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35.挑戦!レベル2ダンジョン!!③

 魔法使いのゴブリンは私が心配した通り、発動しかけの呪文をやめて杖で思い切りフィオナちゃんを殴りに来た。

 いくら相手が魔法使いだとは言ってもフィオナちゃんが殴られるのはまずい。

 しかも不意の事だったから、私が割って入ろうとしても間に合いそうにない。

 フタバもそれに気づいたみたいで、大ボスと1回剣を合わせ、中ボスの攻撃を盾で受け流した後、勢いを利用して距離を取り、一気に引き返して魔法使いゴブリンを殴りつけた。


 フタバの攻撃で、こいつは一発でうまく仕留めてフィオナちゃんは無事だった。

 それは良かったんだけど、これだと完全にフタバの背後は無防備だ。

 大ボスの攻撃はフタバの肩口から斜めに打ち付け、うつ伏せに倒れた背中にさらに中ボスのこん棒による攻撃が追い打ちをかけた。


 最初の大ボスの攻撃の方は直前で多少の勢いを逸らす回避行動は取れていたけど、後からの中ボスの攻撃はそういうのも全くなしで直撃だ。

 フタバは思わずむせて苦しそうで、『ケホケホッ』と何度かせきこむ。

だけど、敵は容赦してくれない。

 トドメとばかりに振り下ろしてくるボスの攻撃を、フタバは苦しみながらもなんとか横に転がってかわす。

 サポートのつもりが、完全に私が足を引っ張っちゃった形だ。


「いたたた・・・ちょっとマズイのもらっちゃったかも・・・」

 そう言いながらもなんとか立ち上がるフタバ。

 腕輪の効果で怪我自体は心配いらないはずなんだけど、かなり痛そうだ。

 あ、そうそう、確認したけど腕輪の方の判定も、まだ負け判定にはなってないから何とか耐えてるってことなんだけど、次にちょっとでもくらったらかなり危なそう。

 もしかしたらあと一発で負け判定になるかもしれない。


「どうするフタバ?手伝う??」

 私は、もうこれ以上は無理、って思ったんだけどフタバは首を横に振った。

「最後までやらせて。フィオナちゃんのガードだけお願い!」

 一番恐れていたのは、ダメージを受けたことで恐怖症が蘇っちゃうことだったんだけど、フタバがこの反応なら大丈夫かな。


 私はゆーくんの方をチラッと見たけどゆーくんも私と同じ判断だったらしく、何も言わずに見守ってくれている。

 だったら私たちは応援してるしかない。

 フタバがんばって!もう一息だよ!!


もう一撃くらうだけでも負け判定になりかねない状況だから、フタバは慎重だった。

 けど、はじめみたいに怯え切っているわけじゃないと思う。

 ううん、見たところまだちょっと恐々な感じはあるんだけど、でもちゃんと距離を測ったり、敵を牽制とかもしてる。


 それにフタバは、自分の動きが万全じゃないことをちゃんと理解して、それでも負けないように冷静に判断して立ち回ってる。

 2体を一度に相手にして拮抗してる感じだから、あとちょっときっかけさえ掴めればすぐにでも勝てるはず。

 

 だけど、ボスは突如、2、3歩下がって『キシャーッ!』と歯を剥いて大声で威嚇を始めた。

 フタバが怖がってるのを察知しての作戦だった。

 そしてそれに合わせ、中ボスがこん棒で殴りかかってくる。


 それにしても、フタバは大変だ。

 怖がらせられたり、何とか立ち直ったり、そしてまた・・・大ボスの威嚇に、すくみ上がらされている。

 心の上下が激しすぎて、こわれてしまわないかホントに心配。

 フタバの動きはまた、鈍くなっていて、こんどこそ、後でフタバに責められることになったとしても手出しをしちゃおうと思ったぐらい。


 けど、私よりも先にフィオナちゃんの『ウォーターボール』の魔法が中ボスを直撃して、上手く攻撃を止めることに成功した。

「さいしょから、わたしはたたかうことになってたよね?」

 フィオナちゃんナイスタイミング!

 怯んだ中ボスを、フタバが勢いよく殴りつけて、こいつも一発で倒した。

 さすが!やっぱりちゃんとやれれば全然問題ない。


 残るは大ボス1匹だけだ。

 大ボスは、さらに威嚇を続けるつもりのようだった。

 フタバは木刀を構え、ちゃんと基本の型は取ってるんだけど、切っ先が震えてるのがわかる。

 けど、大ボスの方も攻撃して勝てると判断してれば仕掛けてくるはず。

 本当は、弱い犬の遠吠えのようなものなのだ。

 だけど、相手が敵ではなくて恐怖そのものであるだけに、長引くと長引くだけフタバが不利になる。

 早く決着をつけないと・・・。


 大ボスが、再び吼えた。

 フタバは半泣きになりながら、それでも突っ込む。

 そして吠えが大ボスが武器を持つ暇を与えずに斜めに一発。

 それだけではトドメにならずに、大ボスはさらに大声で吼えたけど、今度は威嚇の意味だけじゃなく、怒り、あるいは痛みを感じた(そういう設定?)だったのかもしれない。


 フタバはさらにもう一発、力の限り木刀を振るった。

 そしてそれは、結果的にトドメの一撃になったから良かったんだけど、その最後の一撃が当たった瞬間、フタバは手が震えて木刀を落としてしまったぐらいだった。

 でも、ホントにギリギリではあったけど、なんとかフタバは勝つことが出来たのだ。

 敵だけじゃなくて恐怖にも、ね。


「ふえ~怖かったよぉ・・・」

 戦ってる最中から半泣きだったけど、フタバはその半泣きのまんまヘナヘナと足から崩れ、ペッタリとしゃがみ込んだ。

 フタバとしたら恐怖症を攻略したって言うよりも、怖いんだけど意地で何とかしたって感じだろう。

 そのフタバにまずフィオナちゃんが駆け寄って、握手。

 そっか、フタバだけじゃなくってフィオナちゃんも『ゆーくん以外の子とパーティが組めない』ってのを克服してるんだよね。

2人ともおめでとう!


それからすぐに、私とゆーくんもフタバのそばにかけ寄った。

「フタバ心配したよぉ・・・手を出したくってウズウズしてた!」

 私がそう言ったら、フタバは半泣きのままちょっと苦笑い。

「はは・・・そうだね。あたしも半分あきらめかけてたよ」

 自分一人で1回クリアしてるフタバだから、こんなに苦戦するとも思ってなかっただろうしね。


「でも、クリアはクリアだよ!自信もって!!」

そう言ってるゆーくんだって、きっと自力でクリアしたいって気持ちもあったと思うんだよ。

だってゆーくんも、レベル2ダンジョンはお兄ちゃんのジャッキーがクリアするのを見てただけで、自力ではクリアしたことなかったんだもんね(私もないけどそこはまあ置いといて)

 だけどフタバの為に、手出しをしないで見守ってくれた。

 しかもこんな笑顔でそれを祝福できるって、ホントすごいなあ。

 私も見習わないと。

 

「けど、ゴブリン恐怖症は、早く治しておかないと大変だね。だって、最近街に出てるって言ってたし・・・」

 あ、ゆーくんそれは言いっこなし・・・だって、そもそもフタバの恐怖症の原因はそこにあるんだから。

「ゆーくん、ここでその話はちょっと・・・」

 どうやって話を逸らそうかと思ったけど、いい方法が思いつかなくて私はストレートにそう言った。


 まあ集団下校の時に先生が全員に説明してる内容だから、みんな知ってはいるんだけど。

 ゆーくんもなんか雰囲気を察してくれたのか、一回自分の口を押さえて、それから

「ごめんね」

 って謝ってくれた。


「ねえ、でも・・・ママがへんだって言ってたよ!だって、ゴブリンだったらニワトリさんやブタさんをとっていくのがふつうなのに、そういうのはぬすまれないでチョコレートとかクッキーとか、あまいおかしばっかりぬすまれてるんだって。それに、町の中でゴブリンのすがたを見た人もいないって!」

 そう言ったのは、フィオナちゃん。

 え?そうなの??

 それって、なんか別の意味で、いやな予感がするんだけど。


それはともかくとして、私たちは、このギリギリでの成功をみんなで喜び合った。

 もうすぐ係員の人が来て、私たちの勝利を伝えに来てくれるはずだ。

 実質上はフタバとフィオナちゃんの2人でクリアしたから・・・ん~、後でゆーくんと私の2人で来てクリアしなおしたらいいかな?


 でもその前に・・・私の頭をよぎったことがあった。

「ねえゆーくん、係の人が来る前に、この奥に行ってみない?」

 ・・・そう。

 この奥には、『異世界につながってる』っていう、うわさの扉があるのだ。


次回の更新は1月18日(水)の予定です。

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