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3話

 




 銃器類を回収してから軽く銃弾を抜くなどの整理をネットを見ながらした後、疲れていたので色々と放置して自宅のベッドにダイブして眠った。



 次の日、起きたら銃器類を色々とかついで姫柊家へと転移する。


「おはようございます」

「「おはよう」」


 皆が元気よく挨拶してくれたが、約二名ほどこちらを冷たい目で見ている。


「おはようございます。梓ちゃん、お願いできる?」

「うん、分かってる。おはよう……さっそくだけどこっちに来る」

「え?」


 安全装置をつけた銃器類とマガジンを床に置いていると、姫柊さんに腕を掴まれて引きずられる。


「ど、どこに行く……です?」

「ここ」


 向かった先は洗面所だった。そこでいきなり着ていたYシャツを脱がされていく。


「ちょっ、ちょっと!? 何をするんだ! 痛っ!」

「汚い。寝癖酷い。それに臭い」

「っ!?」


 臭いと言われたらおじさんでもショックだ。いや、よく考えよう。廃墟いって、人を殺して血を浴びて、戦場に出向いて砂や硝煙、煙や埃とかを浴びてそのまま寝た訳で……納得できる内容だ。

 そんな事を考えていると、気が付けば俺は裸にされていて、同じく裸になった姫柊さんに反論する暇もなく風呂場へと連れ込まれていた。


「いっ、言ったとおり、私は元男でして……」

「別に気にしない」

「いや、でもね?」

「これは役目」

「確かに世話をお願いしたけど……」

「それに私の身体、使いたいなら好きに使えばいい。その代わり力を頂戴。それが契約」


 女子中学生に抱きつかれてそう言われるとおじさん叶えたくなる。まあ、何をしたいのかはわからないが、俺の言うことは決まっている。


「いいでしょう。力が欲しいならばくれてやります。ただし、代価は姫柊さん自身ですよ」

「いいよ。それと梓でいい。ご主人様」

「おおう、ご主人様、なんという響きだ……みぎゃぁっ!!」


 天罰で身体が痺れる。だが、姫柊さん、梓にはなんの影響もないみたいだ。さすがは女神様。個人指定もできるんだ。


「……まあ、ご主人様ってのはいいので、アステルって呼んでください。まだ慣れていないですが」

「わかった、アステル。それじゃあ、身体を洗う」

「お願いします」


 お風呂で美少女と洗いっ子。いかがわしいお店ぐらいでしか経験出来ない状況だ。行ったことはないが。

 いや、今は俺も美少女だからいけるのか。健全、健全。心は男、身体は幼女。その名は……捕まりそうなのでやめと、んんっ、なんか変な声が出そうだ。


「頭洗う」

「はい」


 頭から下まで丸洗いにされた。まるでペットになった気分だ。


「くすん。もうお嫁にいけない……」

「なら、貰ってあげる」

「え?」

「それが望みなら」

「冗談ですよ?」

「知ってる」


 本当に本気かはわからないが、力を得るために身体を差し出してくるぐらいは梓はしそうだ。少なくとも男だと言っているのに一緒にお風呂に入って身体を洗ってくるくらいは本気みたいだし。




 隅々まで綺麗に洗われた後、外に出て身体を優しく拭いてくれる。こちらも洗ってみたかったけれど、残念ながら梓は流すだけみたいだ。


「はい、服」

「え? これ着るの……か……? です」


 慌てて、ですを付け加える。濡れているところに天罰とかシャレにならない。


「そう、着るの」


 そう言った梓が片足を上げて下着を履かせてくる。そう、下着。当然、それは女性用の奴だ。


「いや、おっ、男用の奴がいいなぁ、なんて……」

「却下」

「そんなっ!?」

「はい、終わり」


 抵抗する暇もなく履かされてしまった。けれど、男としてのプライドは粉々に粉砕された。


「似合ってる」

「確かに似合ってるけど……うぅ、汚された……」


 鏡で見てみたら、幼いながらも美少女であるこの身体に女性物の下着は確かに似合っている。だが、しかし、それを自分が着るというのはやはり抵抗があるのは仕方がないことだろう。


「次はこれ」

「えぇ~」


 次に梓が取り出したのはゴスロリという服だ。ただ、黒色をメインにして白色のフリルなどがあしらわれている。


「いや、こんな格好で訓練とかは……」

「問題ない。私のジャージや体操服がある」

「あ、それも着させられるんですね……」


 梓も着替えだしたので見ていると、そちらは普通にジャージとかだった。納得がいかない。



 風呂から出てリビングに移動すると皆の視線が一気に集まってきた。


「似合ってますね」

「だな。買って正解だったぜ。俺の目に狂いは……」

「貴様かっ!!」


 原因を作ったであろう金剛に飛びかかろうとしたが、その前に天罰が来て動けなくて仕返しができなかった。


「ご飯ですよ。席について食べてください」

「むぅ、覚えていてください」

「だが、断る」


 大人しく席について静香さんの料理を食べていく。美味しい和食を堪能した後はお茶を飲みながら話を行う。

 静香さんには愛理ちゃんを連れて別の部屋でいてもらう。幼い子供には物騒な話になるから仕方がない。


「では、これからについて話します。

 まず、持ってきた銃器類ですが、全て本物です。ですので、整備方法を知ったり射撃を行う為の手順などをしっかりと勉強しなければいけません。

 よって、これからアメリカに行って訓練を受けたいと思います」

「まあ、確かに勉強は必要だな」

「でしょうね」

「ん、任せる」

「翻訳は神様パワーでどうにかできますので任せてください」

「おう」

「では、すぐに移動しますので準備してください」


 準備してもらってからアメリカに飛ぶ。続いてネットで調べた傭兵の訓練所へと向かう。

 そこで金額を確認した後、換金所で金の延べ棒や金塊とドルを交換して短期集中コースをお願いした。

 銃器の整備方法と機材、射撃方法などを教わるのに一週間かかる。本来ならもっと本格的な訓練があるらしいが、時間もないし傭兵になる訳でもないので問題ない。

 ちなみに梓達を連れて狩猟ができる場所で動物を狙った狙撃の訓練も行う。


「動物、撃てばいいの?」

「相手はバッファローです。頑張っていきましょう」

「了解」


 それと手に入れた銃器はアメリカで売却して、その利益で新しい別の銃を買っておいた。数より質が欲しいし、俺達に合った銃の方が生き残れる可能性は高い。





 アメリカから戻って一日休憩したら、異世界へと転移する。この頃、女神様が早く行けよと五月蝿いので仕方がない。

 転移した場所は当然、最初に来た祭壇の上だ。装備は私以外、全員がアメリカで購入したポンチョ型のギリースーツだ。下には丈夫な軍が使っていた中古の服だ。梓の服はなかったので、彼女のは特注で傭兵会社の人に頼んで作ってもらった。

 武装は例のトラックごと持ってきた。もちろん、整備済み。態々、歩くのなんて嫌だし。


「ここが異世界か」

「空気が美味しいですね」

「ん、いいかも」

「まあ、ここはあえてこう言いますか」


 祭壇から降りて皆に振り返り、両手を開いて歓迎する。


「ようこそ、異世界へ。これから大変な事もあるでしょうが、一緒に頑張りましょう」


 皆が頷いたの確認してから、次にやる事は後戻りできないので、意思確認を取る。


「それでは儀式を始めますが、よろしいですか?」

「もちろんだ」

「ええ、構いません」

「早く」

「それじゃあ、しましょうか」


 まずは梓からだ。なので梓以外は祭壇の上から降りてもらう。別に祭壇でやる必要はないが、様式美という奴だ。


「では、梓。私を主神として信仰し、我が眷族となる事を誓いますか? 代価として貴女に降り注ぐ艱難辛苦を退け、打ち砕く力を授けましょう」

「誓う。もうあんな目に会うのは嫌」

「なら、受け取ってください」

「ん」


 梓の額に掌を当てて能力付与を使用する。彼女には重力操作を与えよう。


 [姫柊梓を眷属にし、重力操作を与えますか?]


 脳内に響いてきた声に“はい”と返事をする。すると、驚いた事に……


 [神格が足りません]


 こんな事をのたまいやがった。どうにかしろよ、格好付かないだろう!


 [知りません]


 どうにかしてください、お願いします。


 [仕方ありません。重力操作をダウングレードさせて重量操作魔法なら可能です]


 それはどんな魔法?


 [魔力を消費して持っている物の重量を減らしたり、増やしたりする事が出来る魔法です。使えば使うほど重さを自由に操作できます]


 なら、それでお願い。


 [重量操作魔法を付与します]


「っ!? 痛っ!!」


 梓が痛そうに頭を顰める。直ぐに暴れて転がりだしたので慌てて抱きかかえる。どうやら付与には苦痛を伴うようだ。

というか、無理矢理力を使えるようにしたり、使い方を記憶させたりしているのだろうから仕方ない事かも知れない。


「はぁ、はぁ……」

「大丈夫ですか?」

「へい、き。使い方、わかる。ありがとう」

「いえいえ」


[姫柊梓が眷族になりました。

 眷属を得た事で神格が上昇しました。

 姫柊梓がアステルを信仰した事によりギフトを与える事が可能になりました。

 スマホにアプリを追加します]


 どうやら、梓を眷族とした事で経験値が入って神格が上昇したようだ。それにこの言い方からすると、ギフトは信者に与える力みたいだな。

梓に与えられるギフトはどれだろうと、彼女を抱えながらアプリを起動してリストを見てみると色々とあった。

ランダムやら、検索機能まである。これは後で相談した方がいいだろう。


「梓は休憩してて」

「ん、わかった」

「次は俺だな」

「まあ、与えるのは同じだけどね」

「転移能力が欲しいんだがな……」

「試すだけ試しますね」

「おう」


 転移能力に関しては一切付与が不可能だった。ダウングレードも出来ないし、神格が足りないと完全に突っぱねられた。

仕方がなく、金剛さんと亀山さんには重量操作魔法を与えるだけになった。二人が終わると神格がまた上昇した。


 名前:アステル(沖田宗二)

 種族:半神半人(女神アストライア)

 神格:3(2UP)

 性別:女性

 属性:神

 ギフト:重力操作、転移能力、付与能力

 スキル:


 だいたいこんな感じだ。


「重量操作か。魔法は嬉しいがしょぼいな」

「使い方次第ですよ」

「そうですよ。よく考えてください。機関銃とかを片手で持てばいいんですよ」

「確かにそれは強そうだな」

「使えば使うほど強化されますが、今はギフトについてです」

「ギフト?」

「この世界では信仰する神様が、祝福として強力な力を与えてくれます。私の場合はお母様に選ばせてもらいましたが、基本的にはランダムみたいです。選ぶ方法は直接神様が操作する場合みたいですね。皆さんの場合は私ですね」


 何百万もの人に一々ギフトなんて選んで与えないよな。どれだけ労力がいるんだって話しになる。


「って事は俺達は選べるのか?」

「ええ、選べます」

「眷族になると特典はあるのですか?」

「選べる物が増えるんじゃないですか? というか、私は半分だけなので眷族にしかギフトを与えられないみたいですね」


 ギフトのアプリで説明を読みながら答えていく。普通は信仰するだけでギフトを与えられるみたいだけどな。


「まあ、それならギフトを選びましょうか。どれがいいでしょうか?」

「索敵と荷物持ちはいるよな」

「索敵はそうですが、荷物持ちに関しては転移が出来るアステル様が居るので、倉庫と行き来すればどうにかできますね」

「面倒じゃないか?」

「ですが、有用なギフトなら手に入れておいた方がいいでしょう。というか、ある程度してそのスキルが必要になれば静香や愛理にギフトを与えてもえばいいのです」

「それもそうだな。まずは安全の確保が優先か」


 わ~い、何もしなくても男達が勝手に話しを進めてくれるぞ、ラッキー!


「梓はどんなギフトがいい?」

「ん、便利な時間停止か未来予知」

「えっと……」


 検索してみると時間停止はあった。基本的にギフトは魔力を必要とせず、何度でも使える。問題は使いこなす為に想像する力が居るという事。

それにどんなギフトでも最初は弱く、使えば使う程強くなっていき一定値を超えると上位のギフトへと進化するみたいだ。

俺の場合は元から身体の性能が桁違いに高いから、今みたいな運用が出来ている。もちろん、成長すれば広範囲を一気に重力の海へと変える事も出来るとスマホの情報に載っている。


「時間停止だと最初は数秒だね。未来予知も同じかな」

「どっちも欲しい」

「ん~もっと神格が上がったあげられるけど、今は無理ですね。ごめんなさい」

「ううん、贅沢言ってるだけ。なら、未来予知の能力がいい」

「あ、未来を知る系統は未来予知と未来視があるのですが、どちらがいいですか?」


 未来予知は夢などで未来を体験したり、神託のように知る事が出来る。未来視は未来をその瞳で未来を見る事が出来る。どちらも強い能力だ。


「未来視で。スナイパーにはそちらの方がいい」

「確かにそうですね」


 梓は狙撃の成績が一番良かった。それでもプロフェッショナルとまではいかない。流石に一週間程度では銃の性能があっても技術が足りない。

だから未来視を使って足りない部分を補えばいい。片目で現実を確かめ、もう片方の目で未来を確かめる。

上手く運用できればほぼ外す事の無いスナイパーの完成だ。それにしっかりと相談して役目を決め、それに合う武器を使っている。

 梓はスナイパーとして狙撃銃。亀山さんはベレッタなど拳銃で護身用程度。金剛さんが機関銃やロケットランチャーで殲滅する予定だ。

 金剛さんは無駄に身長が高いし、元々、鍛えていたのが引きこもっていたのだ。だから、筋肉を取り戻す為に特殊強化訓練をしてもらったら化けた。

重力で負荷を与えるという訓練は最強だ。

 まあ、梓達にもこっそりと施してたんだけどね。最初は小さく、気づかれないようにこっそりと重力を少しずつ上げていく。

 繰り返していたので普通の人よりも鍛えられているはずだ。


「決まりました」

「わかりました。どれにしますか?」

「私は索敵にします。敵を見つけるレーダーが居ないと大変ですからね」

「俺は剛力だ。タンカーも兼ねるからな」

「力ですか」

「おうよ。やっぱりファンタジーなら剣とかを使わないとな」

「慣れるまでは銃でお願いします」

「分かってるって」


 アプリから各自のギフトを選択して与えていく。すると皆が光に包まれた。これで彼等はこの世界の住人となったようだ。


「ひゃほーっ! すげー力だ!」


 金剛が木を殴るとそれだけで木が倒れていく。


「ふむ。索敵はアプリの地図と連動させる事も出来ますね」


 亀山さんが色々と調べてくれているようだ。彼等のスマホには俺のスマホのアプリも送っている。

そのお陰でこちらでも自由に使えているし、周りから自然の魔力を吸収して電力に変換しているようで常に充電中となっている。


「地図と連動?」

「はい。見てください」


 亀山さんのアプリには地図が表示されていて、そこに現在地を示す星のマークと青い丸が三つ写っている。これが自分と味方という事だろう。


「このボタンはなんでしょう?」

「押してみますか」


 亀山さんが押すと、スマホから青い光が出てきて大きな地図が仮想スクリーンのように展開された。


「これは凄いですね」

「見るには便利ですね。皆のスマホにリンクできますか?」

「共有のボタンが有るので可能でしょう」


 亀山さんが押した後、自分の地図アプリを起動すると確かに共有されていた。これは非常に便利だ。


「斥候とかシーフ系になるといいかも知れませんね」

「そうですね。観測した情報を姫柊さんに伝えて狙撃してもらうのはありです。一度共有すれば解除するまで勝手に送られるみたいですし、かなり便利なようです」

「ふむふむ。梓はどうですか?」


 梓の方へ行くとぼーっとしていた。正面から見ると瞳の色が左右で変わっている。

 片方は黒のままでもう片方が綺麗な水色の瞳をしているみたいだ。それも無数の線が中心に向かって行っているようにも見える。


「大丈夫ですか?」

「だ、大丈夫。慣れてないだけ」

「無理はしないでくださいね」

「ん」


 本当に無理は止めて欲しい。でも、言っても聞かないだろうし、しばらくは休ませて慣れさせよう。出発は慣れてからの方が良さそうだ。






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