クレイジーな豆の木 その2
ベティ! ベティ! ベティ! ベティぃぃうううわぁああああああああああああああああああああああん!!!
ベティのいない世界なんて現実じゃなああああああああああああいっ!
ヤケになった俺は得られた金を手に、町で豪遊しまくった。
先の見えない肥溜めみたいな人生に絶望ながら通りを彷徨っていると、一つの露店が目に止まった。
デカい胸した女が出店してるぞ。こいつはいい。ムラムラしてジャック(意味深)したくなってきた。
「ここで何を売ってるんだ?」
「あら、見慣れない子ね。初めてかしら?」
「そうだな。俺は農家だから、こんなとこには滅多に来ないよ」
香水が鼻孔をくすぐる。女の匂いだ。どうして女って生き物はこうも無意識のうちに男を誘惑するんだ。
「あら、農家なのね。だったら、この豆はどうかしら」
差し出されたのはフニャチン野郎のキンタマみてーな大きさの、緑色をした豆が一つ。
「これは?」
「魔法の豆よ」
「魔法? アソコをデカくでもしてくれるのか?」
「それよりももっとスゴいわよ。これを植えて一晩経つとね、天にまで届く巨大な豆の木になるの」
「おいおい、それに何の意味があるんだ? 雲の上から飛び降りて文字通りイッちまえるってか?」
勘弁してくれ。こっちは貧乏生活で心も体も限界なんだよ。
「実はね、豆の木を登った先には、金銀財宝がいっぱいあるんですって」
「マジかよ!」
「ほら、あたしはか弱いレディーでしょ? 豆の木を登るなんて汗臭いことは無理なのよ。だから、逞しい男の人にこの豆を譲るつもりなの」
「マジかよ!」
「本当よ。だからこれ、あ・げ・る」
無理やり手の中に豆を押しこみ、体を押し付けて俺の頬にキスをする女店主。たまんねーよ。エクスタシーだよ。パンツがいくらあっても足りない興奮が俺を捉えて離さなかった。
「はあ?! 魔法の豆だと?! ジャック、おまえはどうしようもないウンコ野郎だな! もうお前はジャックじゃない! ファックだ!」
帰ったら親父に豪遊がバレた。金の使い道を正直に報告したらこの有様だ。
「豆を植えたら天に届くだと? 天まで登るのはコカインがあれば十分だ! 下らないバカ話に騙されやがって! 死ね! ハゲ! お前は俺の息子じゃねー! このろくでなし! 役立たず! クソ! イライラする! 死ね! 俺はもう寝る!」
うるさくドアを閉じる親父。俺だっててめーにはうんざりだよ。
決めた。俺は金持ちになって人生を変える。この家から出てってやる。
親父が寝静まった頃を見計らって、俺は庭に豆を植える。この豆が俺を天国に導いてくれるんだ。
俺は幸せな生活を過ごせるよう願いながら、ベッドに潜って明日を待つことにした。
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・良かった点
勢いがある
・改善点
勢いだけで、ツッコミキャラや冷静なキャラがいない