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4話





 さて、少し休憩した俺達は持ってきたトラックに乗り込む。移動が面倒だからもうトラックで移動する。運転は亀山さんにしてもらう。免許もちゃんと持ってるらしいので道路交通法も大丈夫だ。この世界にはないのだけどね。


「それで、目の前は森な訳ですが……」

「任せてください」


 重力を操作してトラックに掛かている重力を弱めて空中に浮遊させる。移動も重力を操作して進む反対側から重力をかけてやればいいだけだ。


「運転する必要がありませんね」

「道が見つかるまでです」

「普通は秘匿するべきなんだろうがな」

「私、神様ですから気にしなくてもいいかと。神器で解決ですよ、ええ。きっと多分。めいびー」

「やれやれ」


 まあ、第一異世界人を見つけてから考えればいい。俺は文明人だから、不便なのは許容できない。


「亀山さん、それで人はいそうですか?」

「いえ、見た限りではいなさそうですね」


 眼下に広がる森から視線を上げると、遠くの方に大きな山が見える。反対側を見ると海が広がっている。


「ねぇねぇ、嫌な予感がするのですが……」

「奇遇ですね」

「まさか無人島だったりしねえよな?」

「それにしてはかなり広いようですね」

「とりあえず、高度をあげてみれば?」

「そうだな。さっさと全体像を確認した方がいいだろう」

「じゃあ、お願いできますか?」

「任せて」


 さらに高度をあげていく。しばらく調査して判明したのはここが北海道と同じくらいの島だという事と山と森には多数のモンスターが存在しているという事だ。


「それで人が住んでいる形跡はありますか?」

「いえ、全然ないですね」

「まさかの無人島ライフ!?」


 これはいったいどうしろというのだろうか? もしかしてここを開発しろという事ですか!?


「こっちが驚愕したいわ」

「どうする?」

「こういう場合はとりあえず、拠点の確保じゃないか?」

「そうでしょうね。では、海の近くによさそうな場所がないか探しましょう。塩や魚が取れれば食料は問題ないでしょう。要るかは微妙ですが」

「まあ、戻ればいいだけだしな」

「あっ」

「どうしました?」

「人が居そうな所、あった」

「本当ですか!?」


 梓の言葉に俺達は一斉にそちらを向く。梓はスコープを覗き込んでいた。


「本当。廃墟っぽい場所がある」

「それはありがたいですね」

「ではそちらに行ってみましょうか」

「了解」


 すぐにそちらの方へと進んでいくと古びた港のような廃墟が見えてきた。その先の海には多数の難破船がある。港は街と一体化した物だったようで、内陸側には崩れ落ちた防壁も存在している。


「拠点にはよさそうですね……」


 俺がそう言ったタイミングでスマホから着信音が鳴り響いた。


「着信っておかしいですね」

「確認してみろよ」

「そうですね。確認してみます」


 亀山さん達に促されてスマホを確認すると、いつの間にかメールアプリが勝手に起動していて、一通のメールが開かれていた。


 From:***********

 to:ヘレネ

 件名:クエストアプリ

 アプリは付属されています。強制インストール致します。


 勝手にインストールされたクエストアプリが起動し、現在発令されている依頼内容が表示された。



≪チュートリアルクエスト≫

 ①拠点を確保する。

 ②人口を増やす。

 ③眷属を手に入れる。(完了)

 ④モンスターを倒す。


≪オラクルクエスト≫

 ①港を手に入れて使えるようにする。

 ②街を作る。

 ③島の支配権を手に入れる。


 チュートリアルクエストで達成済みの奴はすでに完了マークが出ている。しかし、他は圧倒的に難しい。そもそも人口を増やすってどうすればいいのか。誰かが住んでいるならいけるのだろうが、なんだか不安だ。わからないので一応聞いてみる。だが、恐ろしい返答がやってきた。


『人口を増やす方法? 産んで増やしなさい。その辺のモンスターと交われば作れます』


 絶対に嫌な方法だ。神様達の貞操観念は悪いと聞いていたが、まさかここまでとは思わなんだ。


「どうしたの?」

「なんでもないよ。とりあえず、これを見てください」


 クエスト画面を皆に見れるようにする。


「これは何をするにしても人手が居るな」

「そうですね。地球からもっと人を呼びましょうか」

「そう簡単に来てくれるかな? 生死がかかっているし、帰れないかも知れないし、同意を得ていても拉致や誘拐とかに思われるかも知れないです」

「手っ取り早い手段としては拉致ですけどね」

「それは駄目」

「だな。ふむ、そうなると掲示板の奴らに協力要請をした方がいいな。ニートなら時間はありあまってるし」

「しかし来てくれないのではないですか?」

「いっそ、ゲームみたいに出来たらいいんですけどね」


 アバターを作成して冒険するVRMMOみたいな感じで。


「デスゲームだな」

「アバターが作れれば……出来ないか。いや、そういえば神格が上がっていたし、できないか調べてみるね」


 ステータスを起動して確認してみる。今の神格が4だ。それで検索アプリがあったのでアバターを作る方法と打って確認してみる。すると神格10で手に入れられる事が判明した。


「可能みたいだけど、まだ神格がたりないですね」

「信仰を集める必要があるのですか。そうなると……方法としてはこの世界や戦闘の映像をビデオ機材などで録画してPVを作ってネットに公開して人を募集します」

「それだと人は集まりそうだが、実際の機材と信仰を得るのはどうするんだ?」

「機材自体は適当で誤魔化せばいい。ばれてもどうとでもなる」

「それもそうだね」


 何故ならいくら調べても意味がないし、こちらの用意する窓口にアクセスしてアバターへと変わるのだから他の人じゃ手出しが出来ない。


「じゃあ、信仰はどうすんだ?」

「信仰はそれこそ祈りれば祈るほど与えられる力が増えるといって、ボタンを押させたりすればいいのです」

「ゲームをつけるといい」

「ミニゲームですね」

「それはいい考えです」

「それだったら祈ってくれたらゲームの開始日が早くなるっていってカウンターでも設置すればいいんじゃねえか?」

「それはありですね」

「うん、ありです」


 掲示板の人に色々と協力して貰おう。


「でも、問題があるぞ」

「だれがプログラムを組むんだよ」

「雇いますか?」

「お金がないですね」

「もっと使う?」


 梓が通帳を出してくれる。ありがたいが、それは返しておく。


「一つ試したい事があるので、PV動画を撮影した後でもやってみます。成功すれば問題はなくなります」

「なら、まずは戦闘だな」

「ここは花のある女性にお願いしましょう」

「任せて。二人で頑張る」

「あっ、今は私も女性か」

「では、いったん戻って機材をとってきましょうか。敵は港の跡地にいますから」

「了解」


 一旦、元の世界に戻ってから機材を持ってくる。




 梓の家に戻ったのだが、問題がまだあった。


「どうせなので機材をかりてきます」

「その方がいいな」

「じゃあ、私はその間に実験してるからね」

「わかった」

「私は適当に向こうで狩りをしていていい?」

「一人じゃ危険だから駄目です。静久さんと料理でもしていてください」

「残念」


 こればかりは仕方ない。


「じゃあ、俺は亀山さんと一緒に行って手伝ってくるわ」

「お願いします。私はさっそく試しましょう」

「なにすんだ?」

「電脳世界に入ってみます!」

「「「え!?」」」


 パソコンに触れながら転移能力を発動させる。すると見事にパソコンの中へと入れた。しかし、何か変なのがやってくる。それは剣と盾を持つ小人達だった。別名、防衛プログラムやファイヤーウォールとかよばれる奴のようだ。


「能力が使えるか試す……しますか」


 重力操作を発動すると連中は綺麗に潰れていった。正確には重力操作をする過程で世界へとアクセスして改変する前段階で操作して潰しただけだ。自由に電脳世界を改変できるので防壁やウイルスなんて敵じゃない。流石は神様といったところだ。


「ふふふ、私の敵じゃないですね」


 これはいい発見だ。なんせ金儲けにも使える。この身体は大量の情報を処理するのもお手の物で、人間には不可能な量も容易く処理できてしまう。いってしまえば世界を改変できる神様の身体は世界規模の量子コンピュータという事になる。全世界VS会社のパソコンなど相手にならない。


「インサイダー取引やりたい放題……といいたいけれど駄目なんだよね。いや、これはインサイダー取引にすらならない?」


 お母様の判定ではハッキングは問題ないみたいだし、インサイダー取引も問題ないのかも知れない。情報を収集する事はなんの問題もないし、それを元にして運用するのは間違った事ではない。試してみると問題なくいけた。色々と実験すると駄目な時と問題ないときがあった。違いは多角的に情報を収集して自らの推論とまじえてから調べると問題なく、最初から相手に侵入して調べるのが駄目だった。後は対象の罪の大きさで変化した。少女達を食い物にしている会社とか麻薬を扱っているところなんかは自由自在に操れた。まあ、そっちはアステルの名前で警察にリークしておいた。


「これは便利」


 宣伝に必要なプログラムを作りながら、指名手配犯を見つけてはリークしたりして準備していった。





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