon Searcher』にはスキルという物を極力排除したシステムが採用される事になった。

 

 

 さて、長々と語った訳だが、ここからが俺的に関係する話。

 

 一応プレイヤー側では採用されなかったこのスキルシステム。実はGMには採用されてます。というのも色々と暴走……もとい、フルダイブという新技術に酔って凝りに凝りまくっていた当時の制作陣は、金に飽かせてプロの格闘家やアクション俳優なんかにオファーして、モーションキャプチャーしまくりまくってデータを収集してました。

 

 で、『GMとは絶対強者であり、立ち振る舞いも戦う姿も品格が伴っていなくてはならない』という、どう考えてもそれモーションデータをボツにするのは勿体ないという建前が透けて見えるよね? 的な決定を経て、GMの戦闘技能は名前の無いスキル群によるシステムがメインになる事になってしまった訳だ。

 

 

 もうね、戦いにくいったら。寧ろアバターの能力ゴリ押しでないと上位プレイヤーには通じないし、いや感知できない素早さで動くし、パワーもハンパないから反撃なんかは受けた事ないけど、それ制御するこっちはフルダイブなのにシステム酔いに慣れるのが大変だったというか。

 

 まぁそんな訳で結論。ワタクシGMのジンは、この世界でもメインウエポン設定されている大太刀でなければまともに戦えない体になっています。

 

 ……うん、棒とかだとただ殴ればいいだけだし、なんなら適当にブンブンしてれば大抵何とかなるんじゃないかなって思うけど、それじゃメーでしょ? これから先の事を考えれば見せかけだけでもちゃんとしなくちゃなんないし、そう考えると特定装備しか使えないんだよなぁ……

 

 

 そんな色々な事情を鑑みつつ、今日は宿に直帰せず、解体場のおっちゃんに教えて貰った武器屋へと行く事になりました。

とうとうジン君にも二つ名が! 


そしてピンチ! 書き溜め分が無くなった! そんな訳で次話からマジで更新スローペースになります。


そんな訳で拙作に対するご評価なんかを頂けたら嬉しいです。


どうか宜しくお願い致します。

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