7話
女神として頑張っているのだが、やはり船がネックだ。まず、日本から持ってくるのには購入しないと不味いのでお金がかかる。そんな大金はない。アバターメイキングの代金としては稼いでいるが、そこまで利益が出ている訳ではない。工具や資材、食糧でお金が掛かっているからだ。宿のベッドだってこっちから持っていってるのだから。アニメとかの興行収入が入ればいいんですがね。
「金剛さん、何か稼げませんか?」
「船が欲しいんだろ?」
「そうです」
「掲示板で相談してみろよ」
「わかりました」
掲示板に船が欲しい事や、色々と書き込むと結構な返信を貰えた。かなり脱線しているけれど、面白い物があった。それは海賊だのトレジャーハントだのだ。何が言いたいかというと、海の底から回収して修理すればいいんじゃないかという事だ。俺の能力でアバターメイキングしてしまえばいい。
狙う場所も決めている。北緯30度43分 東経128度04分、長崎県の男女群島女島南方176km、鹿児島県の宇治群島宇治向島西方144km、水深345mの地点に沈没している物を狙う事にした。
北緯30度43分 東経128度04分、長崎県の男女群島女島南方176km、鹿児島県の宇治群島宇治向島西方144km、水深345mの地点に重力を操作して海面の上を移動して到着した。ここに眠っているのは第二次世界大戦の時、日本の技術の粋を結集させて作られた巨大戦艦。戦後、2009年1月になって大和の母港であった呉市海事歴史科学館・呉商工会議所・中国新聞・日本放送協会広島放送局等、広島の経済界やマスコミが中心となって寄付を募って引き揚げる計画を立ち上げ、数十億円規模の募金を基に船体の一部の引揚げを目指したが、その後話が立ち消えとなった。ならば貰ってしまおうという事だ。
「さて、先ずは重力を操作しようか」
海の中の何処にあるかは分からないので、広範囲に指定して一気に周り事引き揚げる。大量の海水が浮き上がり、太陽の光が中に入っていく。今度は海水だけを転移させて一気にその他の部分を浮かべる。狙い通り、残ったのは石や砂、錆びた鉄の塊とかだ。次に砂や石などを排除する。魚はあちらの倉庫へと転送させておく。錆びやコケを取り除く。粗方、要らない物は排除した。
「さて、メイキングを始めましょう」
データを呼び出すと、色々と足りない物は海洋資源から回収する。というか、女神としての力を使って沈んでいるはずの同型艦、武蔵を探す。見つかった大和と武蔵を合わせて一つの戦艦を作り上げる。大量の魔力を使って、ほぼ新造艦のように作り上げる。砲塔も作って、改造して電子制御で自動化にした。全長263.40m、全幅38.9mは威圧感が凄い。AIとして妖精さんを配備。動力炉には全力で重力操作を付与して、宇宙も飛ぶ……なんて事は出来ずに数メートル上がれるようにはした。重量制御を付与したからこそ、使えるのだけど。
内部見学に乗り出す。持ってきたビデオカメラも回していく。扉は全自動で開いていく。全て制御されているので、楽ちんだ。足音を響かせながら移動するとブリッジに到着した。海を見てると、急に警報が響いた。
「なに?」
海の方をよく見ると、向こうの方からイージス艦がやって来ていた。しかも第一級戦闘配備みたいな感じで。これはやばい。逃げないと。逃げないと。取り敢えず、海の中に入れるか。
「潜水開始!」
海の中へと逃げていくと……魚雷が飛んでくるのでそのまま転移で船ごと逃げた。