1話
背景、お父様、お母様、かりん。先立つ不幸をお許し下さい。俺は異世界で嬉し楽しく頑張って生きていきたいと思います。でも、時折帰ります。
さて、何故こんな事を言うかというと俺、沖田宗二三十五歳は一人暮らししているマンションで急に胸が苦しくなって倒れてしまった。次に気づいたら真っ白な空間で神様と出会ったのです。それも銀髪の女神様です。
「私はヘレネ。沖田宗二よ、私の願いを叶えて貰う為に貴方を異世界へと送ります」
「それはいいのですが、選定方法は?」
「ダーツで適当に」
「おい」
つまり、この神様は適当にダーツを投げて殺したらしい。酷い神様だ。
「願いを叶えるのはいいですが、なんの力もない一般人ですよ」
「わかっているわ。もちろん、力を与えます。そうですね、三つほど選ばせてあげます」
「じゃあ、重力操作と異世界と地球を自由に行き来できる転移能力をください」
「それはきついです」
「いや、だって重力操作で空を飛びたいし、ホームシックとかに襲われたら大変だし。サバイバル能力なんてないですから」
「そうですね、なんとかしてみましょう」
「あと、世界はどんなところなのですか?」
「剣と魔法がモンスターが渦巻く世界よ」
「わかりました。それじゃあ、最後は付与能力。これは能力を色々と決められて付与できるようにしてください。それと出来る限り強力な奴で」
「いいでしょう。その代わりに色々とこちらで決めさせて頂きますからね。強い力なので色々と条件や制約がつきます」
「わかりました。お願いします。あ、転移出来る場所として一つは自室の場所を最初に登録しておいてください。お願いします」
「ええ、それぐらいなら構いませんよ。それでは力を与えます。次に気が付けばもう異世界に転移しています。ああ、肝心の事をお話していませんでした。お願いは神託として与えます。与える方法は何がいいですか?」
「スマホでお願いします。出来れば異世界でも電波が通じているとありがたいです」
「いいでしょう。それではいってらっしゃい」
その言葉の後、直ぐに意識を失ってしまった。
次に気が付けば何処かの深い巨大な森の中にいる。足元には祭壇のような場所で、明らかに空気が違う。マイナスイオンとかいっぱい出ていそうだ。
周りを確認していると、視界に銀の糸のようなキラキラが映り込んでいる。よく見るとそれは髪の毛のようで、手で持ってみるとサラサラしていて掌から流れ落ちていく。
心なしか身長もかなり低い気がする。慌てて視界を下げて周りを見ると近くにスマホが置いてあった。小さな手で拾って確かめてみると幸い、電波も通じている。まずは自分を撮影してみる。
カメラの音が鳴ってから恐る恐る画面を見てみる。
「なんじゃこりゃー!!」
スマホに写っていたのは超がつくほどの銀髪美少女だった。それもどちらかというと幼女といった感じだ。というか、どことなく先程出会った女神様に似ている。服装はトーガみたいな奴で露出が多い。
「男じゃなかった……」
祭壇に手をついてORZという姿になっていると、ぴろりん、ぴろりんという音が聞こえて来た。スマホを確認すると着信が入っている。
「えっと」
その着信は女神からのようで、画面にしっかりと女神という文字があったので間違いない。待たせるのも怖いので、小さな指で慌てて操作して電話に出る。
「はい、もしもし」
『目覚めたようですね、我が娘』
「あの、この姿は? それと我が娘というのは……」
『貴女のお願いを聞いた結果、只人のまま叶えるのは不可能でした。そこで私の細胞を使って半神半人として作りあげたのです。つまり、私の細胞を分けた娘です』
「うわぁ、神造生物になっちゃった」
『神としての名前はアステルと名乗りなさい。それとスマホでステータスとかを確認できるようにしておきました。半神だから色々と出来るはずです。我ながら予想以上に上手く作れたと自負しています。最高傑作ですよ』
「ありがとうございます。でも、出来たら男が良かったかな」
『無理です。娘や息子で空いていた神格がアストライアしかなかったのです』
「なるほど」
正義の神様しかなかったんですね。まあ、幼女になっても問題は……ありまくりじゃん。女だからモンスターや野盗とかに十八禁みたいな感じになされちゃうかも知れない。
『それで、重力操作と転移能力、能力付与は使い方を直接脳内に刻み込んでいますから、問題なく使えるはずですよ』
「えっと……」
重力操作を使おうと思うと、確かに使い方がわかった。それで自分の重力操作すると身体がふわふわと浮き出した。
「おぉ~」
『それらの能力はギフト、神より与えられる祝福です。これは人それぞれ違います。アステルのはさらに強化されています。それと神族として成長すれば他者にギフトや加護を与える事も出来ます』
「成長するには?」
『信仰を集めてください。それで強くなれます。後は使えば使うほど成長します』
「わかった。頑張る」
『それと男言葉を禁止します』
「え!?」
『我が娘なのですから当然ですね』
「えっ、おれ……みぎゃああああぁぁぁぁぁっ!?」
俺と言った瞬間、空から落雷が落ちてきて直撃した。全身が痺れて激痛が襲いかかって地面をジタバタと転がりまわり、祭壇から落ちて頭を強打してまたのたうち回る。
『男言葉を使えば天罰です』
「無駄に酷いぞ……です」
『まあ、いいでしょう。しばらくはこちらでの生活に慣れてください。おいおい、神託を与えますので、それまで準備をしてください』
「了解、です」
電話が切れたので祭壇に腰掛けながら、スマホを操作していく。まず、あるアプリは電話帳とメール、転移アプリ、自己診断アプリ(ステータス)、インターネット、地図アプリがあった。
「とりあえず、ここが安全かどうかわからないからさっさと帰ろうかな」
転移アプリを起動すると、転移先の登録ボタンがあった。他には転移項目として自宅と祭壇がちゃんと登録されている。祭壇はおそらくここなので問題ない。自宅をタップすると1/10と決定ボタンが出て来た。とりあえず十人まで一緒に転移できるようだ。
試しに決定ボタンを押すと転移能力が発動して視界が暗転する。次の瞬間には自室の部屋に移動していた。
「うわっ、臭いが凄い」
女になったせいか、男臭く感じてしまう。急いで換気して消臭剤を使っておく。それからパソコンを起動しつつ、スマホを操作して自己診断を起動する。
名前:アステル(沖田宗二)
種族:半神半人
神格:1
性別:女性
属性:女神アストライア
ギフト:重力操作、転移能力、付与能力
スキル:
突っ込みたいところは色々とあるが、置いておこう。さて、これからどうしようかと思うが、一人で考えても仕方ない。いや、最優先でする事がある。それは仕事先に連絡する事だ。この姿で仕事に出れるはずもない。仕事といってもアルバイトなのでなんとかなる。それにウェブのイラストレーターだ。
このままでもどうにかなる。炬燵の電源を入れて中に入り、パソコンの前にあるキーボードを操作してメールを送っておきます。
「それよりもあっちらの事だ……みぎゃぁっ!? うぅ、こっちでも有効、なのですか……まあ、いいです」
仕事を行う前にインターネットプラウザを起動して、掲示板に書き込む。同時にスマホで撮った自分の写真をメールに添付して送る。
[神様にダーツで殺されて幼女転生させられた]
というスレットを立てて、1のレスを書き込む。ついでにかなりネタ風に書いておこう。
日時:2016/01/12(火) 08:17:29
名前:アステル
はーろ、ニートのお兄ちゃんやこの世界に絶望した人達に朗報だよ。なんと、私の力で剣と魔法の異世界へと皆を招待するよ。
限定二人様で一人二〇万円です。なお、当方は死んでも責任もちません。帰れなくても知りません。イエスロリータ、ノータッチでお願いします。後、信仰してくれると嬉しいです。信仰が沢山集まれば加護を与えます。なお、異世界生活には協力者を歓迎致します。
メールアドレス:Astraea@******.***
添付
本当に乗ってくるかは知らないけれどいいや。あと、自殺サイトにも書き込んでおく。これでこっちは放置。取り敢えずお仕事をしてからだ。と思ったけれど服を脱いで男物のシャツに着替える。
トーガ、ってあれだし。ズボンははいらないし、下着も大きさがあわない。トランクスでもぶかぶかだ。仕方ないのでメジャーで色々と測ってアマゾンで服を購入する。こんな格好で出たら拉致られる危険もあるし、そうでなくても警察に保護という名目で監禁されて色々と調べられる。それだと困るのだ。この姿で戸籍とかないし、どう見ても外国人だからな。
取り敢えず、服が届くまで……いや、まて。そう言えば妹が服を置いていたな。少し前に親父と母さん、かりんが来てた。ちなみにかりんは父さんの連れ子だから俺とは血が繋がっていない。よし、かりんには悪いが服を使わせて……いや、やっぱ問題がありまくるな。
「別にいいや」
キッチンでお湯を沸かしてカップラーメンを作りながら仕事を行う。何故か、身体が小さくなったのに前より効率よく綺麗な絵が書けた。カップラーメンを食べながらだが、楽チンだ。
「っと、そろそろいいか」
一時間が経っていたので掲示板とメールボックスを開くと早速、人が来ていた。
日時:2016/01/12(火) 09:52:35
名前:Yes、ロリータ
これマジで? でも、添付写真はまじで幼女女神様。
日時:2016/01/12(火) 10:02:52
名前:名無し
いや、明らかに釣りだろ。お金取ってるし、しかし、高いな。
日時:2016/01/12(火) 10:03:10
名前:金剛
だが、待て。この幼女と知り合いになれるのならば20万は惜しくないのでは?
日時:2016/01/12(火) 10:04:55
名前:馬鹿
ロリコンおつ
日時:2016/01/12(火) 10:25:23
名前:姫柊
ちょっとメールしてみました。不登校児の私は別に問題ないですし。
日時:2016/01/12(火) 10:27:23
名前:金剛
お金はどうする気だよ。
日時:2016/01/12(火) 10:25:23
名前:親の残した金で
日時:2016/01/12(火) 10:32:25
名前:金剛
親の残した金って……
く、俺も出してやる! 負けてられるか!
日時:2016/01/12(火) 10:33:49
名前:名無し
検証よろしく。まあ、十中八九嘘だろうが。
メールを見ると確かに返事が来ていた。姫柊という人と金剛という人、さらに亀山という人だ。スレに締切を書き込んでおく。なお、この時に支払いはあちらに行ってからでいいと記載してからメールを彼等に送る。
「っと、その前に実験だね」
転移アプリでは見た事のある景色か写真を撮った場所なら転移が出来るとの説明がった。だが、それは他人が撮った写真でも問題ないのだろうか? という疑問が出てくる。
なのでアメリカのグランドキャニオンの写真をパソコンからスマホに送って実験してみる。登録ボタンを押すと写真が選べる画面に移動した。そこからグランドキャニオンの写真を選んで現地登録のボタンを押すと登録できた。試しに登録したグランドキャニオンを選択して起動する。すると本当にグランドキャニオンの場所に転移していた。
「おい、あんな子いたか--」
慌てて転移アプリを起動して自宅に戻る。
「あぶね……ぎゃうっ!?」
また天罰がくだった。これは本当に酷い。まあ、取り敢えずメールを出そう。まずは彼等にお金を用意して部屋の写真を送ってくる事をお願いする。それを元にしてそちらへと転移して迎えにいきます。都合のいい時間をお知らせ下さい。と、メールを送る。
「部屋、片付けないとな」
直ぐに部屋を片付けていく。そうこうしている間に一時間。メールの着信音が鳴った。開いてみると、早速部屋の写真が送られて来ていた。ご丁寧に写真に20万円も写っている。なので、直ぐに転移アプリに取り込んで転移する。
転移した先は女の子の部屋のようで、可愛らしい物がとても多い。ぬいぐるみとか、家族写真とかも飾ってある。
「うわ、本当に来た」
少女の声に振り返ると、そこにはトレーナーの服を着た長い黒髪の美少女がいた。中学生から高校生になったくらいだろう。どちらにせよ、驚いていた表情がすぐに無表情に変わった。
「信じるものは救われます。もっとも、これが救いとなるかは知りませんが。言った通り、死ぬかもしれませんし、帰ってこれないかも知れません。それに奴隷になるかも知れません。それでもいいですか?」
「別にいいよ。どうせ家族は死んでるし、世間からは人殺しの娘って言われてるから」
「おや。それはどうしてですか?」
「旅客機の事故で父さん達に罪を擦り付けられた。私は今、両親の生命保険で生活してる」
「そうなんですか。つまり、この広い部屋で一人暮らし的な感じか……あぐっ!?」
いきなり頭に本棚の本が落ちてきました。
「大丈夫?」
「大丈夫、大丈夫です。それじゃあ、もしかして家を提供してくれたりもできますか?」
「できるけど……」
「じゃあ、倉庫として使わせて貰ったり、大量の商品の受け取り場所にしても大丈夫ですか?」
「いいよ。本当に異世界に連れていってくれるのならだけど」
「わかりました。それじゃあ、ここに集めるようにしますね」
「だったら、リビングにして。ここ、私の私室だし」
「わかりました」
「こっち」
リビングに案内してもらってから、転移場所として登録する。それから私は転移して自宅に戻り、パソコンを確認する。金剛って人からも連絡が来ていた。亀山って人からは連絡がない……と思ったら、丁度来た。メールを開くと亀山って人はかなり焦ってる。このままじゃ殺されるとの事だ。なのでさっさと転移してみる。
転移した先には廃墟のような場所で周りを見渡す。すると一人の男性を厳つい人達が囲んでいるのが発見できた。
「おら、金返せや!」
「返せねえんなら身体で払ってもらおうか。臓器とかな」
「ひぃっ、無理です、無理です! がっ!? た、助け、助けてくれぇっ!!」
「こんな所に助けなんて来ないっての!」
「ああ」
「ところが、来ちゃったりするんですよね」
「ああん?」
男達の視線が一気にこちらに向かってくる。非常に怖いのだが、この身体はなんとも思っていないようだ。
「嬢ちゃん」
「ひゅー、エロい格好してやがるじゃん」
「こいつは売れそうだ」
男達の視線に一気に全身に鳥肌がたって気持ち悪くなった。
「穢らわしい目で見るな、です。平伏してください」
「あっ?」
「誰にモノをいっているか、たっぷりと教え……」
掌を向けて対象を指定。重力操作で取り敢えず体重を一気に重くして地面におしつけてやる。
「気持ち悪い目で見るんじゃない、です。殺して解体して並べて晒してやるぞ、です。それともミンチがお望みか、です」
「ひぃぃっ!!」
俺はゆっくりと男性の下へと歩いていく。それと同時に重力の掛かる方向を操作して男達の腕や足を折っておく。
「アステルです。亀山さんで間違いないですね?」
「あっ、ああ……」
「私を信仰し、忠誠を誓うならば別の世界へと連れていってあげましょう。お金はこの人達から徴収してもいいですし」
「誓います! 誓いますから助けてください、女神様!」
「いいでしょう。では、まずはこの人達から身包みを剥いで縛り付けておいてください。後ほど迎えにきます」
「はい!」
こいつらもちょうどいいから有効活用させて貰おう。そんな訳で金剛って人を迎えに行く。
金剛って人の部屋はなんていうか、同類。オタクだった。フィギュアとかがいっぱいだ。そのくせ、住人は身体が大きく鍛えられている。だが、汗臭いし、イカのような生臭い臭いもする。
「おお、マジできた」
「オタクの癖に鍛えられているのですね」
「そら、マシーンを使いながら色々としてるからな」
「なるほど。まあ、いいです。さっさと移動します」
「おう」
直ぐに彼を連れて転移する。転移場所は姫柊の所だ。
「おかえり」
「お、女の子」
「取り敢えず少し待っててください。あ、包丁借りますね」
「いいよ」
キッチンから包丁を借りて、彼女達を纏めて転移する。そこは亀山さんがいる廃墟だ。周りには下着姿にされて縛られている男達がいる。
「女神様、終わりました!」
「ご苦労様でした。それと女神様は辞めてください。アステルで」
「畏まりましたアステル様」
「ねえ、ここで何をするの?」
「そうだな。というか、こいつらは?」
「闇金だ」
「みたいです。なので、貴女達にまずは覚悟を示して貰います」
「まさか……」
やる事は簡単です。私は包丁を縛られている男に首に突き刺しました。何の感慨もなく呆気ないものでした。
「あちらの世界では盗賊とかやモンスターが出ます。その時、戦えないでは話になりません」
「だが、それは……」
「ああ、安心してください。証拠は魔法で残しません。いざとなればあちらの世界に避難すればこちらの国家権力や警察などはどうとでもなります」
「なら、やる」
「いいのかよ……」
「平気。どうせ私は人殺しの娘だから、本当に人殺しになるだけ」
俺から包丁を受け取った姫柊さんはあっさりと男を突き刺す。次に亀山に渡すと執拗なまでに突き刺していた。
「貴方はどうしますか? ここで抜けても問題ありませんよ」
死体に手をかざしながら重力操作で圧縮して小さな塊にしてやる。
「ここで俺だけ降りられるかよ」
まあ、無理だろうな。下手したら自分も殺される訳だし。そんな訳で彼も無事に突き刺した。しかし、亀山は直ぐに吐きました。というか、姫柊さんも端っこで吐いている。
「慣れてください。何回かやってください」
「わかった」
「うん」
「あの、すいません。出来たら妻と娘を連れていきたいのですが……」
「あ~それもいいか。姫柊さんの家に住めるよね? 出来たらバックアップ要員は欲しいから」
「大丈夫だよ」
「ありがとうございます、ありがとうございます」
「じゃあ、迎えに行くから写真をお願い」
「はい」
それから死体を処理して、姫柊さんの家に全員を送る。その後、亀山さんの家族を回収して姫柊さんの家に戻った。