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38.2周目!レベル2ダンジョン!!(前編)

 私とフタバが気付いたのは、ほとんど同時だった。

 はじめは視界がぼんやりしてたけど、私のすぐ隣にフタバが倒れていて、上からゆーくんとフィオナちゃんが心配そうにのぞき込んでいる。

状況がうまくつかめない。

 なんで私が異世界から帰ってこれたのかもわからないし、何で倒れていたのかもわからない。


「・・・えーと・・・」

 私は上半身だけ起き上がってあたりをキョロキョロと見回す。

 あ、そうか、ここはさっき挑戦した訓練用ダンジョンの一番奥だ。

それにしてもなんでだろ、なんか頭痛いなあ。

あと、ちょっと頭の中がぼやけてる感じ。


「気がついたみたいだね。よかった。2人そろってとびらに頭ぶつけてたおれちゃったからビックリしたよ」

 そう言われて『あの扉』の方を見ると、・・・あれ!?開いてない!!

 ゆーくんによると、私もフタバも『扉が開いたと勘違い』して入って行こうとしたらそのまま頭をぶつけて倒れちゃったって事らしい。

 じゃあ、『アレ』は夢だったってこと?

 そんなはずは・・・。

 ハッキリ言って、とてもそうは思えないんだけど。


 でも、私のおでこの所にはたしかに間違いなくおっきなたんこぶがあって、ものすごく痛い。

 横を見ると、フタバも全く同じ状況だった。

ゆーくんは

「大丈夫??」

 っておっきなたんこぶをそっと撫でてくれるんだけど、それだけでも痛いよ。

 触れるだけでもジンジン痛む。

 けど、ここで泣いたらもっとカッコ悪いからガマンガマン。う~・・・。


 その後、係の人が来てくれて、私たちはいったん地上に戻った。

 一応4人パーティの申請だったから、全員クリアって事にはなる。

 それにゆーくんは既にお兄ちゃんのジャッキーと一緒にもクリアしてるんだけど、やっぱり自力でクリアしたいのか、

「僕たちも見てるだけじゃつまんないからもう一周行ってきてもいい?」

 って言い出した。


 実は、ゆーくんにもう一つの思惑があるってことは私には分かっていた。

 つまり、フタバとフィオナちゃんはちゃんとクリアしたから・・・って言うタテマエで、私と2人で行こうとしてるってわけだ。

 前に2人で行った時、『2人だけで行くのは最後』って言ったらすごく残念そうな顔してたもん。

 言ったらかわいそうなんだけど、むしろ泣きそうなぐらいだった。


 ホントはね、あんまり期待させたら悪いんだって、思うんだ。

 私はゆーくんに、以前告白されている。

 ゆーくんはまだ1年生だけど、その気持ちが本気だってのも分かった。

 そして私は、『ラルフお兄ちゃんが好きだから』って言って断ったのだ。

 でも、今回はお世話になっちゃったし、ゆーくんの思惑に乗っかってあげる事にしよう。

 余計なところには気がつかないふりをして、あくまでもさりげなく・・・ね。

 ただパーティのメンバーとしていっしょにダンジョンに挑戦するだけだ。

 私はラルフお兄ちゃん一筋だもん!裏切ったわけじゃないからね!!


「じゃあ、フタバとフィオナちゃんはお留守番、よろしくね」

 私としては、サラッと言ったつもりだった。

 けど、フタバはなんか深刻な顔をして考え込んでいるみたいだった。

 どうしたんだろう・・・。


「・・・ねえ、フタバ??」

 そう言ってフタバの目の前に広げた手をかざして動かすと、やっと気がついてくれた。

「あ、ごめんね。いってらっしゃい」

 なんか様子がおかしいなあ・・・。

「フタバ、大丈夫??」


 ゆーくんの話によると、フタバもかなり強く扉に頭をぶつけたらしいから、そのせいかな?って一瞬思った。

 正直言って、おっきいタンコブは相当痛い。

 だけど、それにしても様子がおかしいような・・・。

「ねえミルフィ、『天翔ける翼』って、なんだと思う?」

 そう言われて。

 なんでだろう、わからないんだけど、それはすごく大切なことのような気がした。

 でも・・・。


「ごめん、私も分かんないや・・・」

 私は素直に答えた。

 そして、

「でも・・・」

 と、付け加える。

 今はわかんなくても、いつか必ず分かる日が来るような気がする。


「もしなんか気付いたらちゃんと話すよ!」

 すぐじゃないかもしれないけど、答えはフタバと一緒に探して行こう。

 それはきっと、とっても大事なことだから。


「じゃ、行ってくるね!」

 ゆーくんもフタバとフィオナちゃんにそう伝えて、それからもう一度ダンジョンへ。

 行くのはさっきと同じ、レベル2にした。

 

 まあ、この前みたいにレベル4に挑戦するのはきっとまだ無謀だろう。

 あの時は最初の部屋でやられちゃったわけだし、パターンが同じだとすれば2番目の部屋であれが4体、最後の部屋ではもっと強いボスが出てくる。

 4年生のうちに4人パーティでクリアできれば優秀な方!って言うレベルだから、そう簡単なはずはないんだけどね。

 レベル3っていうのもちょっと考えてはみたんだけど、ゆーくんが『自力でクリア』したところをフィオナちゃんと合わせておきたかったってこともあったみたい。

私としてはあんまり気にしなくてもいいと思うんだけど、まあ順番にクリアしていくのは順当な所なのかも。


 だけど、いざ始まってみるとゆーくんの動きは前の時より格段に良くなっていた。

 最初の部屋の1匹は、全然問題にもならなかったぐらいだからね。

 これはかなり頑張って訓練してるっぽいなあ。

 ジャッキーの弟だから、もちろん才能のほうも相当あるんだろう。

 もし4年生になるころにジャッキーぐらい強くなるんだとしたら、私なんかあっという間に抜かされちゃう。

 そうならないように私も頑張らないと!


 だけど、私は・・・正直言って、この時あんまり集中できてなかったのだ。

 ていうか、ずっとフタバに言われた『天翔ける翼』のことを気にしていた。

 アイテムなのか、魔法なのか、それすらも分からないのに。

 でも、文字通り読んだらアイテムだとしても魔法だとしても、空を飛ぶのだってことだよね?


 空を飛ぶアイテムは話に聞くことはあっても見たことはないし、本当の意味で空を飛ぶ魔法は、まだ私は使えない。

 昔ママたちが作った飛空艇?

 でも、それもなんか違う気がするし・・・。


「ミルフィどうしたの?次の部屋、あけるよ?」

ゆーくんにはちょっと謝らないとならないかも。

 うん、ボーっとしてたらダメだもんね。

 私は自分のほっぺたをパンパンっと叩いて気合を入れ直した。

「うん。いいよゆーくん!」


 パターンが決まってるから、次の部屋は4匹で、それぞれの強さは最初の部屋と同じだ。

 さっきの調子ならゆーくんに2匹任せても問題なさそうだから、私も2匹相手すれば大丈夫かな。

 じゃあ、集中して・・・


 でも、やっぱり私の頭の中には『天翔ける翼』のことが残ってたらしい。

 無意識ではあったんだけどね。

 私は空を飛ぶ魔法自体は使えないんだけど、追い風で跳躍力をサポートして跳ぶことはできるから、相手を飛び越えて一気に広い側に良ければ逃げ場もできるしだいぶ有利になる、と思ったのだ。

 冷静に考えればここのゴブリン程度なら、水魔法の『ウォーターフレイル』や『ウォーターカッター』などの水魔法で一匹ずつやっつけてっても十分だったんだけど・・・。


 ここでの『追い風』の魔法は力の加減がすごく難しかった。

 普通の場所では軽くやれば十分の飛距離が出るんだけど、風の力が弱い地下では弱めだと全く魔法が発動しなかったりする。

 だから普段よりは強く魔法を使わなきゃならないわけだ。

 私としては、本当はただ敵とポジションを相手と入れ替える、ぐらいのイメージだったんだけど、ゴブリンが攻撃してきた事もあって、相手の攻撃を受ける前に、って思ってあわてちゃったせいで、ちょっと強く発動しすぎたのだった。


次回の更新は1月29日(日)の予定です。

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