者退けの唄
誰も来ない なにも来ない
人の子も 鴉も 猫も
ひとり見上げた 欠けた月
風に吹かれて 闇の中
雲が避け 日が顔を出し
日を避けて 瞼を閉じる
誰も来ない 洞の中で
月が照らさぬ 夜を待つ
どれほど時間が経ったでしょう
月の照らさぬ 黒い空
ひとり見上げて 物思い
今日も変わらず 唄歌い
人が来た なにも知らずに
私の隣で 鼻歌を
なにしに来たのと 問いかけて
首を傾げて 目を合わす
人の子が 消えていった
私を恐れて 消えてった
変わらぬ場所で ただひとつ
心が下に 落ちてった
もいちど君が やって来た
そろそろ歩いて やって来た
なにしに来たのと 問いかけて
なぜだかあなたが 抱きしめた
月の出ない 暗い夜に
隣にあなたが なぜかいる
落とした心が やってきて
そのまま月まで 昇ってく
誰もいない 私の隣
隣に誰も いない君
ただひとりきり 君だけが
私の隣に座ってる
どれほど私が幸せか
あなたの隣で ぽつぽつと
厚い雲見て ひたすらに
闇に一筋 月光と
私の唄う この唄に
あなたが名前を付けました
孤独な私に ぴったりな
者退けの唄と 付けました
日が沈み 曇天の下
あなたが隣で 鼻唄を
私は隣で この唄を
ふたりで仲良く 者退けの唄
近いうちに、これを元にしてなにか書くかもしれません。
読んでいただき、ありがとうございました。