1 子爵視点1
一応かけましたので・・・
どうしてこうなった?
わしは確か、5日前に《マナ水》採取と魔の森開拓の拠点となる村(確かドラク村だったか)から、馬によって流行病蔓延の緊急連絡を受け、一緒に受け取った村の薬師の考察資料を元に、この町にいる薬師の派遣と薬の材料の確認・準備を命じたのだ。
あの村は、《マナ水》採取の拠点として我が領だけでなく、我が国にとっても重要な拠点の一つ。故に最短・最速で行った。《マナ水》は貴重じゃからな。
念のためにと通信用の魔道具も持たせて、薬師と護衛数名で翌日明け方には出発させたはず。
通常馬なら2日ほどで到着する距離だし、事実2日で到着の報告通信が入った。
・・・なぜか流行終息・全員完治の報告とともにな。
村の薬師が配った薬が全員を完治させたらしい。連絡にあった流行病では無いのかとも考えたが、同行した薬師からは、確かに南方で発生する流行病であると診断したとの報告もあり、嘘・誤認は無い。
宿に居た探索者など数名はまだ薬を飲んでおらず、罹患した状態を見れたらしいのだ。
そして、薬を飲んだら即完治したらしい。
・・・治療薬はそこまでの即効性は無く、そも材料自体あの辺りには存在しないのではなかったか?
そして、薬師と護衛のリーダー連名で、わしのドラク村訪問の打診があった。
安全の確認はされており問題無いということと、献上品があるとのことでな。
さらに符牒で、かなり重要案件であることを伝えてきおった・・・
一体何があるのやら・・・
そう考え、今日ドラク村に到着した。
到着早々、村長宅へ向かい挨拶を受ける事になった。こういった様式も色々な理由で必要なのだ。
特に急ぎの案件だったりすると面倒だとは思うがな。
「ようこそおいで下さいました、フェリアム子爵様」
「うむ、此度は大変だったな、村長?」
「は、お気遣いありがとうございます。幸い一人の死者も無く、全員無事でございます。」
とりあえずの挨拶と簡単な報告を終える。
村長の他に村の者では、おそらくこの村の薬師であろう者が居るの。
どうもこちらの話が本題のようだの。
わしの護衛兼側仕えが、この薬師に話すよう促した。
「お初にお目にかかります、子爵様。 この村で薬師をしておりますマルグリアと申します。」
「そなたがこの村の薬師か。此度の働き褒めてつかわす。」
「もったいなきお言葉でございます。」
挨拶と此度の件の賞賛じゃな。これは必ず行わねばならん。信賞必罰は世の理じゃ。
「実は、子爵様に献上したいものがございまして、直に見ていただきとう存じます。」
いささか急じゃが仕方なかろうな。
この場に居なかった、わしが派遣した薬師と護衛者が緊張した面持ちで荷物を持って入ってきおった。
わしが居るとはいえ、これは別の類の緊張じゃな。この荷が原因か?おそらくは献上品だろうが・・・
わしの前に献上品が並べられてゆく。小瓶と草かの?これが献上品か?
我が館のある街でも流行する可能性があるからその対策として薬の現物と材料かの?
それにしては、やけに緊張しておる。
「ワタクシからここにある献上品の内容を述べさせて頂きます。
《ハオマ(水)》小瓶15本 、 《ハオマ草》20本 、 魔力結晶 大2個 中6個 小21個
以上を、ドラク村 村長グルディアと薬師マルグリアの連名でとなります。」
・・・納得じゃな。一応頷いておく。が、一瞬呆けたわ。
まさに伝説級の薬とその材料か。通常なら村長なりなんなりが、わしの館に献上しに来るものじゃが、これは持っているだけで危険じゃ。色々な意味でな・・・
わしを現地に呼んだ上での献上でも、これなら仕方あるまい。
希少過ぎて、危険しか無いと判断して献上の形をとって、押し付けられたようなものかの?
わしはおろか、国王でさえも・・・いや人の身には余るものだろう。先の2つはな。
しかし、この辺りで《魔力結晶》なんぞ採れる場所なんぞあったかの?《魔力結晶》自体は《マナ水》と同程度の希少性・価値じゃが、わが国では採掘量は少な目じゃしな。
見たところかなりの高純度とサイズじゃし・・・こっちの採掘場所も献上内容かの?
まぁ、薬師も緊張するだけでよく持てたものだ。いや、一度ぶっ倒れたかもしれんの。
「うむ、見事な品々である。こちらからも褒美を渡さねばな。」
そう、褒美を渡さねばならん。献上品の価値に見合った何かとなるが・・・
正直、金銭には変えられんぞ、この薬の価値に見合うものなぞな・・・
「まだ、他にご覧いただきたいものが御座います。ご案内いたしますので、どうぞこちらへ」
そう、村の薬師の女が道案内で先導する。はてさて、何が出るやら、たのしみじゃわい。
書き直し前提で仮UP
子爵様はわりと察しが良いです。