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エクスカリバー



「あ? なんやワレポン刀(瑞穂刀)打てってか? ほんま面倒臭い事言いやがってからに、シバくどボケが」



 皆様こんにちは、ジンです。

 

 ただいまボクはダンジョン"沼"の249階層にある鍛冶場に朱音(あかね)さんと来ています。

 

 ここは牡丹(ぼたん)さんの配下達が使う装備や備品を一手に生産する拠点なんだそうで、一応鍛冶場と呼ばれてはいるそうなのですが、他にも錬金や細工なんかの生産系の工廠も一緒に纏められているそうなんですね。

 

 え、なんで敬語で喋ってんのって? なんと言うか今ここの親方と喋ってんですけどね、むっちゃ怖いと言うか、見た目ヤの付く人って言うか、バリバリの河内(かわち)弁でボロクソと言うか。うん、そういうカンジで自然と喋りが敬語になってしまうんですよ……

 

 

「親方、今回の件は牡丹(ぼたん)様が全面的に協力せよと仰せになっていまして」


「なんやぁ? 姐さんがそうせぇ言うてんのか? ほぉん、 ……ほたらしゃーないの。ほんで? 兄ちゃんよ、瑞穂刀言うても色んなのあんねんけどな、どないなモン打って欲しいんや」



 今の今まで絶対〇すオーラ全開で睨まれてたんですけど、牡丹(ぼたん)さんの名前が出た瞬間協力的になりましたよ。てか親方って見た目は剛羅(ごうら)と同じくマッチョタイプの鬼なんですが、何と言うか、腕が四本あるんですよ……

 

 えぇ、左右に二本づつ、計四本。ムキムキな腕が生えてます。

 

 なんでも腕が二本以上生える鬼族は珍しいけど一定数存在はしてはいるらしく、そういう鬼の腕は概ね左右対象で、四本から六本椀の状態で生まれてくんだそうで。そういう鬼は四ツ腕(よつうで)とか六ツ腕(むつうで)と呼ばれいるけど、そういう呼ばれ方されるだけで極普通に鬼族として生きているんだそうですよ。

 

 

「ジン様、武器は大太刀でという事でしたが、具足などはどうされます?」



 おっと防具じゃなくて具足ときたもんだ。んー、大太刀は(こしら)えさえ変えてしまえばGMのジンってイメージに繫がらないだろうけど、それに加えてGM用ブレストプレートをコピーしたブツを装備しちゃうと、流石に誤魔化しきれんよなぁ。造詣も特殊というか特徴的過ぎるだろうし。

 

 

「取り敢えず防具はハーフタイプの皮鎧にチェーンメイルって組み合わせでいいかな。大太刀はコレを参考に、出来たら同じ形と重さでお願いしたいんですけど」



 インベントリから取り出した大太刀を渡すと、親方は四本の腕で器用にクルクルと回しつつ、「ふうん」とか「ほぉお」とか言いつついろんな角度で大太刀を調べ始めた。

 

 

「おぅ、確かに壊れずの加護が掛かっとるみたいやけど、それ以外はなんの変哲もない長いだけのポン刀(瑞穂刀)やのぅ。まぁコイツと(おんな)じブツ拵えんのは簡単なんやけどの、流石にワシでも壊れずの加護は付与できんで?」



 壊れずの加護、『Dungeon Searcher』に於ける不壊属性のアイテムというのは、アステラの世界では"時間の流れから外れた物品"という扱いになるらしい。

 

 壊れないという事は即ち変化しないと同義であり、それが確実になされているのは、対象には時間による影響が及んでいない。つまり"永遠に時間が止まっている"、若しく"は時間が流れていない物品"という事で、如何なる影響にも左右されない=壊れずの加護という解釈になるのだそうだ。

 

 そういう(ことわり)が前提にある為、不壊の属性とはこの世界に於ける禁則事項の一つ"時間遡行"に抵触する事から、アイテムとしては存在していてもそれらは全て神の手によるアーティファクトとして取り扱われている。その為属性エンチャントのエキスパートらしい鍛冶師の親方であっても、不壊属性は付与できないのだそうだ。

 

 て言うか「ポン(とう)」って確か「日本刀」って単語をもじって「ポン(とう)」って別称になったと思うんだけど、こっちの世界には日本って国はないって事だし、その辺りは異邦人関係か、もしかしたらダンマス(迷宮主)辺りが広めた呼び名なのかなって思ったりして。

 

 


「うーん、それは分かったんですけど、できるだけ頑丈優先で作って貰う事ってできません? あと重量とか形はなるべく同じで」


「ジン様、その辺りは別に気にしなくても宜しいのでは?」


「え? いやいやいや、何と言うか、俺無駄に力だけはあるからさ、武器は頑丈に作っとかなきゃポキポキ折れちゃうじゃない?」


「え、ジン様は武器にエンチャントを付与して頑強さを上昇させる事ができるのでは?」


「ん? いやそんなスキルなんか使えないけど?」


「え、しかしこの前「打撃属性ならダメージが通るのでは?」と言って、インベントリから取り出した棒切れで遭魔(そうま)に殴り掛かってましたよね」


「え、あ、うん。そんな事もあったかも知れない……」


「で、結局ダメージ自体は通ってなかったようですが、殴った棒切れ自体は傷一つ付いてなかったですよね? なのであの棒切れには頑強のスキルを付与していたから壊れなかったのだと思っておりましたが」



 ……。

 

 

 そんな指摘をされたので、ついインベントリからエクスカリバー(棒切れ)を取り出して装備し、ブンブンと振ってみる。うん、物凄く手に馴染むぞ。

 

 で、いきなり朱音(あかね)さんがビシッと指を差しましたが…… その方向を見れば、なにやら2m程の大岩が転がっているじゃありませんか。えっと? ふむふむ、成程。アレを殴ってみろと? ナンデ? え、あ、ハイ分かりました…… 殴ればいいんですね? 

 

 

 気合を入れ大上段に構え、エクスカリバー(棒切れ)を振り下ろす。ゴッ──── という空気が裂ける音と共に真っ二つに割れる岩。 フッ…… またつまらぬ物を斬ってしまった。

 

 ってナニ? エクスカリバー(棒切れ)を貸してくれ? 仕方ないなァもぉ、はい大事に使ってね ─────ってなにそれどう見ても使うってより雑巾絞ってるみたいに捻じってると言うかメシメシと音が聞こえるんですが、あーッ!!困ります!!お客様!!あーッ!!お客様!!お客様!!お客様困り!!あーッお客様!!

 

 

「……あっけなく、折れてしまいましたね」


「何で折ったァァァァァッ!? 俺のエクスカリバー(棒切れ)がぁぁぁぁぁぁ!!」


「大層な名前が付いてますが、これってただの棒切れなのでは?」


「棒切れじゃなくてエクスカリバー(棒切れ)だっつってんだるォッ!」


「ジン様が振るうと遭魔(そうま)を殴っても大岩を割ってもビクともしないのに、何故私だと捻っただけで折れてしまったのでしょうか」


「……ん? なんでって、それは朱音(あかね)さんがバカちかr…… ゲフゲフ、ん、アレ? 確かに、ナンデ折れた?」



 いや、さっきも言ったけど、俺そういうエンチャント系のスキル使えないんですけど。取り敢えずインベントリと装備スロットを可視化して、色々確認してみる。

 

 

 装備スロットは頭、手、胴、足の防具属性スロットが四つ。武器属性スロットが二つ。他にはアクセサリー用スロットがノーマルで二つ。ただイベントで入手できる限定アイテムでもう二つスロットが解放される。で、GMの俺は最初からアクセサリー用スロットは四つ解放されている。

 

 

 でと、其々には現在何も装備されてないけど…… 先ずGMジン用プレートメイル∞一式を装備してみる。うん、装備欄全てが埋まったと同時に、其々のパーツ横の特記欄に※不壊属性って出るな。

 

 そして武器欄にGMジン用大太刀∞をセットすると、同じく特記欄に※不壊属性と出ます。

 

 更に全ての装備を外して…… え、朱音(あかね)さんコレなぁに? 薪? 何で薪? 足元に転がってた? んでコレを ……え、装備してみろ? うん、まぁ、えっと、確かアイテムを手にした時それを武器ってイメージして持つと、装備属性のアイテムはスロットに自動セットされるんだっけ? でも薪って明らかに武器じゃないよね? 寧ろ薪なんかセットできn…… されたわ。なんでよ!? なんで薪が武器!? オマケに特記欄に※耐久値向上って出てるぅ!?

 

 

 ……そしてまた朱音(あかね)さんがビシッと指差す方向を見てみると、さっきとは違う大岩がゴロンと転がっていますね。あ、ハイ、分かりました、また殴ればいいんですね? 了解です。

 

 そしてミーは無言でそれを薪でぶっ叩くと岩はパッカーンと真っ二つに割れた訳だが、薪は耐久値が向上されてるみたいなので当然の如く無傷ですね。

 

 しかし朱音(あかね)さんにそれ()を手渡すと、徐に切り株にセットし、手刀を振り下ろしてカッポーンと真っ二つに割ってしまったんですが?

 

 コレはアレですかね、ミーの装備スロットにINしたアイテムってやたらと頑丈になるって事なんでしょうか。

 

 ゲームではそんな仕様になってなかったと思うんですが……

 

 

「やはり、作って貰う武具は耐久度を気にしなくても良さそうですね」


「……うん、そうね、そんなカンジで……」


「ほんで? 結局どうすんねや」


「そうですね、頑丈さは無視していいので見本と同じ形状と重さの物を拵えて下さい、それでいいですねジン様」


「そうね、そんな風味で……」


「よっしゃ、ほたら…… そやのぉ、明後日までに用意しといたるさけ、それでええか?」


「はい、宜しくお願いしますね親方」


「ヨロシクオネガイシマス……」



 こうしてミーの普段使い用大太刀を作って貰える事になった訳だ、が、この時装備スロットに今まで気付かなかった謎機能が付与されている事が明らかになってしまった。

 

 この辺りは早急に確認しておかないとマズいと思う。寧ろ今から俺が今確認できる俺自身の能力や使える機能を全て、事細かに、漏れなく調べる事にした。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇




「装備スロット関係にINしたブツは、スロットに入ってる限りは耐久値がものっそ増大する…… と。あと俺の手の平で触れてる対象は一緒に転移できると。この二つが『Dungeon Searcher』になかった仕様だな」


「随分とぶっ壊れた能力ですね。これが公になると周辺国家からの勧誘合戦が確実に勃発してしまいますね」



 周辺国家云々はあんまイメージ湧かないんだけど、同時転移どころか転移というスキル自体、かなりのチート能力という事は理解できる。

 

 これに俺自身の不死属性と、ダンジョン管理ツールがセットと考えれば、成程…… 牡丹(ぼたん)さんが俺にダンジョンの管理を委託しようとしたのも納得できるわ。寧ろ神達が俺をこういう風に(・・・・・・)調整した形で(・・・・・・)転生させたのは、間違いなくこっちの世界でもGM的な生き方をして欲しいって期待を込めての事だった訳だ。

 

 転生時の説明では何をするのも自由とは言ってたけど、うん、その説明は状況的に無理があるだろ。こんなの俺自身が自由を求めても周りが自由にさせてくれんわ。

 

 まぁ別に俺は自由を愛するフリーマンって訳でもないんだけども、せめてこういうチートと言うか、ゲームとは違う形の仕様変更した部分は事前に説明が必要だと思うんだよな。

 

 

「それで、ジン様自身の能力の確認はこれで完了になるのでしょうか」


「そうね、今んとここれ以上確認する事はないなぁ」


「そうですか。その他にお急ぎのご用はありませんか?」


「今のとこはないけど、なに? 他に何かしないといけないお仕事とかあったりする?」


「しないといけないと申しますか、(彌榮)よりジン様の拠点用地の選定と、"森の民"の小頭(こがしら)達との顔合わせ

をお願いしますと仰せつかっていますね」


「えちょっ!? 顔合わせとかあるならそっち優先しないとメーでしょ!? のんびりこんな事(能力の確認)してないでさ!」


「いえ、小頭(こがしら)達は呼べはすぐ集まりますし、拠点は急いで決めれる類の物ではないですから。それにジン様ご自身が己の能力を把握するというのは、迷宮の管理をするにしても、遭魔(そうま)と戦うにしても必要不可欠のものだと判断致しましたので、そちらを優先させて頂きました」


朱音(あかね)さんがそれでOKって判断したんならそれでいいけど、できたらそういうのは先に教えておいて欲しいです」


「畏まりました、これからは事前の打ち合わせを密にするように致しますね」



 何と言うか、遭魔(そうま)と戦ってた時はポワンポワンな性格に見えたんだけど、時間が経過していくごとに口調も行動も変化が顕著になってきたと言うか、多分こっちのが素なんだろうな。って事は、あの時使ってた薬ってのは物凄く強力な物だったんじゃ……

 

 

「簡単にご説明致しますと、拠点候補になる階層は150階以下247階迄の内、201階から210階層以外の何れかになりますね」


「ごめん、口頭だと全部覚えきれないので、後でもう一度教えて。メモするから」


「はい、畏まりました」


「……うん? 150階から浅い階層は…… 候補じゃないんだね」


「150階までの階層は殆どの部分が迷宮型になっていますので、拠点を置くには適していないんですよね。あと1階から80階層辺りはフィールド型なんですが、その辺りはシーカー(探索者)達と魔物が大規模戦闘を繰り広げてますし」



 確か高位Rankのシーカー(探索者)は"沼"で魔物と集団戦闘と言うか、戦争をしてるんだっけか。もうそれってダンジョン探索って言わんよな。完全に『Dungeon Searcher』とは別ゲーじゃねーか。

 

 

「って事は、シーカー(探索者)が"沼"で本格的なダンジョン探索をしようとしたら、最低でも80階から下に潜らないといけない訳だ」


「この"沼"の100階層以下には、管理用の"裏側"にしかテレポーターは設置されていませんので、シーカーが100層以下に潜る際は帰還用アイテムが必須になります」


「えっと? 牡丹(ぼたん)さんが意図してそんな形に作ったの?」


「いえ、ダンジョンの創造と設置は管理の神々がされたのですが…… 遭魔(そうま)が迷宮の外に出してしまうと人の文明等はひとたまりもありませんから、念の為に入口まで飛べるテレポーターは100階層以下には設置しなかったそうです」


「へぇ、成程ねぇ。それより帰還用アイテムとか初耳なんだけど、それってダンジョン内ならどこでも使えるの?」


「基本的にはテレポーターと同じく使用すればそのダンジョンの入り口まで移動できますね。ただその類のアイテムは使い捨ての物しか存在しませんし、かなり希少なので入手も困難ですから、必然的に価格も高価になります」


「使い捨てのお高いアイテムて、幾らくらいするのカシラ?」


「まず店頭では販売される事はありません。大抵は王都などで開催されるオークションで入手する事になりますので、定価で幾らという値付けもできません」


「オークションって…… もうその時点で希少とかお高いってレベルじゃ収まらない気が……」


「基本的に国か大手クランが独占してる状況と言えば、お察し頂けるかと」


「そりゃ値付けできんわな…… て言うか、前に転移に関する諸々って禁則事項ってヤツになるって牡丹(ぼたん)さんから聞いたんだけど、テレポーターとか使い捨てのアイテムとか、そういうのは禁則事項になんないのかね?」


「先ず数が少ない事と、転移先がダンジョンの入り口固定という制限が掛かっているので例外扱いになるそうですね。また技術的にはアイテムやテレポーターを解析しても知識を得られないよう、思考の制限がされてるとか」


「思考の制限って、そういう事に考えが至れないって事? うわぁ、そりゃまた中々強引な処理してるねぇ」


牡丹(ぼたん)様曰く、この世界の神は全知でもなければ全能でもない、ゆえに超常が絡む物は例外なく歪なのだと仰ってましたが……」


「全知でも全能でもない神かぁ、まぁ神様が何人…… 何柱? も存在してるのって、各々が持つ能力で其々の足らない部分をカバーし合ってる感じなんだろうし、その上でカバーし切れない部分は強引にならざるを得ないって事なのかねぇ」



 この時朱音(あかね)さんから聞いた"全知でも全能でもない神"という言葉が、随分後にだが、このアステラという世界の根幹を表す言葉だったんだと俺は知る事になる。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇




「森の民徒士(かち)衆筆頭、弥雲(やくも)でござる。以後お見知りおきの程をお願い致す」


「同じく森の民鉄砲衆筆頭、雅楽(うた)と申します。どうぞよしなに」



 あれから朱音(あかね)さんに森の民の小頭の内、取り急ぎ俺に直接関係してくるらしい二人を紹介して貰う事になった。

 

 一人は鉄砲衆という、主に飛び道具を扱う一団を取り纏めているという、火縄銃を背負い、濃緑のホットパンツにポンチョスタイルの…… 何系統の獣人だろうか? ケモミミシッポのお姉さんと、もう一人は近接戦闘を受け持つ徒士(かち)衆の筆頭だという刀を腰に差した武士言葉のエルフさん。

 

 てかエルフで武士とかどういう組み合わせなんだ? 金髪を後ろで束ね、藍染の着流し着用のエルフ…… 判り易く説明すると、まんま時代劇に出てくる素浪人って恰好だと言えば分かるだろうか。うん、物凄く違和感があるんですが、見た目も名前も。

 

 

「当家は元々瑞穂国より逐電(ちくでん)してきた者達が興した家でござる。そして拙者は先代の妾腹(めかけばら)ゆえ、母方のエルフの血が半分混ざっておる次第で。見た目はそっちが色濃く出ておりますが、人とエルフの混血にござるよ」



 つまり、弥雲(やくも)さんって侍もとい人間とエルフのハーフという事なんですね。ナニソレ説明されても違和感ハンパないんですけど。

 

 そして雅楽(うた)さんは黒髪で背格好は朱音(あかね)さんと同じくらいのスレンダー美人さん。種族は森豹族という種族らしく、本人はスナイパー的な戦い方が得意という事だ。

 

 

「私の得物は火縄なんですけどね、他には大筒とかてつはう(・・・・)使いなんて変わり者が多いんで、右向け右みたいな真っ当な戦いはやや不得手になりますねぇ」


「私が差配する物見衆は偵察や潜入調査、破壊工作などと裏方専門ですから、基本人前に姿を見せません。徒士(かち)衆は剛羅(ごうら)様の補助として前衛を張る事が多いので荒くれ者と言うか、ジン様が言う脳筋という輩が多い感じでしょうか。そして最後に鉄砲衆ですが、彼らは独自の判断で動く…… まぁ、遊撃という形で戦場をコントロールするのを主な仕事にしていますね」


「そういった訳で、ジン様が遭魔(そうま)と戦う時直接連携を取るのはウチらと弥雲(やくも)のダンナんとこの衆だって事で、今回朱音(あかね)の姐さんに呼ばれたんですよ」



 そう言えば遭魔(そうま)戦の時、脳筋(剛羅)の周りに甲冑を纏った一団がいたっけ。でも火縄銃みたいな飛び道具を使ってたヤツなんか居なかったような気がするんだけど。

 

 

「鉄砲衆は討伐戦の時、250階まで遭魔(そうま)の体力を削る者達が集中できるよう、殺し間(250階)までの道中、雑魚掃除や露払いをやってます。この前は"殺し間"に邪魔が入らないよう上下階の入り口を封鎖して、近付く魔物を掃討してましたのでジン様と直接お会いするのはこれが初めてになるのではないかと」


「成程、どうりでそんな目立つ得物背負ってんのに見た覚えがなかった訳だ。て言うかあの辺りでも魔物って湧くんだな、遭魔(そうま)に集中してたからその辺り全然気が回ってなかったわ」


「そりゃぁダンジョンですから。ま、遭魔(そうま)に比べりゃどうって事ない雑魚ですけどね? んでも遭魔(そうま)とドンパチしてる最中にそんなのが邪魔しに来ちゃ面倒でしょ?」


雅楽(うた)殿は謙遜しておいでだが、あの辺りに湧く魔物は上位シーカー(探索者)連中でも手に余る強敵揃いでござる。遭魔(そうま)と戦ってる時、あれらに介入されてしまうと討伐自体がままならぬ事になり申すゆえ、魔物の駆逐は遭魔(そうま)を討伐する上でしなくてはならない手順の一つになり申すな」



 成程、あの時はバシーンペシーンされてて周り見る余裕が無かったけど、色んな人達が討伐に関わってたんだなって今更ながら実感しました。

 

 

「取り敢えず今紹介できるのはこの二人だけでしょうか。あとは…… 他の衆とも顔合わせはした方がいいとは思いますが、何と言うか彼らは人間や、それ以上に異邦人に対していい印象を抱いてないので、また折を見てという事で」


「だねぇ。ウチらはほら、遭魔(そうま)戦の時ジン様が体張ってたのを直接見てるからそういう印象は持ってないんだけどさ」


「左様。もし我らもあの時ご一緒しておらなんだら、今頃は間違いなくジン殿の事を敬遠しておったでござろうな」



 異邦人ってダンジョン関係者から嫌われ過ぎィ! まぁ教国のやってきた事とか、ダンジョンアタックそっちのけで色々とやらかしてるらしい元『Dungeon Searcher』プレイヤー達の事を聞けば、嗚呼成程と思ったりはするけどさ。

 

 そういえば俺自分の事で手一杯だったから、冒険者ギルドで活動してる異邦人系シーカー(探索者)がどういう活動してるかとか、どう評価されてるとかちゃんと確認してなかったわ。

 

 って言う事で朱音(あかね)さんにその辺りの事を確認した訳だが、真顔で『え、評価? 何をどう評価するのです? あんなの』って言われ、その横で弥雲(やくも)さんと雅楽(うた)さんもウンウンと頷くという絵面を前に、嗚呼そうなんだぁって色んな意味で察する事しかできませんでしたよ。

 

 はい。




そんな訳でご拝読、評価、ブクマ有難うございます。拙作は更新が週二程のペースになると思います。


また拙作に対するご評価を頂けたら嬉しいです。


どうか宜しくお願い致します。

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