夜の夢
夜に追いかけられる夢を見たんだ。
夜は僕をずっと追いかけてきた。
僕はずっと眠っていたかったはずなのに。
どうしてか全速力で逃げようとしたんだ。
足が重たくて、体は全然動かなくて。
逃げようとしても前には全然進めなくて。
だけど夜は不思議と僕には追いつけず、ちゃんと朝がやってきたんだ。
起きたくはないんだけどね。
ずっとこのまま寝ていたいんだけど。
学校なんて行きたくないんだけど。
どうして夜は僕に追いつけなかったんだい。
もっと全力で追いかけてくれよ。
そりゃ逃げる僕も悪いけどさ、もっと本気を出してくれよ。
そうすれば追いつけただろ。
(ちがうよ。)
(追いついたのは夜じゃないよ。)
(君が逃げたから朝が来たんだ。)
(朝が君に追いついたんだよ。)
学校、行きたくないなぁ。
ずっと寝ていたいよ。
どうして朝なんて来るんだい。
あの夢のおかげで僕はいっそう起きる気がしなくなったよ。
夜の役立たずめ。
(僕は君を追いかけたりしないさ。)
(ずっと君と歩いていたよ。)
(君の手を引きながらね。)
(振り払ったのは君だろう。)
あぁ学校なんてめんどくさいなぁ。
さっさと次の夜が来ないだろうか。
そしたらもっともっと寝てやるんだ。
寝ている時間が一番幸せだ。
(待っているよ。)
(また君はきっと僕の手を振り払うんだろうけど。)
(それまで一緒に歩いてあげるよ。)