2 主人公視点7
別にリリアちゃんが強くなることは悪いことじゃ無い。
むしろ、成長を促して、能力が伸びることを喜んでいる。
ちょ~っと死ぬかもしれなかったけど無事だったし、
たぶんリリアちゃんの器の強化は済んでいるので問題無い。
なので、今の契約もどきな状態に問題が有るとしたら2つ、
リリアちゃんの準”聖人化”と”中途半端な契約状態の維持の不透明さ”だ
聖人。ヒトが聖獣になった場合の呼び名だ。こっち側(神などの世界管理側)の意味で。
聖獣は、神が直接創造していない、原住生物に対し、命令・契約などを結び、繋がりを持った存在だ。
聖獣(人)化は、先にあるように、対象の能力の大幅な強化も行われるが、
問題は、長寿命化や、高速修復能力といった、この世界であっても”生物の限界を超えた生命力”、
さらにマズイのは、”世界管理側の一部権能の行使権限”だ。
生命力強化は人の世を生きる上で結構煩わしい事態を招き寄せるだろう。
元の世界の歴史を考えても、今は知らないが以前ヒトとの関わりをもった際もそうなのだが、
権力者が最終的にもとめるのが、不老不死だからだ。
国を築き、権力を、軍を組織した連中は、不老不死を求めて様々な事件を起こした。
ヒト種の中でも長寿である妖精種や竜人種を攻め、部族壊滅や逆に軍の壊滅といた結果を引き起こし、元々繁殖力が低い種である彼らはその数を確実に減らしたし、肝を喰らえば不老不死になるという伝説があった人魚種は、他の種族の前にはほぼ姿を現すことが無いと言われている。
そして、世界管理側の一部権能の行使権限。
通常の聖人化の場合だと、食料などの無限供給だとか、局所的な気象・地形操作あたりも使用可能だし、
仮死状態や死んだ直後の状態からの蘇生、つまり魂の運行に関する部分も一部可能になる。
こちらはもろに、不老不死を連想させる権限・能力だ。
まぁ、死者蘇生の権限はこれまで極僅かしか付与されていないが。
聖人化する様なヒトは、大体強力なバックボーンが存在するため、うかつに手を出せないので問題無かった。自身が権威・権力などを持っている場合がほとんどだからだ。
だが、リリアちゃんと正式に契約を結んでしまった場合、人の世での権威・権力が無い聖人が誕生するので、どうなるか分からない。
現状では、正式な契約を結んでおらず、聖人化していないため、能力の強化のみで済んでいる。
だが、こんな状態になることはまず無いので、このままの状態を維持した場合どうなるか、本当に分からないのだ。現状程度なら問題は無いのだけれど・・・
では、この繋がりを切ってしまえるかというと、これもそう簡単にはいかなかったりする。
明確でない繋がりが撚り合わさったのが現状なのだ。
これを切ろうとしても、切りきれない状況で、何度も契約切断を行えばリリアちゃんにもこっちにもどんな影響が出るか分かったものでは無い。
例えるなら、切れないハサミで束ねた紙や布を切ろうとする行為だろうか?
切って切れないことは無い。だが、何度も開閉を繰り返し、確実に切断面はガタガタになる。
では、一度正式に契約をして、改めて契約を切れば良いと考えるかもしれない。
だが、一度契約してしまえば、リリアちゃんは完全に聖人化する。
一度聖人化すると、契約を切っても権能や能力強化などは維持されたままだ。
これでは、契約を切る意味が無い。聖人化を止めるのが目的なのに、逆に突っ走ってどうする?
なので、この件ではうかつに動けないのだ。
仕方ないので、現状のまま維持し、リリアちゃんに何かしら悪い影響が見られたら、正式な契約を結ぼうと考えている。問題が起きないということも十分考えられるしな。




