クレイジーな豆の木 その3
俺の息子がそそり立った朝、外を見渡すとそこには天空にビシッと突き立つぶっとい豆の木が。昨日の胸デカ女が言った通りだ。
これを登った先に宝があるのか。やっと糞親父から逃れられる。
静かだ。親父はまだ寝ているようだ。善は急げ。俺はとっとと豆の木を登ることにした。
……はあ、はあ。
ぶっちゃけ辛い。少し手足を動かすだけで体力がごっそり持ってかれる。つーか幹が太すぎるんだよ! こんな極太サイズじゃ世界中のどのコンドームもSサイズ扱いだな。
だけど泣き事ばっか言ってるわけにもいかない。ここでギブアップすれば、また貧乏生活に逆戻りだ。冗談じゃねえ。俺は人生を変えるんだ。
気力を振り絞って登る。二の腕が悲鳴を上げても登る。ふくらはぎが張り裂けそうになっても登る。大量の汗を出してミイラになりかけても登る。
どれほどの時間が経っただろうか。だんだん頂上に近づいてきた。雲に開いた穴が次第に大きく見える。目的地までもう少し。穴に向かって一直線に邁進する俺。精子になった気分だ。
やった! やったぞ! 俺はやったんだ!
雲の上に辿り着いた! 人生で一番頑張ったんじゃないか、俺。
さあ、あとは宝だ。The tresure is going to make me rich! 金! 金! 金! 金が俺を呼んでいる! 金だ! 金さえあれば幸せになれるんだ!
しばらくうろついていると、雲の上とは思えない超デカい家を見つけた。麻薬で儲けた金で建てたんじゃねーかって規模だ。
財宝はこの中に違いない。どうせ家主はろくでもないやつだろう。とっとと財宝をかっぱらおう。見つかったらぶっ殺せばいい。それが世界のためだ。
気分が高揚してきた。今なら何をしても成功しそうだ。扉は開け放たれている。どうやら家主は出かけているようだ。
それでも念を入れて、俺はできるだけ足音を立てずに豪邸へと忍び込んだ。
ワオ! ワラマンション!
こいつは驚いた! デカいのは外観だけじゃなかった!
まず家具! テーブルが高層ビルに思えるほどだ。脚なんて馬のチンコ並みの太さ。やべーよ!
他にも、置いてある壺は水攻めに使えるんじゃないかって大きさ(俺の身長よりデカい!)だし、脱ぎ捨てられた衣服で絨毯がいくつ作れるのか見当もつかねえ。
……もしかして、俺はとんでもないとこに侵入しちまったんじゃないか?
心配したと同時に、ドス! ドス! と心臓を刺激する轟音が。間違いない! 家主が帰ってくる!
俺は不法侵入者。つまりは犯罪者だ。見つかればぶっ殺されても文句は言えない。いや、下手すれば死すら生ぬるい拷問が待っているかもしれない。
やべーよ。死にたくねーよ。
俺は見つかる前に、さっき見かけた壺に入り込んだ。今まで経験したことのないスリルにクソを漏らしちまいそうなほどだぜ。
これからどうなっちまうんだ?!
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・良かった点
描写が丁寧になっている
先が読めないので牽引力がある
・改善点
①豆の木に関して
大きさがイメージしづらい。まず全体的な大きさを描写。その際何かと比較する。
例:昨日植えた種の大きさは手のひらほどであったのに、今は見上げてもどこまで達しているかわからないほど大きくなっていた。
②風景描写に関して
ネズミから見た人間の家(比喩)
扉の大きさが四階建てのビル並(具体的な数値)