1 マルグリア視点2
母親視点2
さらにうっかり追加?
目の前のあまりの光景に頭が真っ白になってしまいました。
どこの世界に、たった数日で、伝説級のアーティファクト(新品Ver.)が、自宅の目の前に完成しているなんてことが、あるんでしょうか!!??
ああ、そういえば家の中にも伝説級の万能薬とその素材がありましたね・・・
探索者として私たちは、古代遺跡、とくに残りやすい魔導系建築物の探索・調査もよく受けていました。
私は錬金術士ですので、当然、魔導関係の知識も持ち合わせていますから、それを役立てる形のお仕事だった訳です。
そんな私も見たことの無い建築様式ですが、目の前にあるのは、壁の無い小屋?でしょうか。
魔導装飾がびっしりと施され、美しさとともに力強さを感じます。
ですが、この魔導装飾というものは下手に刻めないのです。少し間違っただけで発動しないのは当たり前で、意図しない効果が発動したり、最悪暴発もあるものです。
また、規模が大きくなるほど、機能が多くなるほど複雑になり難しくなりますので、作成時の危険度は増します。小屋サイズといえば、現在人間が作成可能なぎりぎりの規模です。下手をすれば、家ごと吹き飛んでいたかもしれません・・・
もっとも、暴発は大体一番最初の起動時に起きるそうなので、安定稼働している状態ならその心配はほとんど無いそうですが。
そして、魔導装飾自体も問題です。
おそらくですが、強度上昇・耐熱・耐火の装飾以外にもいくつかの見たことの無いタイプの装飾があります。というより、面積などからして、そちらがメインの機能でしょう。
うまく読み取ることがでず、詳細は分かりませんが・・・
もっと問題なのは中に置かれているものです。
中央の穴と桶・ロープは、古代遺跡などで時折見かけられる井戸という水の供給設備だと思われますが、その縁に置かれたモノが問題です。
なんですか!?《マナ収束結晶化装置》って!!!!????
大気中のマナを吸収して魔力結晶を生成するって、魔導関係者ならどんなことをしても奪いたい代物ですよ!?魔力結晶なんてマナ豊富な鉱山でも極わずかしか採掘されない貴重な品にもかかわらず、魔法などで使い過ぎた魔力の急速回復や、様々な錬金系の材料などで魔法関係者には有れば有るほど嬉しいモノですし、宝石の一種として一般の方にも人気があるため、小さなものでも家1軒建つなんて言われるほど高価なものなのです。
そんな魔力結晶をポコポコ生み出す装置なんてお目にかかったことも、聞いたこともありません!!
というか、すでに装置下に転がってますね・・・しかも高純度の最高品質と思われるものが・・・
今後の身の安全のためにも、この装置だけでも隠すなりしておきたいのですが・・・
無理ですね、この設備と一体化していて取り外せません・・・
この家を立ち退くしかないのでしょうか?
夫と暮らしてた家では無いのですが、それでも長く暮らした家です。それなりの愛着もあるのですけれど、安全には替えられませんから・・・
少なくとも検討・準備だけはしておきましょう。
しかし、この小屋の中は、かなりマナが濃いですね・・・
もしかしたら、魔導装飾の効果でマナが濃くなっているのでしょうか?
念のためこの井戸の水も調べておいた方がいいでしょう。
・・・井戸の中の水が《マナ水》でした。
この村に探索者が訪れることが多い理由の一つに、村から四半刻も森に入った地点にあるマナを多量に含んだ泉の水、《マナ水》の採取が挙げられます。
そのまま飲んでも魔力回復剤として使えますし、錬金・製剤の素材であり、さまざまな製造などを行う際この水を使うと通常と比べ効果アップが期待できます。また、ただの鉄剣でも、マナ水を振り掛けることで一時的に魔力を帯びさせることができ、物理攻撃が効かない悪霊などにも有効な攻撃を行うことが出来ます。
人の領域や、その近隣にそれなりに供給源となるマナ水の泉は存在します。
しかし、非常に需要があり、狂獣も寄ってくるため、採取には危険を伴うことから万年不足気味なのが現状です。そんなモノが、こんな身近にできたら取り合いになること請け合いです。
使えれば、製剤の仕事が助かるのは事実ですが・・・
この先を考えれば、身の危険しか思い浮かびません・・・
本当に数日で一体我が家に何があったのでしょうか・・・
本気で引っ越しを検討しなければいけないのでしょうか?
ああ、あまりのことに思わず現実逃避していました。
早く、皆を呼んで薬を配らないと・・・
私は若干足取り重く村の中央へ向かいました。
主人公の認識のズレ方が問題起こしてます。
病み上がりのマルグリアにストレスが襲い掛かります。
次はマルグリアか村長か領主か・・・
もしくは時系列飛んだ未来の話か・・・
ネタあれど書く時間が無い・・・