タイトル未定の現代ダンジョンもの
(-10years) 世界が変わりはじめる真夜中に
それが夢だということは、不思議と理解できていた。
〝こんばんは〟
殺風景というのもの、何かが違う。どこに目を向けても、何もかもが真っ白な空間にぽつんと一つだけ浮いている光の卵が、私に囁く。
「こんばんは」
固定された照明のよう、一所からぴくりとも動かない光の卵。
直接見つめても目が眩むほどではない輝きが、ゆったりと瞬くかのよう、辺りがすっかりと暗くなってはしまわない程度に明滅する。
〝さっそくですが、私に名付けていただけますか?〟
突然の申し出を不審に思う暇もなく。それの名は、名付けを求められた次の瞬間、私の口からぽろりと零れ落ちていた。
「ラスティール」
――それが、私とラスティールの出会い。
誰も知らない、けれど確かに世界が変わった夜の一幕。
◇ ◇ ◇
『地球の皆様、ごきげんよう』
宇宙の彼方から流星の如く飛来して、地球に下り立ったドラゴン。
世界中のありとあらゆるネットワークを一斉にジャックした「代行者」を名乗る超常の存在は、協定世界時2020年10月31日正午をもって、地球を含む太陽圏が銀河連盟に属する高位次元知性体へと相続され、それに伴い地球に対して大規模な環境調整が実施されることを、地球全土の誰しもが等しく理解可能な言語で発信した――。




